ジメチルスルフィド
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 13:22 UTC 版)
ジメチルスルフィド | |
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硫化ジメチル |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 75-18-3 ![]() |
ChemSpider | 1039 |
日化辞番号 | J1.443E |
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特性 | |
化学式 | C2H6S |
モル質量 | 62.13 g/mol |
示性式 | CH3SCH3 又は (CH3)2S |
外観 | 特徴的な臭気のある無色の液体 |
匂い | 不快臭、いわゆる「磯の香り」 |
密度 | 0.840 g/mL |
融点 | - 98 ℃ |
沸点 | 37 ℃ |
水への溶解度 | 0.6 or 2.2g / 100ml[1] |
有機溶媒への溶解度 | エタノール、ジエチルエーテルに混和[1]。 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | OSHA MSDS |
引火点 | -49℃[1] |
発火点 | 205℃ |
爆発限界 | 2.2-19.7vol% |
関連する物質 | |
関連物質 | ジメチルスルホキシド ジメチルスルホン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ジメチルスルフィド (dimethyl sulfide, DMS) は常温で液体、水に難溶の有機硫黄化合物。スルフィドの一種である。ジメチルエーテルの酸素を硫黄で置き換えた構造。キャベツが腐った臭いとも表現される悪臭成分で、ミズゴケやプランクトンなどが作る物質でもある。海苔の香り成分としても重要である[2]。酸化することで溶剤として有用なジメチルスルホキシド (DMSO) となる。金属やルイス酸に配位して錯体を作りやすい。硫化ジメチルとも呼ばれる。また、英語 "sulfide" の発音から、ジメチルサルファイド とも呼ばれる。
悪臭
ジメチルスルフィドは悪臭成分であり、海などで感じる「潮臭さ」は海洋プランクトンが作るジメチルスルフィドによるものである。また、人間の口臭の原因となる成分の一つである。 また、この特徴を利用して、都市ガスなどを着臭している。
危険性
ジメチルスルフィドは濃度が高いと危険性の高い物質であり、以下のような危険性がある。また、危険性が高いゆえ、条例で使用禁止を定めている都道府県もある。
- 有毒性
- 濃度の高い気体は目・皮膚を刺激する。また、特に濃度が高いと酸欠が起こり、最悪の場合死亡する。
- 引火性
- 酸化剤と反応し、火炎・爆発の恐れがある。また、空気との混合気体は爆発しやすく、205 ℃ で発火する。さらに、空気より重いため床一面に広がりやすく、火がつくと遠くにまで炎が広がる恐れがある。
生産
メタノールと硫化水素を原料として、気相中、触媒存在下で反応させ生産する。製紙の副生成物であるリグニンに硫黄化合物を加え、加熱することでも生産されている[4][5]。ほとんどがジメチルスルホキシドの原料として用いられる。
その他
DMS は OHラジカルと反応し、SO2 とメタンスルホン酸に酸化され、SO2は更に硫酸(H2SO4) に酸化され硫酸は雲の生成に必要な凝結核(硫酸エアロゾル粒子)となる[6]。
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