複合汚染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 00:11 UTC 版)
概要
本作品は環境汚染問題について社会に警鐘を鳴らすことを目的として書かれた。主な指摘は、
- 農薬と化学肥料使用が農製品と生態系に与える悪影響、及び有機農業、共栄作物利用の試みの紹介。
- 界面活性剤を含む洗剤使用の人体及び生態系への悪影響。石鹸がより安全であること。
- 合成保存料、合成着色料など食品添加物使用の危険性。
- 自動車エンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物の危険性。
- 上記の化学物質が生体濃縮で蓄積されていく過程。
- 化学肥料開発と火薬開発の並行性。化学合成技術の発達と戦争、軍需産業との連関。
である。すでに水俣病や四日市ぜんそくの被害などから、「公害」問題の深刻さは意識されていたが、個々の現象を単独に捉えるのではなく、自然環境の破壊という大きな問題系の中で関連づけて考えるべきであることを、やや扇情的だが平易な筆致で描き出したところに意義がある。
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内容についての評価
本作品は、『恍惚の人』に続く「警世の書」として話題を集めたが、テーマが化学、生物学など自然科学の専門的知見に関わる上、行政やメーカー企業などの既得権益にも揺さぶりをかけるものであったため、発表当時その内容には多くの反発や批判も投げかけられた。作者自身、作品中で「この連載がうまくいったら罵詈雑言を受けるであろう」とレイチェル・カーソンの例を引きながら先回りして書いているが、「農薬使用の禁止は非現実的である」(作者も全面禁止を主張しているわけではない)「洗剤や食品添加物使用の危険度の指摘は誇張である」といった専門家からの反論があった。 コナギを「イネのコンパニオンプランツ」と紹介するなど、実情や生物科学面でも間違った記述がある。
複合汚染と同じ種類の言葉
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