ディヴェス・アクル文字 (Unicodeのブロック)とは? わかりやすく解説

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ディヴェス・アクル文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/18 09:42 UTC 版)

ディヴェス・アクル文字 (Unicodeのブロック)
Dives Akuru
範囲 U+11900..U+1195F
(96 個の符号位置)
追加多言語面
用字 ディヴェス・アクル文字
主な言語・文字体系
割当済 72 個の符号位置
未使用 24 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
13.0 72 (+72)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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ディヴェス・アクル文字(ディヴェス・アクルもじ、英語: Dives Akuru)は、Unicodeブロックの一つ。

解説

9世紀から20世紀にかけて[1]南アジアの島国モルディブの公用語である、インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派インド語群に属するディベヒ語の表記にかつて用いられていたディヴェス・アクル文字(或いはディベヒ・アクル文字、ともに「島民の文字」を意味する[1])を収録している。現在ディベヒ語の表記は18世紀初頭に登場した[1]ターナ文字に取って代わられており、ディヴェス・アクル文字は使われていない。

ディヴェス・アクル文字の古い様式を、19世紀において植民地宗主国であったイギリスの言語学者H. C. P. ベルによってつけられた造語に由来して特にEvēla Akuruと呼ぶ[1]が、Unicode上は同一の文字体系として統合されている[2]

ディヴェス・アクル文字はブラーフミー文字(及びその派生文字であるグランタ文字)から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では暗黙の随伴母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。ラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)であり、単語毎に分かち書きをする。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(ディヴェス・アクル数字)を有している。

符号位置の順序はおおむねブラーフミー文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン13.0において初めて追加された。

収録文字

ラテン文字転写」の列はディヴェス・アクル文字のラテン文字への翻字方式の一つである○○に従う。

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
独立母音字
U+11900 𑤀 DIVES AKURU LETTER A 短母音[a]を表す。 a
U+11901 𑤁 DIVES AKURU LETTER AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+11902 𑤂 DIVES AKURU LETTER I 短母音[i]を表す。 i
U+11903 𑤃 DIVES AKURU LETTER II 長母音[iː]を表す。 ī
U+11904 𑤄 DIVES AKURU LETTER U 短母音[u]を表す。 u
U+11905 𑤅 DIVES AKURU LETTER UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+11906 𑤆 DIVES AKURU LETTER E 長母音[eː]を表す。 e
U+11907 (予約済み)
U+11908 (予約済み)
U+11909 𑤉 DIVES AKURU LETTER O 長母音[oː]を表す。 o
子音字
U+1190C 𑤌 DIVES AKURU LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+1190D 𑤍 DIVES AKURU LETTER KHA 子音[kʰ]を表す。 kh
U+1190E 𑤎 DIVES AKURU LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+1190F 𑤏 DIVES AKURU LETTER GHA 子音[ɡʱ]を表す。 gh
U+11910 𑤐 DIVES AKURU LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。
U+11911 𑤑 DIVES AKURU LETTER CA 子音[c]を表す。 c
U+11912 𑤒 DIVES AKURU LETTER CHA 子音[cʰ]を表す。 ch
U+11913 𑤓 DIVES AKURU LETTER JA 子音[ɟ]を表す。 j
U+11914 (予約済み) jh
U+11915 𑤕 DIVES AKURU LETTER NYA 子音[ɲ]を表す。 ñ
U+11916 𑤖 DIVES AKURU LETTER TTA 子音[ʈ]を表す。
U+11917 (予約済み) ṭh
U+11918 𑤘 DIVES AKURU LETTER DDA 子音[ɖ]を表す。
U+11919 𑤙 DIVES AKURU LETTER DDHA 子音[ɖʱ]を表す。 ḍh
U+1191A 𑤚 DIVES AKURU LETTER NNA 子音[ɳ]を表す。
U+1191B 𑤛 DIVES AKURU LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+1191C 𑤜 DIVES AKURU LETTER THA 子音[tʰ]を表す。 th
U+1191D 𑤝 DIVES AKURU LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+1191E 𑤞 DIVES AKURU LETTER DHA 子音[dʱ]を表す。 dh
U+1191F 𑤟 DIVES AKURU LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+11920 𑤠 DIVES AKURU LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+11921 𑤡 DIVES AKURU LETTER PHA 子音[pʰ]を表す。 ph
U+11922 𑤢 DIVES AKURU LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+11923 𑤣 DIVES AKURU LETTER BHA 子音[bʱ]を表す。 bh
U+11924 𑤤 DIVES AKURU LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+11925 𑤥 DIVES AKURU LETTER YA 子音[j]を表す。

