ホテル ホテルの客室

ホテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 14:44 UTC 版)

ホテルの客室

客室の形態

  • シングル(シングルルーム) / デラックス・シングル(セミダブルルーム)
    シングルサイズベッドを設けた1名用客室。北米ではセミ・ダブルベッドを設けた客室の場合もあり、アジアやヨーロッパではこれをデラックス・シングルと称する[11]
  • ダブル(ダブルルーム)
    ダブルサイズベッド1台を設けた2名用客室[11]
  • ツイン(ツインルーム)
    シングルサイズベッド2台を設けた2名用客室[11]。ダブルサイズベッド2台を設けた2名用客室は厳密にはダブルダブルというが、北米ではこれをツインとしていることがある[11]
  • トリプル(ツイン・ダブル)
    エキストラベッドという可搬式ベッドをツインルームに設置したり、予めツインルームに備え付けられているソファベッドを用いてベッドを3つ揃えたもの。
  • トリプルルーム
    3名用個室で、予め3台のベッドが備え付けられている客室であるが、決して一般的ではない。
  • フォース・ファミリールーム
    トリプルルームにエキストラベッドまたはソファベッドを追加設置したり、予めベッドが4台以上設置されているもので4名以上が滞在できる客室。リゾートホテルやテーマパーク周辺のホテルに多い。和洋室の場合もあり、2人がベッドで、2人が布団を使用することになることもある。
  • エグゼクティブ / デラックス / コンフォート / スーペリア ルーム
    一般客室(スタンダードルーム)よりも部屋面積が広く、大きめのベッドやソファなどが設置されていたり、バスルームとトイレ・洗面所が仕切られているホテルもある。
  • SOHOタイプ / ビジネスルーム
    部屋内で書類仕事や受験勉強などを行う客のために、明るい直接照明や広い机、パソコンやファクシミリなどのOA設備の設置、OAチェアの採用など、快適な仕事環境を重視したもの。
  • スイート
    広く高級な客室で、クイーンサイズのベッドが1つか2つまたはキングサイズのベッドが1つ以上設置され、大型テレビや広々とした浴槽などが配置されていることが多い。
  • コネクティングルーム
    ドアで隣室と接続しており、2つ以上の客室を一つの客室として使えるようにした部屋[11]。ドアを閉めれば個々の客室として利用できる[11]
  • アジョイニングルーム
    コネクティングルームの対義語で、小グループ向けに利用される、ドアで直接接続されていない隣り合った客室または廊下を隔てた客室[11]

なお、コテージ(ヴィラ)は、近年、リゾートなどでみられる客室ごとに一戸建てにした施設[11]。フロントやレストランなども別棟となっていることが多い[11]

客室ドアのロック方式

オートロックは客室ドアの施錠システムの一種で、部屋(内側)からは自由に開けられるが、外側は解錠しなければドアノブが固定されて開けられないという仕組みが大半であり、外出時に施錠する必要がない。

多くのホテルではメタルキーまたはカードキーを採用している。もともとは金属製の鍵ばかりだったが、プラスチック製のカードキーを使用するホテルが増えている[12]。また2010年代後半より、スマートフォンをキー代わりにする「スマホキー(デジタルキー、スマートキーとも)」も一部で普及しつつある[13]

客室内の設備

PAY-TVのプリペイドカード販売機
  • ライティング・デスク
    チェストや鏡などと一体化した書き物用の机[12]
  • 電話
    外線発信操作をすることで、外部への通話が可能であるが、近年ではスマートフォンの普及、またチェックアウト時の追加精算を省略する意図から、内線専用にしているホテルも多い。
  • テレビ
    通常のテレビ放送は無料であるが、映画の視聴は有料である(一般的に「PAY TV」と呼ばれる)。有料放送の古くはコインタイマーが付随しており、100円硬貨を投入し、専用のVHSレーザーディスクで放映される一般映画・アダルト作品を視聴する形式であったが、現在はプリペイドカードを購入して視聴するか、リモコンのPAY(課金)ボタンを押してチェックアウト時に精算する方式が主流である。
    カプセルホテルや一部のビジネスホテルでは、100円硬貨を投入して視聴するテレビを設置している店舗が多い(この場合、一般放送は無料だが、まれに有料としているホテルもある)。
  • テレビパソコン
    ホテルチェーンを中心に、テレビの代わりに、略して「テレパソ」と呼ばれる様なテレビ一体型のパソコンを設置する所も増えている。基本的にはLANブロードバンド)と接続され、無料の通常テレビ放送の視聴の他にウェブサイト閲覧が一般的に出来る(使用料・オプション料が必要なホテルもある)。
  • VOD
    通常、VODサーバと呼ばれるサーバ群をホテル館内に設置し、客室へLAN配線を行い、テレビに接続されたSTBが映画を再生する。しかし、サーバ費用が導入コストとして非常に高価なことから現在ではインターネット網を利用したNW配信モデルが登場。サーバを設置することなく、高画質な映像を客室にて楽しめるようになった。
    また、「アクトビラ」機能をホテル向けに独自カスタマイズを行いVODのブラウザとして利用するシステムも開発された。
    最近では、客室で利用できるノートパソコンを利用したエンポタ[14] というサービスが開発され、レンタルパソコンを借りることで、ホテル専用ポータルサイトを利用することができ、映画やドラマ、成人向けコンテンツなどを客室で楽しめるサービスも普及している。
  • インターネット回線
    インターネット普及前までは、客室にモジュラージャックがあるホテルは数少なかったが、普及に伴いダイヤルアップ接続用モジュラージャックを設置するホテルが増加した。2010年代以降は、電話回線用のRJ-11に代わって、有線LAN接続用のRJ-45端子を室内に設けるのが一般的になり、客室内で無料Wi-Fiを提供するホテルも増加している。
    ロビーなどに共用インターネット用パソコンや、サイバープチ[15]アットステーション[16] などのコイン式インターネット端末(通常はワープロなどは不可能)を設置しているホテルも存在する。
    客室で利用できるノートパソコンを提供しているホテルもあり、エンポタというホテル専用ポータルサイトを通じて映画やドラマ、成人向けコンテンツなどを配信しているホテルもある。
  • 冷蔵庫
    ミニバーの場合、小型の冷蔵庫の中に複数の飲料(ミネラルウォーターソフトドリンクアルコール)やおつまみが配備されているもので、商品を消費した場合は備え付けの伝票に記帳するなどしてチェックアウトまでに精算する。
    ビジネスホテルを中心に、何も入っていない小型冷蔵庫を設置している所もあり、ホテル内や近隣のコンビニスーパーマーケットで買い出した飲食物などを滞在中自由に入れられる。ホテル用の冷蔵庫は、就寝中の騒音を減らすために電源を止める機能が付いている場合がある。また、コンプレッサーを使わない、ペルティエ効果を使った冷蔵庫を使っている場合もある。
  • キチネット
    長期滞在用のホテルやスイートルームなどに設置される簡易な調理設備[12]
  • レンタルパソコン
  • ドライヤー
  • ズボンプレッサー
  • 電気スタンド
  • 電気ポット
  • (複数の枕を選べるホテルもある)
  • 加湿器

