エアロノーティクス オービター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/12 07:03 UTC 版)
オービター(Orbiter)は、イスラエルのエアロノーティクス・ディフェンス・システムズで開発されたUAV(無人航空機)シリーズ。
概要
オービターには大きさや運用目的の違いによっていくつかのバージョンが存在するが、共通して主翼にウィングレットを備えた無尾翼機であり、エンジンはオービター4を除いて電気モーターを使用している。発進にはカタパルト、回収にはパラシュートとエアバッグを用いる。艦上運用も可能で、その際は回収をネットで行う。管制ステーションはノートパソコン型で、移動しながらの管制ができ、スイッチ1つで発進場所へ帰還する機能を備える。
オービター2
地上軍の近距離偵察を想定したミニUAV。全長1m、全幅2.2mと小型であるため、機体と周辺装備一式をバックパックに入れて持ち運ぶことが可能。航続時間は4時間、行動半径は100km。
センサーは機首と一体化したターレットに装備する。搭載できるセンサーには昼間用光学センサーD-STAMP、夜間用赤外線センサーUZ-STAMP、昼夜兼用でレーザーポインターを備えたM-STAMP、3Dマッピング用のHD-Liteがある。
2006年からイスラエル軍で運用開始。哨戒艇やコルベットから運用している。
オービター3
2011年にパリ航空ショーにて発表された戦術UAV。想定されている用途はISTAR(諜報・監視・目標捕捉・偵察)、砲兵隊の観測支援、車両隊の警備など。全幅4.2mと大型化したが、機首にカナード翼が付き、ウィングレットは上下反転して下向きになっている。航続時間は7時間、行動半径は150km。
センサーはオービター2と共通のものを使用できる。
オービター1K
2015年に発表されたオービター2の派生型で、昼夜兼用のマルチセンサーに加えて2kgの弾頭を搭載する自爆突入型UAVである。航続時間は2~3時間で、目標地域の上空を遊弋し目標を発見次第突入する。
KはKingfisher(カワセミ)、あるいはKamikaze(神風)の頭文字と言われている。
オービター4
2016年に発表された最新型で、オービター3をさらに発展させた戦術UAV。全幅5.4mとさらに大型化し、航続時間も24時間に増した。大型化に伴い、エンジンも電気モーターから多燃料エンジンへと変更されている。
センサーは機首のものに加えて胴体下に合成開口レーダーの搭載が可能になり、他にもシギント装備や電子戦装備にも対応する。
採用国

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アゼルバイジャン
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フィンランド
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イギリス
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アイルランド
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イスラエル
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メキシコ
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ペルー
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ポーランド
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セルビア
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シンガポール
- 2023年時点で、シンガポール空軍がオービター4を保有[1]。
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南アフリカ共和国
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スペイン
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タイ
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トルクメニスタン
- 2024年時点で、トルクメニスタン空軍がオービター2を保有[2]。
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アメリカ合衆国
脚注
出典
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 288. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ IISS 2024, p. 209.
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7
- 『軍用ドローン年鑑』p59/82 2016年8月15日発行 イカロス出版 ISBN 9784802201957
外部リンク
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