アンドロメダ座ファイ星

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アンドロメダ座ファイ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2023/10/08 21:22 UTC 版)

アンドロメダ座φ星 φ Andromedae
星座	アンドロメダ座
見かけの等級 (mv)	4.26 (4.59 / 5.61)
分類	Be星
位置 元期:J2000.0
赤経 (RA, α)	01h 09m 30.12562s
赤緯 (Dec, δ)	+47° 14′ 30.4594″
視線速度 (Rv)	-2.2 km/s
固有運動 (μ)	赤経: 4.05 ミリ秒/年 赤緯: -12.43 ミリ秒/年
年周視差 (π)	4.55 ± 0.60ミリ秒 （誤差13.2%）
距離	約 720 光年 （約 220 パーセク）
絶対等級 (MV)	-2.5
アンドロメダ座φ星の位置（左上）
軌道要素と性質
軌道長半径 (a)	0.573 ± 0.051 秒
離心率 (e)	0.385 ± 0.043
公転周期 (P)	554.30 ± 67.16 年
軌道傾斜角 (i)	142.2 ± 2.8 度
近点引数 (ω)	112.6 ± 9.1 度
前回近点通過	1907.45 ± 5.03
物理的性質
質量	A+B: 6.5 ± 2.8 M☉
表面重力	3 G
自転速度	95 ± 13 km/s
スペクトル分類	B6 IV + B9 V
光度	1,656 +267 −230 L☉
表面温度	13,310 ± 260 K
色指数 (B-V)	0.12
色指数 (V-I)	-0.02
年齢	6.31 ± 1.37 ×107 年
他のカタログでの名称
アンドロメダ座42番星, ADS 940, BD+46 275, HD 6811, HIP 5434, HR 335, SAO 36972
■Template （■ノート ■解説） ■Project

アンドロメダ座φ星（アンドロメダざファイせい、φ Andromedae、φ And）は、アンドロメダ座にある連星系でBe星である。見かけの合成等級は4.26で、肉眼でみることができる。ヒッパルコス衛星が測定した年周視差に基づいて、太陽系からの距離を計算すると、およそ720光年になる。

特徴

可視光で撮影したアンドロメダ座φ星

アンドロメダ座φ星が、二重星であることを最初に記録したのはオットー・シュトルーベで、1851年から観測結果が残っている。それ以来、アンドロメダ座φ星はよく観測され、多数の観測記録が残っており、20世紀の前半から連星としての軌道計算が行われているが、10分の数秒という小さい離角による観測の難しさと、長い軌道周期から、なかなか精度の良い計算ができず、21世紀に入っても予備的な結果として報告されている。最近の結果としては、公転周期およそ550年、軌道長半径およそ0.57秒、離心率およそ0.4という軌道をとるものと考えられている。

アンドロメダ座φ星は、主星も伴星もB型星の連星系で、主星のアンドロメダ座φ星Aは、見かけの等級が4.59、伴星のアンドロメダ座φ星Bは、見かけの等級が5.61とされる。求められた軌道要素から、連星系全体の質量を推定すると、太陽の6.5±2.8倍と求められる。

アンドロメダ座φ星は、連星であることとはまた別に、扁平な高温ガス円盤から水素の輝線を発しているBe星として知られ、スペクトル型はB5 IIIe、或いはB7 Veと分類されている。Be星としては、質量が太陽の4倍、半径が太陽の3倍程度と見積もられ、恒星の半径の6.4倍に広がったガス殻を持つとみられる。

名称

中国では、アンドロメダ座φ星は、野営地の南門を意味する軍南門という星官を単独で形成、そのまま「軍南門」と呼ばれる。

その他

シャルル・メシエは、星雲・星団カタログの中で、惑星状星雲M76の詳細について、「位置は4等星のアンドロメダ座φ星から決定した」と記述している。