ウニ養殖とキャベツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 23:26 UTC 版)
実験段階では、まず最初にマグロの切れ端やパンの耳、おから、米飯、うどんなどを与えた。ウニはそれらを食べたが、継続的には食べなかった。そこで野菜に切り替え、三浦半島特産のキャベツのほか、ダイコンの葉や皮、ハクサイ、ホウレンソウなどを与えた。シュンギク、ハーブ、ジャガイモ、サツマイモなどあまり食べないものもあったが、ほとんどのものを食べた。中でもキャベツをよく好み、キャベツ1玉(約1.5キログラム)を80匹のウニが3日で完食したこともあった。また、海中にキャベツと海藻を網に入れて設置したところ、天然ウニはキャベツの方に多く集まった。 一般的な養殖ウニは昆布を与えるが、与え続けるとウニが食べ飽きるため、養殖の途中で別の餌に切り替える必要がある。しかし、神奈川県のムラサキウニは、キャベツを飽きることなく食べ続けた。 ウニにキャベツを与えたのは、ウニの可食部が肥大する4 - 6月にちょうど入手できたのがキャベツだったという事情もある(7月に入るとウニは産卵期を迎える)。三浦半島では毎年、規格外や傷物のキャベツが廃棄されており、その量は総生産量の1割に達する。水産技術センターはそれを引き取り、ウニに与えた。 キャベツの栄養価を海藻類と比べた場合、グリシン、アラニン、バリンなどの遊離アミノ酸の含有量は海藻よりも少ない。しかし、神奈川県水産技術センターの研究では、キャベツのみを食べたムラサキウニの身入りは優れており、甘味が増加した(後述)。この点から、生育や生殖巣の増加に関する栄養欲求が少ないか、蓄積するアミノ酸自体をムラサキウニ自体が作り出す能力があると推測されている。
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