『0音』
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1963年に刊行された『0音』では、はじめて「象形詩」「象音詩」という概念が提示された。前半と後半に分けて象形詩と象音詩が収録され、前半の象形詩については「作品を読む場合は音読すること」という但し書きが付されている。 前半の象形詩は、大きさの異なる漢字やひらがな、カタカナといった文字を、空間性を意識して紙面に配置した作品が中心となっており、視覚詩に近い実験的な作品といえる。後半の象音詩は名の通り「聴くための詩」であり、1963年12月には、『0音』の作品を音読する実演も行われた。その試みに参加した者の中には、作曲家の刀根康尚なども含まれている。 『0音』の作品、とりわけ象形詩に見られる空間を意識した文字の配置は、フランスの詩人ステファヌ・マラルメの『骰子一擲』の影響を受けたものであると考えられている。また、ジョン・ケージや十二音音楽からの影響も指摘されている。 またヴィニョーレスに音声の重要性を説かれたこともあり、その後音声詩の試みも積極的に行っている。丁度この頃オープンリールによる録音技術や写植技術が発達していたことも、『0音』の表現やその後の音声による表現を後押ししたとみられている。
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