オクシモハギ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/16 05:00 UTC 版)
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オクシモハギ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Lespedeza davidii (Franch., 1883) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
オクシモハギ |
オクシモハギ(置霜萩、学名: Lespedeza davidii)はマメ科ハギ属の落葉低木あるいは多年草。中国原産で中国南東域を中心に、華中・華南に広く分布する。
概要
1868年に、フランスのカトリック神父で植物学者のアルマン・ダヴィドが中国滞在中に江西省九江市周辺の丘陵地で採取して、フランス国立自然史博物館へ送った標本を元に、アドリアン・ルネ・フランシェが1883年に新種として発表し、発見者のダヴィド(David)にちなんでDavidii(Davidの)と命名した[1][2]。
日本への導入は植物学者の前川文夫が戦争従軍中の1942年に、江西省の鄱陽湖の湖口近くの路傍で種子を採取し、東京の父親に郵送して自宅の庭に播種したのが初めてとされる。前川は初め、軍任務中に植物採集を許してくれた奥田曹長にちなんで「奥田萩」と名付けたが、後に、葉や茎に密生した立毛を白霜に見立てて「置霜萩」と改名し、知人・友人に苗や種子を頒布した[3][4]。
1999年には、帰化植物として日本に定着していることが確認され、各地の林道法面で見つかっているが[5][6]、緑化工事のために中国から輸入されるヤマハギなどの郷土種(当該地域に自生分布する種)の種子に混じって散布されている可能性が指摘されている[7][8]。
特徴
高さ2mほどの低木まで成長し、根本では親指大の太さになるが、2-3年で枯れて新条を立てる[3][5]。
ヤマハギやケハギよりも開花が遅く、9月下旬に紅紫色の1cmほどの大きさの花が咲く。花序は短く、いくつかの花が密集して一塊になる。花被(萼歯)は狭三角形で毛が密生し、先端が尖った形をしている[1][6][5]。
葉は三小葉で、小葉は卵形または広倒卵形で先端は丸みを帯び、最大のもので長さ8-10cmと大型で、両面に伏せた短毛が密生し帯白色に見える[5]。
茎・枝は角ばった形で、ビロード状に長軟毛が密生し、広く両側に張り出して成長する[1][5][9]。
果実は楕円形で、長さ8mmほど、伏せた組毛が密生する。結実が遅いため、成熟前に霜にやられてしまうことが多い[3][9]。
脚注
- ^ a b c A. Franchet (1883). “PLANTÆ DAVIDIANZÆ” (latin). Nouvelles archives du Muséum d'histoire naturelle (Muséum national d'histoire naturelle (France)): 246-247.
- ^ 自然科学と博物館 35 (9-10): 表紙. (1968-09).
- ^ a b c 前川文夫 (1981). 植物の名前の話. 八坂書房. p. 128-130
- ^ 湯浅浩史 (1982.6). 花の履歴書. 朝日新聞社. p. 140
- ^ a b c d e 大橋広好; 根本智行; 伊藤隆之 (2003-02). 植物研究雑誌編集委員会. ed. “ハギ属の帰化植物 4種”. 植物研究雑誌 (株式会社ツムラ) 78 (1): 50-53.
- ^ a b 大原隆明 (2007). “富山県フロラ資料(11)”. 富山県中央植物園研究報告 (富山県中央植物園) 12: 57-76.
- ^ 大橋広好; 五百川 裕 (2007-06). 植物研究雑誌編集委員会. ed. “ハギ属の帰化植物 4種”. 植物研究雑誌 (株式会社ツムラ) 82 (3): 175-176.
- ^ 緑化植物委員会 (2022). 植物研究雑誌編集委員会. ed. “生物多様性に配慮した緑化植物の取り扱い方に関するガイドライン2023”. 日本緑化工学会誌 (日本緑化工学会) 48 (4): 557-575. doi:10.7211/jjsrt.48.557.
- ^ a b 最新園芸大辞典編集委員会, ed (1983.4). 最新園芸大辞典 第7巻 (L・M). 誠文堂新光社. p. 42
関連項目
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