『原爆による長寿効果に対する』問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 21:15 UTC 版)
「放射線ホルミシス」の記事における「『原爆による長寿効果に対する』問題」の解説
長崎市への原子爆弾投下で、1970-1988年の統計データを用いた結果、0.5~1 Gyの範囲で被曝した男性被曝者は長生き効果が与えられた という報告がある。 放射線影響研究所では2011年に原爆の被曝影響の研究結果をまとめた総説を発表し、寿命の短縮(Life Span Shortening)という節の中で、原爆被爆者の平均余命は、被曝線量の増加に伴い、1 Gyあたり約1.3年の短縮となり、1 Gyの被曝時における平均余命の全損失に占める割合は、固形癌が約60%、癌以外の疾病が約30%、白血病が約10%と報告している。 ロバート・アーリックは「Nine Crazy Ideas in Science(邦題『トンデモ科学の見破りかた 』)」で、被曝に関する統計データについて、全体から特定部分のみのデータを用いるチェリー・ピッキング行為など、恣意的なデータ選択の問題を指摘している。また、「なぜ癌以外の病気の死亡率だけを考慮するのか?なぜ男性だけを考慮するのか?なぜ一九七〇~一九八八年のあいだだけの死亡を考慮するのか?なぜ広島ではなく長崎だけの被爆者を考慮するのか?」と問いかけたうえで、より広い母集団による統計では、0.5-0.99Gyの線量での相対リスクの減少は見られず、むしろ増加を示すと主張している。
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