σビスホモ芳香族性の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 10:02 UTC 版)
「σビスホモ芳香族性」の記事における「σビスホモ芳香族性の例」の解説
適切な条件(剛直なかご型系による厳密な配向)のもとで、2つのC-C二重結合がσ型の重なりを持ち、π軌道がσ平面内で閉じた環を形成し、環状電子非局在化が起こることがある。ここに付随する軌道には図に示したようなものがあり、b1およびb2軌道のエネルギー準位と順序は2つの二重結合の距離に依存する。 このような2つの二重結合の配位が実現する化合物として、ビスセコドデカヘドラジエン(下図右)が挙げられる。 σビスホモ共役軌道系を2つの電子が占有するとき(中性化学種の酸化により、最低エネルギーとなるa1軌道のみが占有されるようにする)、σビスホモ芳香族性に起因する驚くべき安定性を持つ四中心二電子 (4c-2e) ジカチオンが得られる。σ型に重なるC-C二重結合を持つ中性の前駆体の代わりに、中心にシクロブタン環を持つパゴダンを使うこともできる(上図左)。同じ中性化学種をジアニオンへと還元して得られる四中心六電子σビスホモ芳香族は学術的に興味深い(ヒュッケル則)が、いまのところ炭素間結合による生成に成功していない。最初に成功したのは C-C二重結合の代わりにN-N二重結合を用いてである(ビスジアゼン、図参照)。 剛性の高い物質を適切に選べば、2電子還元により驚くべき安定性を持つジアニオンを得ることができる。このジアニオンにおいては6電子が環状に平面内に非局在化している(四中心六電子ジアニオン、4N/6e)。ビスジアゼンをビスジアゼンテトロキシドへと酸化した場合、やはり特異的に安定なジカチオンに驚くほど容易に酸化することができる。このジカチオンが2電子 σビスホモ芳香族 (4N/2e) として説明されるのか4O4N/10e系における立方体状非局在化として説明されるのかは未だ明らかでない。
※この「σビスホモ芳香族性の例」の解説は、「σビスホモ芳香族性」の解説の一部です。
「σビスホモ芳香族性の例」を含む「σビスホモ芳香族性」の記事については、「σビスホモ芳香族性」の概要を参照ください。
- σビスホモ芳香族性の例のページへのリンク