コンプトン・ジェネレーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:19 UTC 版)
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コンプトン・ジェネレーター(英: Compton generator)[2][3]またはコンプトン・チューブ(英: Compton tube)[4]とは、フーコーの振り子やジャイロスコープと同じく地球の自転を観測する実験装置のことである[5]。アメリカ合衆国の物理学者であるアーサー・コンプトンが、ウースター大学の学部生として在籍していた1913年に発表した[5][注釈 1]。
構造

観測装置の主要な部分は、真鍮製の管をトーラス状のリングにしたものに、水を満たしてあるリング管である[1]。トーラスの直径は45.7cm(18インチ)[6][注釈 2]。またリング管の内径は25.4mm(1インチ)である[6]。リング管の直径方向の2ヶ所を内径9.5mm(3/8インチ)まで絞り、ここにガラス窓をとりつけて観察窓とした[8]。観察窓の部分の内径を細く絞っている理由は、水流発生時に流速を上げて観測を容易にするためである[8]。
リング管の位置はリングの中心で直交する向きでリング管を固定する剛体の棒でリング全体を保持する[8]。またこの剛体の棒は、リング管全体を回転する[8]。
リング管を満たす水には、水とほぼ同等の比重の油を混ぜてよくかき混ぜた[1]。このようにすることで水の中に均一に油球ができ、流速の観察が容易になる[1]。
リング管の中での位置の違いによる水の温度差によって生じる対流を防止するため、ガラス管の観察窓の部分以外は断熱材で覆われている[1]。コンプトンは摂氏4度で実験を行った[8][注釈 3]。
リング面を水平に置き、回転軸を東西方向に合わせて、管内の水が静止した状態から180度回転させる[1]。すると、リングの上から見た向きで左回りの水流が観察できる(北半球の場合)[1][注釈 4]。ただし回転軸を南北方向に置いて180度回転しても水は流れない[2]。
またリング面を垂直の状態からすばやく180度に反転させ、上下を反転させると、リング内の水流が東側で上昇し、西側で降下する現象が観察できる[1]。ただしコンプトンの論文によると、垂直の状態からの実験ではリングの上部と下部で温度変化が生じないように断熱した小部屋に入れて観察を行う必要があった[1]。
理論
コリオリの力と流速(水平面からの反転)
コンプトン・ジェネレーターの回転により生じる流速と地球の自転から受けるコリオリの力の関係を導出する。ここで地球の自転の角速度 ウィキメディア・コモンズには、コンプトン・ジェネレーターに関連するカテゴリがあります。
コンプトン・ジェネレーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 16:19 UTC 版)
「フーコーの振り子」の記事における「コンプトン・ジェネレーター」の解説
詳細は「コンプトン・ジェネレーター」を参照 アメリカ合衆国の物理学者であるアーサー・コンプトンはコンプトン効果を発見し、1927年にノーベル物理学賞を受賞した人物である。コンプトン・ジェネレーターとは、アーサー・コンプトンがウースター大学の学生であった1913年に発表した地球の自転を観測する装置である。 装置の形状は、トーラス状の中空管になっている。リング管の内側は水で満たされていて、流速を計測できるようになっている。コンプトンは水に少量の油を混ぜて油球をつくり、これを顕微鏡を使って流速を測定した。またトーラスの管は、直径方向に回転軸がついておりリング面を反転することができる。 実験は、まずリング面を水平にして回転軸を東西方向になるように設置する。リング管の中の水が静止した状態から、ゆっくり(約3秒程度で)180度回転してリング面を反転させて、リング管の中の流速を測定する。 ここでリングの半径を R {\displaystyle R} 、地球の自転の角速度を ω {\displaystyle \omega } 、リングの置かれた位置の緯度を θ {\displaystyle \theta } とし、リング面が水平で静止した状態から反転させたときの流速を v t h {\displaystyle v_{th}} とすると、理論値は以下のように求めることができる。 v t h = 2 ω R sin θ {\displaystyle v_{th}=2\omega R\sin \theta } この計算方法に従うと、東京(北緯35度)で半径50cmのコンプトン・ジェネレーターを水平から180度反転させて流速を測定すると、0.04 mm/s(分速2.5mm)となる。コンプトンの実験結果は、理論値から3%以内の誤差に収まったことが報告されている。
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