オキナワスミレとは? わかりやすく解説

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オキナワスミレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/31 04:01 UTC 版)

オキナワスミレ
保全状況評価[1]
絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 双子葉類 eudicots
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: オキナワスミレ Viola utchinensis
学名
Viola utchinensis Koidz.[2]
和名
オキナワスミレ

オキナワスミレ(沖縄菫、Viola utchinensis)は、スミレ科スミレ属多年草。 学名は、ウチナー沖縄本島)のスミレの意味。沖縄県恩納村万座毛の海岸断崖の斜面にのみ生息が確認されている。

分類

1938年に、天野(金城)鉄夫によって発見され、植物学者小泉源一が新種として発表した[3][注釈 1]。 和名は、はじめハイスミレと発表され[注釈 2]、のちにマンザモスミレ、現在はオキナワスミレと呼ばれる[4]

タチツボスミレの仲間とされていたが、花柱の柱頭の形状による分類ではウラジロスミレの仲間とみなされる。染色体数は他のスミレ属の多くの種と異なり44で[5]分子系統解析による新たな分類も試みられている[6]

生態

隆起サンゴ礁で形成された石灰岩の隙間に生息する。高さは5-10cm[7]

全体に無毛で、羊皮紙様の肉厚で光沢のあるハート形の葉をもち、6cmほどの花柄に白色か淡紫色の5弁花を横向きにつける[2][8]

葉の大きさは、長さ13-24mm、幅12-22mmで、縁はギザギザになっているが角は丸く、色は上部が緑色で下部は淡緑色、両側に4本の葉脈があり、4cmほどの細い葉柄を持つ[2][4]

花の大きさは、13mmほどで、下弁に紫のすじがある。花期は2月から3月[2][7][8]

根は太く育ち、木質で多くの節を持つ根茎が分岐しながら岩間を斜めに走る[2][4]。また、横向きに匍匐茎を伸ばし、その先に新株をつけて増えることができる[9]

果実は球形[9]。葉より低い位置に実をつけ、中の種子はアリによって散布される[10]

保護

オキナワスミレの生息域を含む万座毛断崖の植物群落は、1972年5月12日に万座毛石灰岩植物群落として県指定天然記念物となっている[11]

生息地が限られ植被率も低いため[12]、IUCNのレッドリストでは、絶滅危惧ⅠA類(CR)に分類されているが[13]、環境省レッドリストでは、2006年に大きな集団が新たに発見され、約200個体の現存が報告されたこともあり、1段階低い絶滅危惧ⅠB類(EN)に分類されている[1]

沖縄県のレッドデータでは、絶滅危惧ⅠA類(CR)[14]

注釈

  1. ^ (lg. T. KANAGUSUKU !)[2]
  2. ^ Nom. Jap. Hai-sumire[2]

出典

  1. ^ a b オキナワスミレ”. 環境省第5次絶滅危惧種検索. 2025年3月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Koidzumi, G. (1938). “Contributiones ad Cognitioem Florae Asiae Orientalis” (ラテン語). Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 7 (2): 113–114. doi:10.18942/bunruichiri.KJ00002594478. ISSN 0001-6799. 
  3. ^ 沖縄県文化振興会史料編集室「資料5 天野(金城)に因む動植物」『史料編集室紀要』第13巻、1988年、71-72頁、doi:10.11501/7960802 
  4. ^ a b c 浜栄助『日本のすみれ 写真集』誠文堂新光社、1987年3月、80頁。 
  5. ^ 鈴木進; 鈴木章『すみれパンジー』農業図書、1984年4月、21頁。 
  6. ^ 日本国内でみられるスミレ属の分子系統解析による新たなる分類”. 中谷財団. 2025年3月31日閲覧。
  7. ^ a b 埴沙萌『野の花山の花大図鑑』講談社、1985年6月、193頁。 
  8. ^ a b 環境庁自然保護局『指定植物図鑑 : 国立、国定公園特別地域内 亜熱帯編』環境庁、1986年、111頁。 
  9. ^ a b 最新園芸大辞典編集委員会『最新園芸大辞典』誠文堂新光社、1970年、3132頁。 
  10. ^ 中西弘樹 (2018). 琉球列島産のウラジロスミレ節3種の種子散布. 66. pp. 197-200. doi:10.18942/chiribunrui.0662-16. 
  11. ^ 沖縄県教育委員会『文化行政要覧 昭和54年度』沖縄県教育庁文化課、1980年3月、80頁。 
  12. ^ 環境庁自然保護局「特定植物群落調査報告書 追加調査・追跡調査.〔47〕」、環境庁、1988年。 
  13. ^ Okinawa sumire” (英語). IUCN Red List. 2025年3月31日閲覧。
  14. ^ 維管束植物”. 沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-菌類編・植物編-. 2025年3月31日閲覧。



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