アルカンタラとの交戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:14 UTC 版)
「トール (仮装巡洋艦)」の記事における「アルカンタラとの交戦」の解説
ここまでで「トール」の獲物となった船の内、信号を発したのは1隻のみであり、それも受信したところはなかった。イギリスの南アメリカ管区のヘンリー・ハーウッド少将がドイツ通商破壊艦の活動に気づいたのは7月17日のことで、彼は2隻しかなかった使用可能な艦の内、仮装巡洋艦「アルカンタラ」をトリニダージ諸島付近へ派遣した。7月28日、「アルカンタラ」は「トール」と遭遇した。相手は仮装巡洋艦だと判断し、ケーラーは逃走を図った。しかし、「アルカンタラ」は3時間あまり「トール」を追跡し、速力が勝る「アルカンタラ」は「トール」に接近していった。逃走できる見込み無く、敵の増援が現れる虞もあることからkahlerは交戦を決意し、「トール」は戦闘旗を掲げると砲撃を開始した。複数の命中弾を受けた「アルカンタラ」は射撃指揮装置が破壊され、機関室に浸水して速度が低下するなどし、火災も発生した。とどめを刺すべく接近したところ、「トール」は被弾した。これは不発であったが、退避に移ったところでさらにもう1発被弾し、死者3名負傷者4名が出た。この戦闘で「トール」は284発を発射し、8発が命中した。 8月25日、補給タンカー「Rekum」と会合。9月26日、搭載機が発見したノルウェー船「Kosmos」(17801トン)を停船させた。この船は捕鯨母船として17662トンの鯨油を積んでおり、非常に価値のあるものであった。しかし、目的地が近く異常があればイギリス海軍の情報が伝わることと他船への偽装が不可能な船であることから沈められることとなった。10月8日、イギリスの冷蔵船「Natia」を沈めた。「Natia」は追跡された後砲撃を受けて被弾し、最終的に停止した。同船の乗組員から2名の死者が出た。11月9日、補給船「リオ・グランデ」と会合。4名のイギリス人船長を除き、捕虜が「リオ・グランデ」へ移された。「トール」と「リオ・グランデ」は11月16日に別れた。その後、「リオ・グランデ」はフランスにたどり着いている。
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