オキナワコキクガシラコウモリとは? わかりやすく解説

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オキナワコキクガシラコウモリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/09 22:37 UTC 版)

オキナワコキクガシラコウモリ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 翼手目 Chiroptera
: キクガシラコウモリ科 Rhinolophidae
: キクガシラコウモリ属 Rhinolophus
: オキナワコキクガシラコウモリ R. pumilus
学名
Rhinolophus pumilus
Andersen, 1905[1]
和名
オキナワコキクガシラコウモリ[2]
英名
Okinawa least horseshoe bat[2]

オキナワコキクガシラコウモリ(沖縄小菊頭蝙蝠、学名:Rhinolophus pumilus)は、翼手目キクガシラコウモリ科に属するコウモリ。日本固有種であり、沖縄島伊平屋島渡嘉敷島久米島、宮城島に生息する。

形態

体毛の色は淡い褐色系である。まれに黄色系も見られる。

前腕長が37mmから42mm、頭胴長が38mmから46mm、尾長が18mmから24mm、体重が4.6gから9.3gになる。鼻葉前葉は7.5mm以下で、八重山諸島に生息するヤエヤマコキクガシラコウモリ R. perditius より小さい。

生態

洞穴性であり、鍾乳洞や廃坑、防空壕跡などをねぐらにする。交尾期は11月から1月で、特定の洞穴にほぼ雌のみの出産哺育コロニーを作って5月から6月に出産する。ただ、同じ洞内に出産哺育に参加しないコロニーが同居することもある。

繁殖に利用する洞穴は、3か所が知られている。普段利用する洞穴によって、冬眠する集団と冬眠しない集団に分かれる。

分類

日本本土や奄美群島に分布するコキクガシラコウモリR. cornutusや、東南アジアに分布するチビキクガシラコウモリ英語版R. pusillus(模式産地はジャワ島)と同種とする説もある[3][4][5]

宮古島および伊良部島[6]には、亜種であるミヤココキクガシラコウモリRhinolophus pumilus miyakonis)が生息していた。基亜種である R. p. pumilus と比べると、前腕長が39mm以下で、やや小型である。近年、生息が確認されておらず、絶滅の可能性がある。

種の保全状態評価

基亜種オキナワコキクガシラコウモリ Rhinolophus pumilus pumilus
亜種ミヤココキクガシラコウモリ Rhinolophus pumilus miyakonis

沖縄島北部では、100頭以上生息する洞穴が数か所あるが、繁殖を行う洞穴は3か所しか知られていない。中部以南では1970年代以降、急速に生息数を減らしている。洞穴への人間の頻繁な侵入によって、繁殖洞で繁殖を行わなかったこともあり、生息洞穴の観光地化も脅威になっているのではないかと考えられている。また、他の島でも数十頭ほどしか確認されていない。

脚注

  1. ^ Andersen, K. 1905. “On some bats of the genus Rhinolophus, with remarks on their mutual affinities, and descriptions of twenty-six new forms.” Proceedings of the Zoological Society of London 1905-II(1): 75-145.
  2. ^ a b 佐野明・田村恒雄「オキナワコキクガシラコウモリ」、コウモリの会 編『識別図鑑 日本のコウモリ』佐野明・福井大 監修、文一総合出版、2023年、54-56頁。
  3. ^ Nancy B. Simmons, “Order Chiroptera,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 312-529.
  4. ^ Wu, Y., Motokawa, M., Harada, M., Thong, V.D., Lin, L.K. and Li, Y.C. 2012. Morphometric Variation in the pusillus Group of the Genus Rhinolophus (Mammalia: Chiroptera: Rhinolophidae) in East Asia. Zoological Science 29: 396-402.
  5. ^ a b c 丸山勝彦「ミヤココキクガシラコウモリ」「オキナワコキクガシラコウモリ」、沖縄県文化環境部自然保護課 編『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 (レッドデータおきなわ) 第3版 動物編』沖縄県文化環境部自然保護課、2017年、91-92, 99-100頁。
  6. ^ 阿部永監修、阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎吾・米田政明著、財団法人自然環境研究センター編 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、32頁、ISBN 978-4-486-01802-5
  7. ^ a b 前田喜四雄「ミヤココキクガシラコウモリ」「オキナワコキクガシラコウモリ」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 編『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-1 哺乳類』ぎょうせい、2014年、4, 42-43頁。

参考文献

  • 丸山勝彦 コウモリの会編 『コウモリ識別ハンドブック』 文一総合出版、2005年、p.18 ISBN 4-8299-0015-6
  • 丸山勝彦 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)-レッドデータブックおきなわ-』 沖縄県文化環境部自然保護課、2005年、pp.29-30。

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