チアン語群とは? わかりやすく解説

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チアン語群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/06 09:37 UTC 版)

チアン語群
羌語群
話される地域 中国 四川省
言語系統 シナ・チベット語族
下位言語
Glottolog qian1263[1]

チアン語群[2](チアンごぐん、中国語: 羌语支英語: Qiangic languages)は羌語群(きょうごぐん)とも言い、シナ・チベット語族の下位群のひとつである。中国四川省西部を南北に縦断する川西民族走廊(せんせいみんぞくそうろう)と呼ばれる地域に分布する(南端のプミ語は雲南省にも分布する)。

西夏語がこの語群のうちギャロン語群に属するという説がある[3]

分類

孫宏開によると、チアン語群に属するとされる言語は以下のように分類される[4]

  • 北部
    • ギャロン
      • ギャロン語(嘉戎語 rGyalrong)
      • ラヴロン語英語版(拉塢戎語 Lavrung)
      • ダウ語英語版(道孚語 sTau)。アルゴン語とも呼ばれるが蔑称であり不適切[5]
    • チアン
      • チアン語英語版(羌語 Qiang)
      • ムニャ語英語版(木雅語 Mu'nya)
      • プミ語英語版(普米語 Prumi)
    • 西夏
  • 南部
    • ジャバ[6]
    • グイチョン
      • グイチョン語英語版(貴瓊語 Guichong)
      • チョユ語英語版(却域語 Choyu)
      • シヒン語英語版(史興語 Shihing)
    • アルス
      • ナムイ語英語版(納木義語 Namuyi)
      • アルス語英語版(爾蘇語)

また、黄布凡は孫宏開がアルス語の方言とするルズ語英語版(呂蘇語)を独立の言語とする[7]

ギャロン語とチアン語は10万人程度の人口がある。それ以外の諸言語の話者数は数千人から数万人台である。多くは他の土地の者と話すときにはカム・チベット語中国語を使用する[8]

これらの言語を話す人々の大部分は自らをチベット族と考えている[9]チャン族(チアン語)とプミ族(プミ語)は独立した中国の少数民族として公式に認められているが、他はチベット族とされている。

川西民族走廊ではカム・チベット語アムド・チベット語が話され、また東に中国語、南東に彝語の話者が分布する。

文法的特徴

孫宏開は、チアン語群に共有された音韻論形態論語彙的な特徴として、以下のものを挙げている[10][11]

音韻論

形態論・語彙

脚注

  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Qiangic”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/qian1263 
  2. ^ 池田(2003) p.65 では「チアン語支」と呼んでいるが、「語支」は中国語そのままなので、「語群」に変えた。なお「チャン語」はチベット・ビルマ語族に別の言語が存在するために紛れるおそれがある。池田(2003) pp.84-85 を参照
  3. ^ Lai, Yunfan, Gong, Xun, Gates, Jesse P. and Jacques, Guillaume. (2020). “Tangut as a West Gyalrongic language”. Folia Linguistica s41-s1: 171-203. 
  4. ^ 池田(2003) p.65
  5. ^ 池田(2003) p.91
  6. ^ a b 池田(2003)は「ヂャバ語」と表記し、チョユ語の方言である札巴語を「ジャバ語」とする。ただし池田(2001) p.4 では札巴語は「ザバ語」とする
  7. ^ 池田(2003) p.64
  8. ^ 池田(2003) p.71
  9. ^ 池田(2003) p.72 および p.107
  10. ^ 孫 2001, pp. 166–170.
  11. ^ Chirkova 2012.

参考文献




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