分限裁判(ぶんげんさいばん)
心身の故障または本人の希望により免職を決定する場合や、裁判官として相応しくない行為をしたなどの理由で懲戒処分を下す必要のあるとき、裁判所で行われる審理のことだ。裁判官分限法に基づき開かれる。
分限とは、身分を意味する言葉で、一般には、免職のほか休職や降格といった身分の異動が含まれる。しかし、裁判官の身分は手厚く保障されることから、懲戒には、戒告または1万円以下の過料しかない。
地方裁判所、家庭裁判所および簡易裁判所の裁判官が分限裁判にかけられる場合、高等裁判所において、5人の裁判官による合議体で審判が行われる。また、高等裁判所の裁判官については、最高裁判所の大法廷で開かれることになる。分限裁判とは、裁判所で裁判官を裁くことだと言える。
審理の進め方は、まず当該裁判官の陳述を聴き、原因となっている事実や証拠について調べる。免官や懲戒処分が決まると、その理由も合わせて言い渡される。
身内による処分と言える分限裁判は、当該裁判官が刑事被告人として起訴されたり、国会による弾劾裁判が開かれたりすると、これらの方が優先され、分限裁判の手続きを中止する。
裁判所法で禁じている「積極的政治活動」をめぐり、1998年7月24日、仙台地裁の判事補が分限裁判によって戒告処分を受けて話題に上ったことがあった。
(2001.04.01更新)
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