σ因子の領域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 22:22 UTC 版)
あらゆる真正細菌におけるσ因子のアミノ酸配列は領域1から4に分類できる。ハーマン (Helmann) とチェンバーリン (Chamberlin) は各領域の機能を以下のように提唱した。 領域1は主要σ因子にしか存在しない。σ因子がRNAポリメラーゼを伴わずにプロモーターと結合することを阻害する。このため、DNAと結合するためにはRNAポリメラーゼコア酵素と結合して、後述する領域2.4と4.2のドメインを露出させなければならない。σ因子単独の結合はコア酵素とプロモーター間の結合の阻害につながるためこの機能は重要である。 領域2は全てのσ因子に存在し、あらゆる生物で最も共通性が高い。さらに領域2.1から2.4に分類される。特に重要なのは領域2.4で、これは-10ボックスに特異的に強く結合する。DNAとの結合に最適なαヘリックスを形成すると予測されるアミノ酸配列を含んでいるが、実際に-10ボックスを認識することはリチャード・ロジック (Richard Losick) が代償変異の実験で証明した。 領域3はコア酵素とDNA両方の結合に関与する。領域3と4をつなげる連結鎖は、ほとんどの転写で最初に合成されるアデニンとの特異的な結合に関わり、また、RNA出口通路を塞ぐ (#真正細菌のホロ酵素-DNA複合体の(3)で詳述)。合成されたばかりのアデニンはDNAとの2本の弱い水素結合でしか支えられておらず、ホロ酵素との特異的な結合が必要である。連結鎖を欠いたホロ酵素を用いた実験では、最初の2つのリボヌクレオチドの一方、または両方が通常よりはるかに高濃度でなければ転写が始まらないことが確認された。 領域4は4.1と4.2に分けられ、ホロ酵素のプロモーター認識において重要と考えられている。領域4.2はヘリックスターンヘリックスというDNA結合ドメインを含み、-35ボックスに強く結合する。
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