福島正実
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来歴
樺太庁の吏員を父として、樺太豊原市(現在のロシア・サハリン州ユジノサハリンスク)に生まれる。父の転勤に伴い、1934年(昭和9年)から満洲に住む。1937年(昭和12年)に帰国し、横浜市中区で育つ。
横浜市港北区の日本大学第四中学校(現在の日本大学中学校・高等学校)に学び、1945年(昭和20年)、旧制の日本大学予科文科に入学。原狷介名義で文芸同人誌活動をし、宮田昇と知り合う。1950年(昭和25年)、明治大学文学部仏文科に編入学。1954年に同大学を中退[2][1]。清水俊二に翻訳を[1]、那須辰造に児童文学の創作を師事した。
1953年ごろ、早川書房に入社するが[注釈 1]。1954年、父の違法行為での借金の肩代わりをするために退社して印刷ブローカーに。1955年、宮田昇の紹介で石泉社の『少年少女科学小説選集』の選者・翻訳者を担当。以降、SFに熱中。
1956年(昭和31年)、社長・早川清の招きで早川書房に、再度入社した。翌1957年(昭和32年)、都筑道夫とともに、叢書「ハヤカワ・ファンタジー」(のちに「ハヤカワSFシリーズ」)を立ち上げた。また、1958年に都筑とともに、以前から提案をしていた講談社での「S・Fシリーズ」の企画にあたったが、シリーズは6冊で終了となった[9]。
『S-Fマガジン』を創刊
1959年(昭和34年)12月25日、『S-Fマガジン』創刊号(1960年2月号)を刊行。初代編集長を務める[2][1][注釈 2]。
1960年(昭和35年)に誌上で空想科学小説コンテストを開催、1963年(昭和38年)に日本SF作家クラブを創設するなど、草創期の日本SF界での日本のSF作家の育成に尽力した[1][注釈 3]。科学と文学とが融合したハイブロウな文学としてのSFを目指し、スペース・オペラなどの作品は排除した(ただし、後に、読者に人気があることから、渋々、その存在を認めた)。また、『S-Fマガジン』、「ハヤカワSFシリーズ」いずれも、カバー絵は中島靖侃の抽象画であり、「幼稚な文学」と見做されないよう配慮した。また、既成文壇からSFへの批判や、無理解な評論などがあると、全身全霊をもって反論活動を行った。
1966年(昭和41年)ごろ、SF作家仲間や白木茂、亀山龍樹、北川幸比古、中尾明などと、「少年文芸作家クラブ」を創設した。
1968年(昭和43年)10月、自ら企画した『世界SF全集』の刊行が開始。
同年12月25日発売の『S-Fマガジン』1969年2月号に掲載された「覆面座談会 日本のSF '68〜'69」の内容が騒ぎとなり、1969年5月末をもって早川書房編集部長および『S-Fマガジン』編集長を辞任した[10][7]。8月号が最後の担当となった。
1970年の日本万国博覧会での三菱未来館、1975年の沖縄国際海洋博覧会での三菱海洋未来館の企画も手掛けた[5]。
1976年(昭和51年)4月9日、死去。47歳没。没後、福島を記念して「少年文芸作家クラブ」(現・「創作集団プロミネンス」)および岩崎書店の共催で福島正実記念SF童話賞が創設された。
注釈
- ^ 野田昌宏によると、福島が早川書房に入社したのは、那須辰造の紹介によるという[8]。
- ^ なお、長老と称される今日泊亜蘭は福島と折り合いが悪く、福島在任中は絶対に作品を載せられなかった。“他の人の批判はしても福島の悪口だけは言わなかったのに何で嫌われたんだ? 原稿持ってって「見てくれないか」と頭下げなかったからか?”と不思議がっている。
- ^ かなりの記録好きで、日本SF作家クラブの活動を数多くのオープンリールや映像フィルムに記録していた。『ETV特集 21世紀を夢みた日々 〜日本SFの50年〜』NHK教育、2007年10月21日放送[出典無効]。
- ^ いわゆる怪獣ブームとSFが混同されることには反発していた[11]。
- ^ 巻末に「福島正実氏は本書刊行の直前に急逝されました。謹んで哀悼の意を表します」(編集部)との一文有り。
出典
- ^ a b c d e f g h i 東宝特撮映画大全集 2012, p. 72, 文 加藤まさし(福島正実次男)「『マタンゴ』撮影秘話-特別編- 日本SFの勃興を告げる『マタンゴ』」
- ^ a b c d 東宝特撮映画全史 1983, p. 540, 「特撮映画スタッフ名鑑」
- ^ 著書の著者紹介
- ^ https://short-short.blog.ss-blog.jp/2011-12-25
- ^ a b c 東宝特撮映画大全集 2012, p. 170, 文 加藤まさし(福島正実次男)「『ゴジラ対メカゴジラ』撮影秘話-特別編- 福島正実と怪獣」
- ^ https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784569625874
- ^ a b 宮田昇『戦後「翻訳」風雲録 翻訳者が神々だった時代』本の雑誌社、2000年。ISBN 4938463881。
- ^ 『小松左京マガジン』P.15 小松・野田対談より
- ^ 福島正実『未踏の時代』ハヤカワ文庫
- ^ 高橋良平「解説」『未踏の時代』ハヤカワ文庫、2009年、317頁。
- ^ 八橋一郎『評伝筒井康隆』新潮社、1985年、[要ページ番号]頁。ISBN 4103608013。
- ^ 日本SF誕生ーー空想と科学の作家たち(第3章). 勉誠出版. (2019年8月5日)[要ページ番号]
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