『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』(1987年)
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「高野文子」の記事における「『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』(1987年)」の解説
詳細は「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」を参照 1986年から87年にかけて、『プチフラワー』にて『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』を初連載。全6話258ページで、現時点で高野の最長作品である。大型デパートで売り子として雇われた少女・ラッキーが、スパイを相手にデパート中を駆け回る冒険活劇であり、全編に渡りスパイ映画におけるカメラワークを思わせる多彩な画面構成が用いられ、スピード感やスローモーションをコマの連続で表現することに成功している。インタビューによれば「アガサ・クリスティの『トミーとタペンス』シリーズとアルフレッド・ヒッチコックの1950年代くらいの映画」に着想を得ているという。 高野はこの作品について「あの時は、無謀にも私はどんなものでも描けるぞ、と思っていたので、「あんたには無理よね」と言われそうなものを思ってやりました。(中略)あの時だけですね、テーマと関係なくやってみようと思ったのは。しかし見事に失敗しました」と解説している。「失敗」の内容は具体的には語られていないが、クローズアップの多用を始めとするあまりにも凝った画面構成が時に作品のテンポを悪くしていることが指摘されている。この作品を論じた澤野雅樹は、画面構成に目を奪われ過ぎて、物語の内容を理解するまで3度読み返さなければならなかったと述べている。 前述のいしかわじゅんは、高野の画風はこの作品で「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」に続き2度目の大きな変化を起こしていると指摘している。いしかわによれば高野はこの頃、夫に教えられた上田としこ『フイチンさん』をいたく気に入っており、この時期に描かれている少女の体型や線などが『フイチンさん』に非常によく似たものになっているという。
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