ジーグラ・ニコルス法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 14:05 UTC 版)
パラメータ調整の経験則として、1942年にジョン・ジーグラ(John G. Ziegler)とナサニエル・ニコルス(Nathaniel B. Nichols)らによりに提案された2つの調整法が知られている。彼らの調整法にはジーグラ・ニコルスの限界感度法(Ziegler-Nichols' Ultimate Gain method, Ziegler-Nichols’Closed-Loop Method)とジーグラ・ニコルスのステップ応答法(過渡応答法)(Ziegler-Nichols' Process Reaction Curve method, Ziegler-Nichols’Open-Loop Method)がある。 ジーグラ・ニコルスの限界感度法では以下のような手順でゲイン値を決定する。まず、Ti→∞(あるいは最大)、Td→0として、調節器がP動作だけを行うようにする。次に、比例ゲインKPを0から徐々に大きくしていき、制御量が安定限界に達して一定振幅振動を持続するようになったところでKPの増加を止める。このときの比例ゲインをKu(限界感度)、振動周期をPu として、これらの値から調節器の各パラメータを下の表のように決める。限界感度法は最初のオーバーシュート量と次のオーバーシュート量の比を1/4程度にすることを目安とした方法で、このような調整を1/4減衰の制御などと呼ぶ。 ジーグラ・ニコルスの限界感度法制御の種類 K p {\displaystyle K_{p}} T i {\displaystyle T_{i}} T d {\displaystyle T_{d}} P 0.50 K u {\displaystyle 0.50{K_{u}}} − {\displaystyle -} − {\displaystyle -} PI 0.45 K u {\displaystyle 0.45{K_{u}}} 0.83 P u {\displaystyle 0.83P_{u}} − {\displaystyle -} PID 0.60 K u {\displaystyle 0.60{K_{u}}} 0.50 P u {\displaystyle 0.50P_{u}} 0.125 P u {\displaystyle 0.125P_{u}} ジーグラ・ニコルスのステップ応答法では以下のような手順でゲイン値を決定する。まず、調整器を介さずに制御対象単体にステップ入力を加える。これにより得られたステップ応答曲線から、曲線の勾配が最も急なところに接線を引き、その勾配をR=K/T(ここでKは定常ゲイン、Tは時定数)とする。この接線が横軸(時間軸)と交わる時刻と入力を加えた時刻との差を取り、この時間をLとする。これらの値から調節器の各パラメータを下の表のように決める。 ジーグラ・ニコルスのステップ応答法制御の種類 K p {\displaystyle K_{p}} T i {\displaystyle T_{i}} T d {\displaystyle T_{d}} P 1 / R L {\displaystyle 1/RL} − {\displaystyle -} − {\displaystyle -} PI 0.9 / R L {\displaystyle 0.9/RL} 3.3 L {\displaystyle 3.3L} − {\displaystyle -} PID 1.2 / R L {\displaystyle 1.2/RL} 2 L {\displaystyle 2L} 0.5 L {\displaystyle 0.5L}
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