「殺人狂時代」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 03:36 UTC 版)
話は少しさかのぼって1946年。チャップリンが『殺人狂時代』で主役ヴェルドゥを手こずらせるヒロイン、アナベラ・ボヌール役にマーサを起用するきっかけとなったのは、マーサが出演した映画『山は笑う(英語版)』(1937年)の監督が『殺人狂時代』での助監督ロバート・フローリーであり、フローリーの推薦があったと映画史家のデイヴィッド・ロビンソン(英語版)は推測している。チャップリン自身もマーサ出演の『ジープに乗った4人のジル』 (Four Jills in a Jeep)(1944年)を見て評価し、起用が決まった。幼年期から芸能界に身を置くマーサにとっては、チャップリンは神様でありヒーローであった。出演依頼はチャップリン本人から電話を通じてマーサに直接行われたが、電話を受けたマーサは相手が「神様」チャップリン本人とは思いもよらず、いたずら電話だと思い込んで切ってしまった。撮影に入っても最初のころはチャップリンに遠慮していたマーサであったが、演技に支障が出て迷惑がかかると思ったマーサは徐々に開き直り、やがてチャップリンを「チャック」と呼ぶようになるなど馴れ馴れしくなった。チャップリンもマーサの才能に感心し、その馴れ馴れしさを認めた。現存する『殺人狂時代』のNGフィルムでも、チャップリンとマーサが演技の途中で思わず笑い出してNGになるショットが残されている。なお、チャップリン映画では演技経験のない女性をヒロインに据えることが圧倒的に多かったが、マーサがこの慣例を破った最初の例となった。
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