スキタイなど草原遊牧民の美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:04 UTC 版)
「中央アジアの美術」の記事における「スキタイなど草原遊牧民の美術」の解説
羊などの家畜を飼い、騎馬で移動する騎馬遊牧民族が北方草原地帯に登場するのは、おおむね紀元前1000年前後とされる。こうした民族のうち、美術の面で特筆されるのは、イラン系の遊牧民とみられるスキタイである。スキタイは紀元前8世紀から紀元前3世紀頃まで黒海北岸から中央アジアにかけての草原地帯で活動した。移動を常とする彼らの文化が残した遺産は、持ち運び可能な金属製の馬具や武器が主体で、それらの文様は主に鹿、羚羊、鷲、ライオン、グリフィンなどの動物をモチーフにしたものである。なかでも、ライオンと鷲が合体した架空の生物であるグリフィンは、力の象徴として、また霊魂を異界へ運ぶ動物として崇拝されたため、文様に多く用いられている。金属製品に表される動物文は、草食獣は四肢を折り曲げ、肉食獣は体を丸めた形に表すものの多いことが特色である。こうしたスキタイの動物意匠について、かつてはその起源をアッシリアなどの西アジアに求める説が主流であったが、近年はこれを南シベリア、モンゴル高原などのユーラシア東部の独自様式と見る説が有力になっている。
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