カモノハシ_(植物)とは? わかりやすく解説

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カモノハシ (植物)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/17 17:26 UTC 版)

カモノハシ
カモノハシの穂
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae (Gramineae)
: カモノハシ属 Ischaemum
: カモノハシ I. aristatum
学名
Ischaemum aristatum
L. var. glaucum
(Honda) T. Koyama
和名
カモノハシ

カモノハシ (Ischaemum aristatum L. var. glaucum (Honda) T. Koyama) は、単子葉植物イネ科カモノハシ属の植物である。(同じカモノハシと呼ばれる動物もいる。)

特徴

葉の間から抜け出るが特徴的である。この穂は、一見すると枝のない棒状に見えるが、手にとって見ると、偏平な面で互いに寄り合った2本の枝からなることが分かる。これがカモのように見えることが名称の由来である。

背の低い日向の草原に生育する多年草で、根元の茎はやや横に這い、小さな集団を作る。茎はやや立ち上がり、多数の葉をつける。葉は線形でやや硬い。

花は夏から秋に出る。細く直線状の柄が葉の間から高く抜き出て、その先端に1個の穂がつく。穂は長さ4–8cm、太い円柱形で、全体としては狭い楕円形に見える。見かけ上は一つに見えるが、実際には背中合わせに2本の枝がある。それぞれの背面は平坦で、密着すると1本に見える。小穂はすべて穂の枝に密着して生じる。楕円形で偏平、その形が大きいので、穂全体が大きな鱗でできているように見え、乾くと小穂が反り返るので、ぎざぎざとした印象になる。

本州から九州の湿った草地や海岸付近に生育する。

小穂の構造

この類の穂は、真っすぐな軸の片面に小穂が密着するように並んでいるが、2つずつの小穂が組になっている。第一小穂は短い柄があってその先につき、第二小穂はその柄の基部について、それ自身にはほとんど柄をもたない。どちらの小穂も楕円形で左右に偏平になっており、それぞれを構成する(えい)は、どれも二つ折りになっている。

2つの小穂は形の上でも多少異なっているが、性別がはっきりと異なる。柄の先につく第一小穂は2個の雄花を含む。柄の基部にある第二小穂は第一小花は雄性、第二小花は両性花となっている。いずれも外側の穎はやや硬い革質、内側の穎は膜質である。

カモノハシの花の場合、どの小穂にも芒がないが、ケカモノハシの場合、第二小穂の第二小花の護穎に(のぎ)が出る。

近縁種

カモノハシ属は、世界の熱帯から暖帯に約50種ほどが分布し、特にアジア南部から太平洋の島嶼に種類が多い。日本ではこのほかにいくつかの種がある。代表的なものを挙げる。下記のほかに、南西諸島に若干の種が知られる。

  • タイワンカモノハシ (I. aristatum L. var. aristatum) - カモノハシの基本変種に当たる。 第二小穂の第四穎に芒が発達する点で区別される。本州南部から以南、琉球列島から中国南部をへてインドシナまで分布する。
  • ケカモノハシ (I. anthephoroides (Steud.) Miq.) - 全体にやや大きく、穂一面に毛が生えていること、茎の節にも毛が生えることで区別される。カモノハシは全株にほとんど毛がない。海岸の砂地に生える海浜植物で、日本では北海道から九州まで生育地があり、朝鮮、中国にも分布する。
  • ハナカモノハシ (I. aureum (H. et A.) Hack) - トカラ以南の琉球列島の海岸の岩場に束生状に生える。小穂にはすべて芒が発達する。

参考文献

  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎他 『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』 平凡社、1982年。
  • 北村四郎・村田源・小山鐵夫 『原色日本植物図鑑 草本編 (III)・単子葉類(改定49刷)』 保育社、1987年。
  • 長田武正 『日本イネ科植物図譜(増補版)』 平凡社、1993年。
  • 初島住彦 『琉球植物誌(追加・訂正版)』 沖縄生物教育研究会、1975年。

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