コイルの構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/29 14:10 UTC 版)
コイルは電気伝導体の巻線として構成でき、一般に強磁性またはフェリ磁性の素材や空気を芯(コア)として、その周りに銅線を巻く。空気より高透磁率のコア素材を使うことで磁場を強化してそれをコイル内に閉じ込めることができ、それによってインダクタンスが増大する。低周波用コイルは変圧器と同様の作り方で、コアとしてケイ素鋼を積層したものを使い渦電流を防ぐ。音声周波数より高い周波数ではソフト・フェライトが広く使われている。これは、ソフト・フェライトが一般的な鉄合金よりも高周波でのコア損失が小さいためである。コイルには様々な形状のものがある。最も一般的な形状は、フェライト製ボビンの周りにエナメルでコーティングされた銅線を巻いたもので、通常は巻線が見えているが、巻き線がフェライトに完全に囲まれたものもある。コアを調整可能なコイルもあり、インダクタンスを変化させることができる。 小さいインダクタはプリント基板上に渦巻パターンを形成することでも実現できる。このような平坦なコイルに平坦なコアを付加してインダクタンス値を強化することもある。 小さいインダクタは集積回路上にも形成することができる。アルミニウムを使用する配線層に渦巻状のパターンを作って形成する。しかし寸法が小さいためインダクタンス値は極めて小さい。そのため、コンデンサと能動素子を組み合わせたジャイレータと呼ばれる回路でインダクタの振る舞いを再現することも多い。プロセスによって不可能なものもあるが、四角形で設計するよりも円形に近づけた形で設計する方がわずかながら高いインダクタンス値が得られる。 究極的には、長さのある配線には、ごくわずかにインダクタンスがある。端子からリード線が出ているタイプのキャパシタの高周波特性の直列誘導成分の主因であり、高周波になればなるほど、信号を引き回す。そのトラブルの原因は、そのインダクタンスと、その双対として、長さのある配線間には必ずキャパシタンスがある、という物理的な性質のためである。
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