セグロウリミバエとは? わかりやすく解説

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セグロウリミバエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/05 13:57 UTC 版)

セグロウリミバエ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハエ目(双翅目) Diptera
亜目 : ハエ亜目(短角亜目) Brachycera
下目 : ハエ下目 Muscomorpha
上科 : ミバエ上科 Tephritoidea
: ミバエ科 Tephritidae
: Zeugodacus
: セグロウリミバエ Z. tau
学名
Zeugodacus tau
Walker1849
シノニム
  • Bactrocera tau (Walker)
  • Chaetodacus tau (Walker)
  • Dacus caudatus var. nubilus Hendel
  • Dacus hageni de Meijere
  • Dacus nubilus Hendel
  • Dacus tau (Walker)
  • Dasyneura tau Walker
  • Zeugodacus nubilus (Hendel)
和名
セグロウリミバエ
英名
pumpkin fruit fly
tau fruit fly

セグロウリミバエBactrocera tau[1][2][3][4]Zeugodacus tau[5]: Tau fruit fly[1]: Pumpkin fruit fly[1][2])は、ハエ目(双翅目)に属するハエの一種。主にウリ科植物を寄主植物とする農業害虫である[2][3]

分布

発生地域はインド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、台湾、中国、香港、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー及びラオスで[1]、朝鮮半島を除くアジア全域に広く分布する[2]。日本では2024年(令和6年)3月に沖縄本島北部でトラップに誘殺されたことが確認された後、分布を拡大させており[2]2025年(令和7年)には鹿児島県奄美群島の3町でも確認されている[4]

形態

成虫
成虫は体長8 - 9mm[2][4]。頭部は黄褐色で触角の下に1対の楕円形の黒色斑がある[4]。胸背部は全体的に黒褐色で、3本の黄色縦帯がある[4]。腹部は黄褐色で、第2節背板及び第3節背板に沿って黒状の帯状斑があり、第3節背板から第5節背板の正中線上に黒色の縦状斑がある[4]。また、メスには腹部の先端に突起状の産卵管があり容易にオスと区別できる[2]
ウリミバエやミスジミバエとは異なり、セグロウリミバエには中肘横脈に斑紋(翅(はね)のくさび型の黒い斑紋)がない[2][3]。また、セグロウリミバエとは異なり、ナスミバエには背中の真ん中に⻩⾊い線がない[3]
卵は細長い円筒形[2]。色は乳白色[2](白か黄白色[4])。
幼虫
幼虫(ウジ)は終齢幼虫での体長が7.5 - 9.0mmである[2]。体は乳白色[2]
蛹は褐色ののような形状で長径は6mm前後である[2]

生態

寄主果実内(主にウリ科植物の果実)に数個から数十個の卵が産み付けられる[2]。卵は1日から2日でふ化し、果実を食害しながら成長する[2]。その後、6日から11日程度で蛹になる[2](果実から脱して土中で蛹化する[4])。蛹は8日から19日程度で成虫になる[2]

成虫が産卵できるようになるには羽化から8日から21日程度かかる[2]。成虫の寿命は気温により異なるが6か月以上とされる[4]

寄主植物

主な寄主植物はウリ科植物(ニガウリカボチャヘチマスイカトウガンキュウリメロンラカンカ等)である[1][2][3]。このほかナス科トウガラシトマトなど[2][3]、バンジロウ(グアバ[2]インゲンマメサヤインゲンを含む)[2]スモモ[1]パパイヤ[2]パッションフルーツ[3]、ヒロセレウス・ウンダーツス(ドラゴンフルーツ[1]等への寄生が報告されている。

栽培植物だけでなく、野生植物でもケカラスウリ[2]への寄生が報告されている。

被害

果実にできる産卵孔によって付近が壊死して果実が腐敗したり、幼虫の果実内部の食害によって商品作物の価値が低下する[2][4]

外来種問題

日本

日本では1998年(平成10年)および2003年(平成15年)に石垣島でトラップに誘殺されたことが確認された[2]。その後、2024年(令和6年)に沖縄本島北部でトラップに誘殺されたことが確認され、2025年(令和7年)4月には沖縄本島中部まで分布を拡大させている[2]。また、2025年(令和7年)3月17日以降、鹿児島県の伊仙町与論町知名町でも確認されている[4]

日本では植物防疫法施行規則の輸入検疫対象害虫とされていたが、2025年3月から同規則の侵入警戒有害動物となった[2]

2025年4月から沖縄県の26市町村を防除区域に指定した緊急防除が開始された[1]

米国

ロサンゼルスで2023年6月7日から7月6日にかけて3地点で合計9頭の本虫の発生が確認された[1]。そのため農務省はカリフォルニア州と共同で同年7月11日から緊急防除を実施した[1]。この緊急防除は2024年6月28日に終了した[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k 植物防疫所病害虫情報 第138号 セグロウリミバエの解説”. 農林水産省. 2025年9月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab セグロウリミバエ Bactrocera tau(Walker)防除ハンドブック”. 沖縄県病害虫防除技術センター. 2025年9月4日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g セグロウリミバエまん延防止勉強会”. 八重瀬町. 2025年9月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号について”. 鹿児島県病害虫防除所. 2025年9月4日閲覧。
  5. ^ 本間 淳. “近縁な害虫種セグロウリミバエとウリミバエの間の繁殖干渉”. 日本生態学会第72回全国大会. 2025年9月4日閲覧。

   




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