頭子音の無い母音を表すためにも用いられる[2]

[1]/y
U+11926 𑤦 DIVES AKURU LETTER YYA 子音[j]を表す。 y[1]
U+11927 𑤧 DIVES AKURU LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+11928 𑤨 DIVES AKURU LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+11929 𑤩 DIVES AKURU LETTER VA 子音[ʋ]を表す。 v
U+1192A 𑤪 DIVES AKURU LETTER SHA 子音[ɕ]を表す。 ś
U+1192B 𑤫 DIVES AKURU LETTER SSA 子音[ʂ]を表す。
U+1192C 𑤬 DIVES AKURU LETTER SA 子音[s]を表す。 s
U+1192D 𑤭 DIVES AKURU LETTER HA 子音[h]を表す。 h
U+1192E 𑤮 DIVES AKURU LETTER LLA 子音[ɭ]を表す。
U+1192F 𑤯 DIVES AKURU LETTER ZA 子音[z]を表す。 z
従属母音記号
U+11930 𑤰 DIVES AKURU VOWEL SIGN AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+11931 𑤱 DIVES AKURU VOWEL SIGN I 短母音[i]を表す。 i
U+11932 𑤲 DIVES AKURU VOWEL SIGN II 長母音[iː]を表す。 ī
U+11933 𑤳 DIVES AKURU VOWEL SIGN U 短母音[u]を表す。 u
U+11934 𑤴 DIVES AKURU VOWEL SIGN UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+11935 𑤵 DIVES AKURU VOWEL SIGN E 長母音[eː]を表す。 e
U+11936 (予約済み)
U+11937 𑤷 DIVES AKURU VOWEL SIGN AI 二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+11938 𑤸 DIVES AKURU VOWEL SIGN O 長母音[oː]を表す。 o
鼻音化記号
U+1193B 𑤻 DIVES AKURU SIGN ANUSVARA アヌスヴァーラ

直後に音節が後続する子音字に付き、直後の子音と同じ調音点鼻音が挿入されることを表す。日本語における「」に相当する。

U+1193C 𑤼 DIVES AKURU SIGN CANDRABINDU チャンドラビンドゥ。

母音字や母音記号に付き、母音を鼻母音で発音することを表す。

記号
U+1193D 𑤽 DIVES AKURU SIGN HALANTA 殺母音記号。母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す[2]

U+1193Eとは異なり制御文字ではなく、目に見える記号として現れる[1]

U+1193E 𑤾 DIVES AKURU VIRAMA ヴィラーマ。殺母音記号。母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す。

レンダー上は、子音連続を表す場合特殊な合字を形成するための不可視の制御文字として機能する[2]

母音化された子音と独立した母音文字の合字を作成するためにも用いられる[2]

U+1193F 𑤿 DIVES AKURU PREFIXED NASAL SIGN 子音クラスタにおいて、調音点の同じ鼻音が直前の子音の前に存在することを表す[2] ň[1]
接続形特有の文字
U+11940 𑥀 DIVES AKURU MEDIAL YA 子音クラスタにおける頭子音に後続する子音[j]を表す[2] y
U+11941 𑥁 DIVES AKURU INITIAL RA 子音クラスタにおける別の子音の前に発音される子音[r]を表す[2] r
U+11942 𑥂 DIVES AKURU MEDIAL RA 子音クラスタにおける頭子音に後続する子音[r]を表す[2] r
ヌクター
U+11943 𑥃 DIVES AKURU SIGN NUKTA ヌクター。子音字を拡張して新たな発音を表す際に用いられる。

文字体系を拡張するために使用される現代の発音区別符号[2]

約物
U+11944 𑥄 DIVES AKURU DOUBLE DANDA 文末を表す。終止符 .
U+11945 𑥅 DIVES AKURU GAP FILLER 行末のスペースを埋めるために用いられる。また、文書の末尾でテキストの終端を示すためにも用いられる[1]
U+11946 𑥆 DIVES AKURU END OF TEXT MARK テキストの終端を表す。

