キヤノン EFとは? わかりやすく解説

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キヤノン EF

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 14:26 UTC 版)

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キヤノン EF

キヤノンEFは、1973年昭和48年)にキヤノンから発売されたマニュアルフォーカス一眼レフカメラである。

概要

当時小西六(現コニカミノルタ)が一眼レフカメラのAE化においてリードしており、機械式シャッターのままシャッター速度優先AEとした、「コニカ・オートレックス」を発売していた。さらに旭光学(現リコーイメージング)からも世界初の電子シャッターによる絞り優先AE一眼レフ「アサヒペンタックス ES」が登場、翌1972年(昭和47年)には日本光学工業(現ニコン)からも絞り優先AEが可能な「ニコマート EL」が登場していた。

キヤノンでは後にキヤノン AE-1となる電子シャッターを用いたシャッター速度優先AE一眼レフを開発していたが、ワインダーやズームレンズ、マイクロコンピュータといった先進装備を多数盛り込む予定であったため、開発に時間がかかっていた。そこで開発期間が短縮できるユニットシャッターに注目、コパルが開発した「コパルスクェアS」を使ったシャッター速度優先AEカメラを開発することになった。「コパルスクェアS」は機械式シャッターだったが、低速シャッターを充実させるため低速制御用機械ガバナーを電子制御に改造し、30秒までのシャッター速度をシャッター速度優先AEで使用できるようにしてこのモデルに採用した。コパルのユニットシャッターが使われたマニュアルフォーカス一眼レフはキヤノンではこのキヤノンEFだけだが、ずっと後のEOSシリーズではコパル製のシャッターユニットが積極的に使われることになる。

シャッター速度ダイヤル - レリーズボタン - 巻き上げレバーがいずれも同軸になるように設計されており、そのためカメラのホールド性向上を狙いファインダーがやや左手寄りに設置されている。

キヤノン F-1の弟分として期待された機種であったが、後に世界的ヒットとなるキヤノン AE-11976年(昭和51年)に発売されたため、生産台数はさほど多くない。

主要諸元

  • 形式:35 mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ。
  • 画面サイズ:24 mm×36 mm。
  • レンズ:開放測光用信号レバーを持つFDレンズ(開放AE)およびFLレンズ。
  • レンズマウント:キヤノンFDマウント(リング締め付けのスピゴット式)。
  • ファインダー:ペンタプリズム使用アイレベル式。
  • ピントグラス:中央スプリットイメージ+マイクロプリズム、周辺マット。
  • 視野率:上下92 %、左右93 %。
  • 倍率:0.82倍(50 mm標準レンズ無限遠の場合)。
  • ファインダー内情報:スプリットマイクロプリズム距離計、メーター指針、シャッタースピード目盛、絞り目盛、露出警告マーク、絞込み測光用定点。
  • ミラー:ノンショッククイックリターンミラーミラーアップ可能。
  • 測光方式:シリコンフォトセル(SPC)受光素子使用のTTL式中央部重点・平均開放測光、シャッタースピード優先式AE。
  • 測光範囲:ISO 100・FD50 mm F1.4S.S.CでEV-2 - EV18まで21段階。
  • 使用フィルム感度:ISO 12 - ISO 3200。
  • 露出記憶機構:押しボタンによるAEロック。
  • シャッター:上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター。
  • シャッタースピード:1/1000、1/500、1/250、1/125、1/60、1/30、1/15、1/8、1/4、1/2、1、2、4、8、15、30(秒)、B(バルブ)、X接点は1/125秒。
  • シャッターダイアル:巻上げ軸と同軸のダイアル上部一覧式、1/1000~1秒およびB(バルブ)は白字、1/125秒はオレンジ色字、2~30秒は黄色字、ファインダー内表示は1/1000 - 1秒およびB(バルブ)は黒字、2~30秒は白抜き字。
  • 長時間露出指示ランプ兼バッテリーチェッカー:1秒以上のスローシャッター時にバッテリーチェック用のLEDが点滅する。
  • セルフタイマー:組み込み、シャッターボタンで始動、時限約10秒。
  • フィルム巻き上げレバー:一動作120度回転レバー、予備角13度、小刻み巻上げ不可能。
  • フィルム巻き戻し:上部クランク式、スプロケット解除は押しボタン式、ボタンは巻上げで解除。
  • フィルムカウンター:順算式、自動復帰。
  • 多重露出:多重露出ボタンを押しながら巻き上げることにより行う、この間フィルムカウンターは停止。
  • 自動空送り:シャッターを押さずに3回空送りで撮影準備可能。
  • CATシステム:オートリングおよびスピードライト133Dとの組み合わせにより可能。
  • シンクロフラッシュ:X接点 1/125秒以下で同調。
  • ソケット:アクセサリーシュー部に直結接点(CATシステム接点)、ボディ側面に感電防止カバーつきJIS・B型ソケット。
  • 使用電池:JIS・HD型1.35 V水銀電池2個。
  • 大きさ:ボディのみ147(幅)×47.7(奥行き)×96(高さ)mm。
  • 重量:ボディのみ740 g、FD50 mm F1.4S.S.C.付き1,045 g。

その他

  • モータードライブを装着することはできない。
  • キヤノンで最初のコパル製シャッターを搭載し、また高速側は機械式、低速側は電子式のハイブリッドシャッター[1]を採用した。
  • キャッチコピーは「太陽と影」。
  • スピードライト133Dと、FD50 mm F1.4 S.S.C.(スーパー・スペクトラ・コーティング)、FD50 mm F1.8 S.C.(スペクトラ・コーティング)、FD35 mm F2.0 S.S.C.またはFD35 mm F3.5 S.C.のいずれかを組み合わせた場合、撮影距離をレンズについているピンを使ってスピードライト側に伝え、ピントを合わせるだけで自動的に絞りが設定されるCATシステム(Canon Auto Tuning System )が使用できた。

脚注

  1. ^ 発売当時は「コンビネーション・シャッター」と称していた。

関連項目

外部リンク



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