「デーメーテール讃歌」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 16:02 UTC 版)
「エレウシスの秘儀」の記事における「「デーメーテール讃歌」」の解説
草原で花を摘んでいたペルセポネーは、ゼウスの企みに従ったハーデースによって連れ去られる。娘の叫び声がデーメーテールに届き、母神は松明を掲げて大地をさまよい歩いた。10日目に、ヘカテーがデーメーテールの前に現れ、何者かがペルセポネーを奪い去ったと告げた。デーメーテールはヘカテーを伴ってヘーリオスのもとを訪れ、ペルセポネーをさらったのはゼウスの許しを得たハーデースだということを知る(第1行 - 第90行)。 怒ったデーメーテールはオリュンポスから離れ、老婆に身をやつして地上の街や畑を巡り歩いた。女神は放浪の末にエレウシスにたどり着き、ケレオスの館に迎えられる。館ではケレオスとその妃メタネイラの子供デーモポーンが誕生しており、デーメーテールはデーモポーンの養育を引き受ける。女神は子供を不老不死にしようとして、昼にはアンブロシアを肌にすり込んで甘い息を吹きかけ、夜には両親に気づかれないように火の中に埋めて育てた。ところが、子供の神にも似た成長ぶりを不審に思ったメタネイラがこれを覗き見して叫び声を上げたため、デーメーテールは腹を立てて女神の姿を現し、アクロポリスの麓に神殿と祭壇を作るように命じた。ケレオスが言われたとおりにすると、デーメーテールは神殿にこもった(第91行 - 第304行)。 穀物の女神が姿を隠したために、大地は実りを失った。ゼウスは女神の怒りを宥めようと、イーリスをはじめとして神々を遣わしたが、デーメーテールは一切聞き入れなかった。やむなくゼウスはヘルメースを冥府に遣わし、ハーデースを説得してペルセポネーを地上に連れ戻すように命じた。こうして、ついに母娘は再会を果たした。しかし、ハーデースはペルセポネーを還す前にザクロの種を食べさせていたため、冥府の食べ物を口にしたことにより、ペルセポネーは1年のうち三分の一は冥界で過ごし、残りの三分の二は地上で暮らすこととなった(第305行 - 第469行)。 大地は実りを取り戻した。デーメーテールはトリプトレモス、ディオクレース、エウモルポス、ケレオスに祭儀の執行を教え、またトリプトレモス、ポリュクセイノス、ディオクレースには秘儀を明かすと、ペルセポネーとともにオリュンポスに赴き、再び神々の列に加わった(第470行 - 第495行)。
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