シナ大王国誌
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「フアン・ゴンサーレス・デ・メンドーサ」の記事における「シナ大王国誌」の解説
『シナ大王国誌』は16世紀を代表する中国研究書であり、1585年に初版がローマで出版され、翌1586年にリスボンで改訂版が出版されている。16世紀のうちに12版を数え、イタリア語、ドイツ語、英語、フランス語、ラテン語、オランダ語に翻訳されている。 Historia de las cosas más notables, ritos y costumbres del gran reyno de la China. Roma: Grassi. (1585). 『シナ大王国誌』は2部にわかれる。前半は概論で、中国の自然・宗教・政治などについて述べる。後半は明に短期間滞在した3人の宣教師(マルティン・デ・ラーダ、ペドロ・デ・アルファロ、マルティン・イグナシオ・デ・ロヨラ)の旅行記である。 ゴンサーレス・デ・メンドーサは中国に実際に行ったことはなかった。『シナ大王国誌』の主な資料源はジョアン・デ・バロス『アジア史』第3編とベルナルディーノ・デ・エスカランテの著作で、第1部の構成はエスカランテによる。バロスやエスカランテも他の人物による記録をもとに著作したので、メンドーサは孫引きしたことになる。 17世紀になって実際に中国に派遣された宣教師の著作(リッチ・トリゴー『中国キリスト教布教史』など)が出版されると、『シナ大王国誌』は時代おくれになった。しかし、長く続いた西洋人の中国に対する理想化された見方は『シナ大王国誌』によって作られたところが大きい。 日本語訳:ゴンサーレス・デ・メンドーサ『シナ大王国誌』長南実; 矢沢利彦訳、岩波書店〈大航海時代叢書〉、1965年。 中国語訳:門多薩『中華大帝国史』何高済訳、中華書局、1998年。
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