ダーウィンの『種の起源』の事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 21:12 UTC 版)
「仮説実験的認識論」の記事における「ダーウィンの『種の起源』の事例」の解説
チャールズ・ダーウィンはハーシェルの「2つの仮説を立てる」手法を『種の起源』で使った。ダーウィンは、地球上のあらゆる生物は「たった一つの原種から生まれたのか」「創造主が多数の生物種を作ったのか」の2つの仮説を立て、そのどちらが正しいかを実例をもとに検証し、最後に「たった一つの種から生物は生まれた」とするしかないと結論する。ダーウィンの理論は仮説演繹法を取る科学者から厳しい批判を受けた。たとえばウィリアム・ホプキンズ(1793-1866)は、「自然選択を仮定しても、これが種の進化をもたらす力を持つとアプリオリに信じる理由は全く無い。自然選択がそのような力を持つという主張は、帰納的手続きにより、仮定された原因の必然的な帰結と、自然が我々に示す現象とを注意深く付き合わせることによって確立されなければならない。ところがダーウィンの議論が示すのは〈自然選択により種の進化がもたらされるのかもしれない〉という結論のみである」と批判した。「結論を出すには根拠に乏しい」と言うのである。 ダーウィンの空想にも似た大胆な仮説は150年の時を経て、遺伝学、進化生物学の発展によって真理となった。このようにハーシェルらの「仮説演繹法」と板倉の「仮説実験的認識論」の違いは「仮説の重要性」にある。板倉の仮説実験的認識論は1800年代の仮説演繹法を修正した形で生まれたとも言える。
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