水平方向のストロークはスペースを埋めるために引き伸ばされる[1]

数字
U+11950 𑥐 DIVES AKURU DIGIT ZERO 数字の0 0
U+11951 𑥑 DIVES AKURU DIGIT ONE 数字の1 1
U+11952 𑥒 DIVES AKURU DIGIT TWO 数字の2 2
U+11953 𑥓 DIVES AKURU DIGIT THREE 数字の3 3
U+11954 𑥔 DIVES AKURU DIGIT FOUR 数字の4 4
U+11955 𑥕 DIVES AKURU DIGIT FIVE 数字の5 5
U+11956 𑥖 DIVES AKURU DIGIT SIX 数字の6 6
U+11957 𑥗 DIVES AKURU DIGIT SEVEN 数字の7 7
U+11958 𑥘 DIVES AKURU DIGIT EIGHT 数字の8 8
U+11959 𑥙 DIVES AKURU DIGIT NINE 数字の9 9

小分類

このブロックの小分類は「独立母音字」(Independent vowels)、「子音字」(Consonants)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「鼻音化記号」(Nasalization signs)、「記号」(Signs)、「接続形特有の文字」(Conjunct-specific letters)、「ヌクター」(Nukta)、「約物」(Punctuation)、「数字」(Digits)の9つとなっている[2]

独立母音字(Independent vowels

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、頭子音のない母音の音節を表す際に用いられる独立した母音字が収録されている。

子音字(Consonants

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

従属母音記号(Dependent vowel signs

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

鼻音化記号(Nasalization signs

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、鼻音化を表す結合記号が収録されている。

記号(Signs

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、様々な記号類が収録されている。

接続形特有の文字(Conjunct-specific letters

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、子音クラスタにおいて、頭子音に後続する、或いは子音の前に現れる、半母音のような介音として機能する子音を表すための子音記号が収録されている。

ヌクター(Nukta

この小分類にはディヴェス・アクル文字のうち、子音字を拡張して新たな発音を表す際に用いられるヌクターという記号1つのみが収録されている。

約物(Punctuation

この小分類にはディヴェス・アクル文字で用いられる句読点などの約物類が収録されている。

数字(Digits

この小分類にはディヴェス・アクル文字で用いられる固有の数字が収録されている。

文字コード

ディヴェス・アクル文字(Dives Akuru)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1190x 𑤀 𑤁 𑤂 𑤃 𑤄 𑤅 𑤆 𑤉 𑤌 𑤍 𑤎 𑤏
U+1191x 𑤐 𑤑 𑤒 𑤓 𑤕 𑤖 𑤘 𑤙 𑤚 𑤛 𑤜 𑤝 𑤞 𑤟
U+1192x 𑤠 𑤡 𑤢 𑤣 𑤤 𑤥 𑤦 𑤧 𑤨 𑤩 𑤪 𑤫 𑤬 𑤭 𑤮 𑤯
U+1193x 𑤰 𑤱 𑤲 𑤳 𑤴 𑤵 𑤷 𑤸 𑤻 𑤼 𑤽 𑤾 𑤿
U+1194x 𑥀 𑥁 𑥂 𑥃 𑥄 𑥅 𑥆
U+1195x 𑥐 𑥑 𑥒 𑥓 𑥔 𑥕 𑥖 𑥗 𑥘 𑥙
注釈
1.^バージョン17.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
13.0 U+11900..11906,11909,1190C..11913,11915..11916,

11918..11935,11937..11938,1193B..11946,11950..11959

72 L2/17-417 Anshuman Pandey (31 December 2017), Proposal to encode Dives Akuru (revised) (英語)
L2/18-016 Anshuman Pandey (20 January 2018), Proposal to encode Dives Akuru (revised; replaces L2/17-417) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j Anshuman Pandey (2018年1月20日). “Proposal to encode Dives Akuru (revised; replaces L2/17-417)” (英語). Unicode. 2025年9月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k “The Unicode Standard, Version 17.0 - U11900.pdf” (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年9月18日閲覧.

関連項目

  • ディヴェス・アクル文字



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