きさご【細=螺/喜佐古/扁=螺】
喜佐古
扁螺
細螺
喜佐古
扁螺
細螺
キサゴ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/16 01:43 UTC 版)
キサゴ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Umbonium costatum Kiener, 1838[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
キサゴ (喜佐古) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
a kind of the button snails 中名 肋䗉螺 (lè chāng luó) |
キサゴ Umbonium costatum は、殻高が低くやや平べったい直径約3cm以下の巻貝で潮間帯下の砂底に棲む。ニシキウズガイ科 Trochidaeに分類される[2]。
形態
- 貝殻
- 貝殻は、殻高が低くやや平べったい直径約3cm以下の低円錐形の巻貝。キサゴ亜科に含まれる他の属の貝では底面に臍が開いている種族が多いが、キサゴ属の貝殻は底面に滑層が平たく広がり閉じていて砂に潜りやすくなっている。蓋は角質で丸くて薄い[2]。
- 軟体
- 陸生のカタツムリのように伸びた柄の先に眼がある。二枚貝のように海水中の懸濁物を餌としてこしとるために、吸水管と排水管を持ち、海水を取り込むための頸葉が発達する[3]。 ニシキウズガイ科の特徴として、足(吸盤)の両サイドに上足触角が並び、左右一対の腎臓・心房・鰓下腺を持ち、腸が心室を貫通する。生殖器は持たず、生殖輸管が右の腎臓に開口する。一方で、櫛鰓や嗅検器は一対ではなく体の左側のみで、新生腹足類への移行的な構造も持つ[4][5]。
生態
潮間帯下の砂底のダンベイキサゴよりもやや深いところに生息し、海水をろ過して食餌する。他の原始腹足類と同様に、雌雄の別はあるが交尾はせず、放卵・放精する。幼生の浮遊期間は長くなく、分布域は日本近海に限られている。1年で成熟し、最長8年まで生きる[6]。
分布
分類
ニシキウズガイ科 Trochidaeに分類される。近縁の種ではダンベイキサゴ Umbonium giganteumは本種よりも浅い砂底に棲み、本種よりも大きく育つ。イボキサゴ Umbonium moniliferumは本種よりも浅い内湾に棲み小型。本種も含めたこれらキサゴ類は、日本沿岸特有の種で、Suchium スウチキサゴ亜属に分類されたこともある。
化石
日本各地でキサゴ類の化石が見つかっているが、Umbonium costatumの化石は約150万年前の更新世の地層に見られ、化石が生息していた環境は、内湾の浅海であることが分かる。本種の祖先は約400万年前の鮮新世のUmbonium obsoletumであると考えられ、進化の過程でより低温の海水に耐えられるようになり、暖海から比較的高緯度へ、外洋に面した海岸から内湾へと生息域を広げていった[7]。
人との関係
江戸時代後期の武蔵石壽による目八譜に「喜佐古」が図示されている[8]。食用になる。「きしゃご」(細螺)とも呼ばれ、昭和時代まで貝殻はおはじきとして遊ばれていた[9][10]。
類似の種
- イボキサゴ Umbonium moniliferum 東北地方から九州に分布[2]。
- ダンベイキサゴ Umbonium giganteum 北海道南部以南の日本と朝鮮半島 [2]。
- サラサキサゴ Umbonium vestiarium: 台湾以南のインド洋-西太平洋[11]。
出典
- ^ D. Herbert (2021年). “ Umbonium costatum (Kiener, 1838)”. WoRMS. 2025年8月16日閲覧。
- ^ a b c d e 世界文化生物大図鑑 貝類, p. 51.
- ^ Lim Yi Lin, 2019-12-12. ”Umbonium vestiarium (Vetugastropoda: Trochidae) Button snail”. Accessed through:Wiki.nus at https://wiki.nus.edu.sg/display/TAX/Umbonium+vestiarium+%28Vestigastropoda%3A+Trochidae%29+Button+snail on 2021-1-31
- ^ Takenori Sasaki (1998). “Comparative Anatomy and Phylogeny of the recent Archaeogastropoda (Mollusca: Gastropoda)”. Bulletin (The University Museum, The University of Tokyo) (39): 1-223 .
- ^ 佐々木 2010, p. 183-186.
- ^ T. Noda, S. Nakao and S. Goshima (1995). “Life history of the temperate subtidal gastropod Umbonium costatum”. Marine Biology 122: 73-78.
- ^ 中山 & 近藤 2018.
- ^ 武蔵石壽著・服部雪斎画「(四十五)喜佐古」『『目八譜』』第七巻、1843年。
- ^ 波部 & 小菅 1996, p. 15.
- ^ 樋口一葉ほか『21世紀版少年少女日本文学館.1たけくらべ・山椒大夫』講談社、2009年、59-60頁。ISBN 9784062826518 。
- ^ アボット & ダンス 1985, p. 47.
参考文献
- R.T.アボット、S.P.ダンス『世界海産貝類大図鑑』波部忠重、奥谷喬司 監修・訳、平凡社、1985年3月。 ISBN 4582518117。 NCID BN00814197。NDLJP:12602136。
- 波部忠重・小菅貞男『エコロン自然シリーズ 貝』保育社、1996年。 ISBN 4586321067。 NCID BN14487838。
- 奥谷喬司、竹之内孝一『貝類』(改訂新版)世界文化社〈世界文化生物大図鑑 貝類〉、2004年。 ISBN 9784418049042。 NCID BA67640341。全国書誌番号: 20617488。
- 佐々木猛智『貝類学』東京大学出版会、2010年。 ISBN 9784130601900。 NCID BB02985028。全国書誌番号: 21846371 。
- 中山健太朗; 近藤康生 (2018). “現生種腹足類キサゴUmbonium (Suchium) costatumおよび祖先種Umbonium (Suchium) obsoletumの成長・生育場所・分布”. Fossils (日本古生物学会) 103: 37–50.
外部リンク
「キサゴ」の例文・使い方・用例・文例
- キサゴという貝
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