アイスバーグプロジェクト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/06 15:58 UTC 版)
「ローバー・V8エンジン」の記事における「アイスバーグプロジェクト」の解説
1970年代後半、ブリティッシュ・レイランドは第二次オイルショックの結果として、イギリス、ヨーロッパ、(特に)北米市場において、ディーゼルエンジン搭載車の重要性が増すという認識となった。パワフルで洗練され十分に経済的な新型のディーゼルエンジンが必要であると決定された。しかしタイトな開発資金のため、既存のガソリンエンジンをベースとして使用する必要があった。アイスバーグと呼ばれるディーゼルバージョンの3.5L V8エンジンの開発プロジェクトも含まれている。BLはエンジンを開発するためピーターバラのパーキンス・エンジンズと提携した。自然吸気バージョンとターボチャージドバージョンの両方が生産され、両方ともスタナダインの機械式燃料噴射装置が使用された。自然吸気バージョンで約100馬力、ターボチャージドバージョンで約150馬力の最高出力を得られた。アイスバーグエンジンはレンジローバー、ローバー・SD1、ジャガー・XJへの搭載が予定されていたが、プロジェクトは合金製のシリンダーヘッドと内部冷却の問題に遭遇した。彼らはガソリンエンジンと同じ基本鋳造ブロックを使う必要があり、コスト削減のためアイスバーグエンジンを同じ生産ラインを使って生産する必要があった。これらの問題が克服される可能性がなくなり、プロジェクトはBLの再編、特にランドローバーとローバーの分割に伴う財政的・物流的問題に遭遇した。1982年、ランドーローバーはV型8気筒エンジンの生産を引き継ぎ、Acock's GreenにあるBLの主力エンジン工場から、ソリハルの他のランドローバーエンジンの生産ラインの隣に建てられたはるかに低容量の生産ラインに移動した。これはディーゼルバージョンのエンジンを生産する余力がないことを意味する。それに加え、北米の大型ディーゼルエンジン搭載車のマーケットが期待通りに成長していない事も明らかになった。1983年、BLは最終的にプロジェクトから撤退した。パーキンスは当初単独でプロジェクトを推進する事を決め、産業用電源エンジンとしての宣伝用パンフレットも制作したが、1983年後半にはBLは全ての技術的サポートを撤回し、アイスバーグプロジェクトは終焉した。BLのパーキンスとの他の提携(Oシリーズエンジンのディーゼルバージョンの開発)はPrimaユニットとして非常に成功した。BL(およびローバー・グループの後継者)はSD1およびレンジローバーに搭載するため、VM Motoriから2.5L 4気筒ターボディーゼルエンジンを購入した。
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