スヴェーリンク:トッカータ ト長調
バッハ:トッカータ ト長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
---|---|---|
バッハ:トッカータ ト長調 | Toccata G-Dur BWV 916 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1867年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
急速な冒頭楽章、並行短調によるアダージョ、そしてジーグ風のフーガという3楽章構成は、いっけん《イタリア協奏曲》を思わせる。実際、ある手稿資料では「協奏曲あるいはトッカータ」と題されており、そのばあい冒頭楽章では十六分音符のパッセージをソロ、三和音群をトゥッティとみなすことになるが、どちらもあまりに短く、まるで息切れするように長続きしない。むしろこうしたフレーズは、ドイツの伝統的なトッカータやプレリュードに見出されるものである。また、緩徐楽章とフーガにはトゥッティとソロの交代らしきものがないことから、協奏曲というのはあくまで見かけ、ないし解釈上のちょっとしたヒントとみなすべきだろう。
緩徐楽章冒頭左手の三和音は、前楽章の主題後半部を意識したと思われる。真の主題は5小節目のアルトにようやく現れる。模倣は厳格ではないが、はじめは装飾性の豊かな旋律の核となり、のちには息の長い掛留の対旋律に主題が浮かび上がる。
フーガの主題は付点リズムとトッカータ風の下行走句を組み合わせたもの。最後は3オクターヴを一気に駆け下りて終わる。この楽章、また冒頭のトッカータ楽章でも同様であるが、最終小節で八分音符ひとつのあとを休符で埋め、あまつさえフェルマータが付けられているのには、きわめて重要な意味がある。最後の音は装飾をつけたり、未練がましく引き伸ばしたりしてはならない。作曲家はあくまで、いささか唐突な離別ないし消滅をここで意図しているからである。
「トッカータ ト長調」の例文・使い方・用例・文例
- トッカータト長調のページへのリンク