アンケート隠蔽問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 08:52 UTC 版)
「たちかぜ自衛官いじめ自殺事件」の記事における「アンケート隠蔽問題」の解説
2004年、海自はたちかぜ全乗員に対し、暴行や恐喝の有無を尋ねるアンケートを実施した。2005年、遺族がアンケートの公開を要求したが、海自側は「アンケートは破棄した。」と回答。だが実際は破棄されていなかった。これに疑問をもったある三佐は、2008年からアンケートの公開を海自に働きかけるが、海自は「破棄した」との立場を崩さなかった。 2012年(平成24年)4月には、この三佐が東京高裁に「アンケートは残っている」との意見陳述書を提出。同年6月には海自もアンケートが存在していたことを認め、2012年6月21日の記者会見で杉本正彦海上幕僚長が謝罪した。その後防衛省は2012年7月19日付で存在していた調査書類を長期にわたり「破棄した」と偽っていたことなどが文書管理上不適切(指揮監督義務違反)であったとして杉本を口頭注意、河村克則・横須賀地方総監を内規に基づく注意処分とした。河村はこれにより次期幕僚長への道を閉ざされ7月26日付で杉本とともに退官。杉本の後任には自衛艦隊司令官の河野克俊が就任した。 2013年(平成25年)6月、海自は東京高裁に意見陳述した三佐に対して、調査の関連書類を自宅に保管していた事を規律違反だとして懲戒処分手続きの開始を通告していたが、2014年4月25日、当時の防衛大臣・小野寺五典は海自が遺族側に内部告発した三佐の懲戒処分を検討している問題について「基本的に公益通報にあたると思っている。通報者に不利な取り扱いをすることはあってはならない」と否定的な見解を明らかにしたことから、処分を見送った。 2014年(平成26年)9月、海上幕僚監部はいじめ自殺事件に関わる調査書類を破棄するよう指示した当時の事案関係者34名を停職や減給の懲戒処分に処したことを発表した。なお、内部告発を行った三等海佐は小野寺防衛相が処分に対し否定的見解を表明していたことから処分対象とされなかったものの、所属組織である海上自衛隊内部から人事面での不利益を被り続けている。
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