コーシー・リーマンの方程式
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数学の複素解析の分野において、コーシー・リーマンの方程式(英: Cauchy–Riemann equations)は、2つの偏微分方程式からなる方程式系であり、連続性と微分可能性と合わせて、複素関数が複素微分可能すなわち正則であるための必要十分条件をなす。コーシー・リーマンの関係式とも呼ばれる。オーギュスタン=ルイ・コーシーおよびベルンハルト・リーマンの両者にちなんで名付けられた。この方程式系に最初に言及したのはジャン・ル・ロン・ダランベールの著作である[1]。後に、レオンハルト・オイラーはこの方程式系を解析関数と結びつけた[2]。コーシーはさらにコーシー・リーマンの方程式を彼の関数論を構築するために用いた[3]。関数論に関するリーマンの論文は1851年に発表された[4][5]。
実2変数の実数値関数の対 u(x, y), v(x, y) に関するコーシー・リーマンの方程式は次の2つの方程式である。
コーシー・リーマンの方程式
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「正則関数」の記事における「コーシー・リーマンの方程式」の解説
詳細は「コーシー・リーマンの方程式」を参照 z = x + iy とし、ガウス平面 C を実平面 R2 と同一視すると、複素関数 f は 2 つの実 2 変数関数 u(x,y), v(x,y) を用いて f(x,y) = u(x,y) + iv(x,y) と表すことができる。f(z) = f(x, y) が正則関数であれば、u, v はコーシー・リーマンの方程式と呼ばれる偏微分方程式 { ∂ u ∂ x = ∂ v ∂ y , ∂ u ∂ y = − ∂ v ∂ x {\displaystyle {\begin{cases}\displaystyle {\frac {\partial u}{\partial x}}={\frac {\partial v}{\partial y}},\\\displaystyle {\frac {\partial u}{\partial y}}=-{\frac {\partial v}{\partial x}}\end{cases}}} を満たす。 ここから正則関数 f(x,y) の実部 u(x,y), 虚部 v(x,y) は実 2 変数の調和関数であることがわかる。 コーシー・リーマンの方程式は f(x,y) が正則となるための必要条件であるが、さらに u(x,y), v(x,y) が、2 変数の関数として全微分可能であるならば、f(x,y) は正則となる。 また、ウィルティンガーの微分を用いれば、コーシー・リーマンの方程式は、ディーバー方程式 ∂ ∂ z ¯ f ( z ) := 1 2 ( ∂ f ∂ x + i ∂ f ∂ y ) = 0 {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial {\bar {z}}}}f(z):={\frac {1}{2}}\left({\frac {\partial f}{\partial x}}+i{\frac {\partial f}{\partial y}}\right)=0} に変換される。 ディーバー方程式を用いれば、たとえば、多項式に z しか現れないとき、コーシー・リーマンの方程式が成り立つのは一目瞭然であるし、 | z | = z z ¯ {\displaystyle |z|={\sqrt {z{\bar {z}}}}} のように z を含むものを、z で微分して 0 にならないのであれば、コーシー・リーマンの方程式は満たされないのである。 |z| の場合は、z 微分して 0 にならないこともすぐ分かり、正則ではない。
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