イクシュヴァーク王家とは? わかりやすく解説

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日種

(イクシュヴァーク王家 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 15:26 UTC 版)

日種または日種族(にっしゅ、サンスクリット語: सूर्यवंश sūryavaṃśa スーリヤ・ヴァンシャ)とは、インドの王族である。伝説のアヨーディヤーイクシュヴァーク(甘蔗王)を始祖とする。プラーナ文献において、古代インドの王家はほとんどが日種と月種のいずれかの系統に整理された。

伝承

アヨーディヤー王朝

プラーナ文献によれば、初代アヨーディヤー王イクシュヴァークは太陽神ヴィヴァスヴァットの孫にあたり、その子孫は太陽の一族すなわち日種と呼ばれる。イクシュヴァークの子孫はインド全体にひろがって王となったと伝えられる[1]

ラーマーヤナ』の主要な人物であるラーマシーターらもイクシュヴァークの末裔であり、本文中の2か所にブラフマーからラーマに到る系図が記されているが、プラーナ文献の記すところとは大きく異なる。プラーナではイクシュヴァークからラーマまでは63代ほどあるが、『ラーマーヤナ』では35代ほどしかない[2]。その記すところは以下のようである[3]

マハーバーラタ』の主要人物は月種のクル族だが、第3巻には日種のバギーラタによって天上にあったガンガーガンジス川)が地上へ降下した話が見える(106-109節、同じ話は『ラーマーヤナ』にも見える)。同巻にはまた日種のクヴァラーシュヴァがドゥンドゥというアスラを倒してドゥンドゥマラと呼ばれた挿話が見られる(200-203節)。後者にはイクシュヴァークからクヴァラーシュヴァの子のドリダーシュヴァまでの系図が見られるが、こちらはプラーナのものとおおむね一致する。

カーリダーサの叙事詩『ラグ・ヴァンシャ』もディリーパ以降のイクシュヴァーク王朝の歴史について記している[5]

その他の王朝

プラーナ文献によれば、イクシュヴァークの子のひとりであるニミ(ネーミ)によってヴィデーハ王朝が開かれた。首都はミティラーにあった[6]

イクシュヴァークの弟のナーバーネーディシュタの子孫からヴィシャーラ王が出て、ヴァイシャーリーを首都として王朝を立てた[7]

別な弟のシャリヤーティ王はドヴァーラカー英語版に王朝を立てた[8]

釈迦族も日種と伝えられる[9]

カルパ・スートラ』によればジャイナ教の24人のティールタンカラはすべてイクシュヴァークの一族の出身であったという[10]

脚注

  1. ^ Pargiter (1922) pp.257-258
  2. ^ Pargiter (1922) pp.90-91
  3. ^ Griffith (1895) pp.80-81,219-220
  4. ^ 名はプラヴリッダで、カルマーシャパーダは形容語句とも。参照: Book II : Ayodhya Kanda Chapter[Sarga] 110, Valmiki Ramayana, http://www.valmikiramayan.net/utf8/ayodhya/sarga110/ayodhya_110_frame.htm 
  5. ^ Pargiter (1922) p.91
  6. ^ Pargiter (1922) pp.95-96,257-258
  7. ^ Pargiter (1922) pp.84,96-97
  8. ^ Pargiter (1922) pp.85,97-98
  9. ^ 中村(1984) p.314
  10. ^ Jacobi (1884) p.281

参考文献


イクシュヴァーク王家

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 07:38 UTC 版)

ラーマーヤナの登場人物一覧」の記事における「イクシュヴァーク王家」の解説

主にアヨーディヤ中心とする、英雄ラーマとその関係者伝説イクシュヴァーク始祖とする日種王朝属する。 ラーマ ラクシュマナ ラーマ王子の弟、スミトラー妃の息子ラーマ忠実に仕える。 シーター ラーマの妃、ジャナカ王家出身。ダンダカのラーヴァナさらわれるバラタ ダシャラタ王とカイケーイー妃の息子シャトルグナ ダシャラタ王とスミトラーの子ラクシュマナ双子の弟。 ダシャラタ アヨーディヤーの王。ラーマの父。ラーマ追放後急逝する。 カウサリヤー ダシャラタ王妃ラーマの母。 カイケーイー ダシャラタ王妃バラタの母。 スミトラー ラクシュマナシャトルグナの母。 ジャナカ ミティラーの王。シーターウールミラーの父。聖王ニミの子孫。 ウールミラー ジャナカ王の娘で、シーターの妹。ラクシュマナの妻。 クシャドヴァジャ ジャナカの弟。 マーンダヴィー クシャドヴァジャ娘。バラタの妻。 キールティー クシャドヴァジャ娘。シャトルグナの妻。 クシャ、ラヴァ ラーマシーターの間に生まれた双子息子シーター追放後生まれた。 スマントラ アヨーディヤー主馬寮 マンタラー カイケーイー侍女ラーマの追放カイケーイー勧めた

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