サラディンとその大臣の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「サラディンとその大臣の物語」の解説
バートン版「アル・マリク・アル・ナシルとその宰相(第697夜-第698夜)」 東洋文庫版「大臣アブー・アーミル・ブヌ・マルワーンとアルマリク・アンナースィルの物語(第697夜-第698夜)」 昔、帝王(スルターン)サラディンに仕える大臣の元に、美しいキリスト教徒の少年奴隷がいたが、ある日帝王の目に留まり、帝王は心を奪われたようであった。大臣は少年を手元に置いて帝王の不興を買うことを恐れ、少年を帝王に献上した。またある日、大臣は美しい少女奴隷を買ったが、いつの日か帝王の目に留まることを恐れ、先回りして少女を帝王に献上した。大臣の評価は高まり、帝王は大臣を重用した。 しかし、回りの者は大臣を羨望し、帝王に「大臣は少年奴隷を帝王に取られたことを恨んでいる」と嘘の噂を伝えた。そこで、帝王は大臣の忠誠を試すため、少年奴隷に「何らかの手段で、私を帝王から取り返して欲しい」という大臣宛の手紙を書かせ大臣に届けさせた。大臣は手紙を開封せず、「すでに帝王に献上したものは帝王のものだ」と言って手紙を返した。帝王の大臣に対する信用は益々上がった。
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