ドイツ法の国庫理論におけるFiskus
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 06:31 UTC 版)
「国庫」の記事における「ドイツ法の国庫理論におけるFiskus」の解説
法治国家に至る前段階として位置づけられる警察国家(絶対君主制国家の内政面を指す概念)においては、国家は原則として法の規制を受けず、したがって裁判権にも服しないため、人民は国家に対しては、国家賠償その他の法的救済を求めることができなかった(国家無問責の原則)。 そこで、ドイツ法の国庫理論(Fiskustheorie)においては、このように法の規制を受けない公権力の主体としての国家と対比して、私人と同じ立場で私法の適用を受ける財産権の主体(ないし経済活動の主体)としての国家を、特に国庫(Fiskus:ラテン語のfiscusをドイツ語化したもの)と呼んだ。国庫は、公権力の主体としての国家とは異なり、一般私人と同様に民事裁判所の裁判権に服するため、民事訴訟において被告として(例えば契約に基づく債務の不履行を理由として)訴えることが可能であった。 19世紀の法治国家においても、ドイツの司法裁判所は国庫理論による私法上の法的救済を模索したが、その背景には、各ラントの行政裁判における列記主義(すなわち、行政裁判による救済の対象が特定の事項に限定されていたこと)にあったと指摘されている。
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