アメニティグッズ

アメニティグッズの一例

ホテルには客室内の洗面台(ユニットバス内など)付近に、個別包装されたコットンや耳綿棒化粧水・T字剃刀歯ブラシなどのアメニティグッズが置かれるケースが多い。ただし、国によっては無償提供が法律で禁止されていたり、日本においても、2022年のプラスチック資源循環促進法施行に伴い、部屋への備え付けを止め、フロント等で希望者に配布(もしくは有償で販売)する形態に切り替えるところも増えている[17]

また客室の宿泊約款ファイル内にはホテルの封筒便箋絵葉書が備わっていることが多い。

バスルーム(バスタブとトイレ)

ヨーロッパや米国の中程度以上のランクのホテルでは、客室にバスルームが設置されている。高級ホテルでは広いバスルームで、バスタブとトイレはかなり離れている。中程度の価格帯のホテルでは洗面台、トイレ、バスタブを同室内に設するユニットバスが主流であり、3点ユニットと呼ぶ。格安ホテルでは、バスタブが無くシャワーとトイレのみというものも多い。ヨーロッパの安ホテルではしばしば、配置が悪かったり、お湯が出なかったり、問題だらけのバスルームの割合が多い。

日本のビジネスホテルのバスルームの多くはユニットバスであるが、世界の各地域のホテルのユニットバスと比較しても特に省スペースで、洗面台・バスタブ・洋式トイレが極めて高度に一体化され、きわめて小さくまとめ上げられた形式が多い。2000年代以降は日本の一般的な家庭の浴室のようにバスタブと洗面所・トイレを分離し、バスタブに隣接して洗い場(シャワーブース)を設ける形式も増加しており、ビジネスホテルでもしばしば導入されるようになっている。

客室からの眺望

眺望も付加価値のひとつとして考慮される。海に面している部屋は「オーシャンビュー」、山に面している部屋は「マウンテンビュー」などと呼ぶ[11]

客室へのサービス提供

客室への飲食物の持ち込み

客室への飲食物の持ち込みについては、本来は衛生管理等の理由から「ホテル内の売店で購入したものやルームサービス・ミニバーなどを除いては原則禁止」であるが、実際には部屋の中に空の冷蔵庫が置かれるなど、持ち込みを事実上容認するところが多い[18]。ただし、持ち込みOKだが手数料を支払う必要のあるホテルもあるため、詳細はホテル毎に確認することが推奨される[19]出前デリバリー)の利用も通常は禁止だが、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行の影響から館内の飲食店が営業休止するホテルも多いため、外部のデリバリー業者と提携して利用を公式に認めるところもある[18]


注釈

  1. ^ フランス語は「h」を決して発音しないのでhôtelは「オテル」と発音する
  2. ^ a b An establishment providing accommodation, meals, and other services for travellers and tourists.
  3. ^ ただ、近年では、カテゴリーの間を埋めるようなさまざまな施設もあり、境界がはっきりしない場合もある
  4. ^ (米国の)ビジネスホテルは、エグゼクティブの使用を前提としたホテルを指すケースが一般的で(ビジネスクラスと同義)、広々とした部屋に会議室等のビジネス設備や、フィットネスクラブなどが併設されているケースが多く、日本におけるシティホテルに相当。[要出典]
  5. ^ 香港台湾韓国など他の一部のアジア諸国にも日本のラブホテルを模倣したものが現れた。

出典

  1. ^ a b c d ホテルのタイプ 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  2. ^ 星で分かるフランス・ホテルの選び方
  3. ^ A European common hotel classification.
  4. ^ a b c d シティホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  5. ^ ビジネスホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  6. ^ 東京YMCA国際ホテル専門学校「ビジネスホテルとシティホテルの違いとは?」
  7. ^ 観光ホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  8. ^ リゾ-トホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  9. ^ カプセルホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  10. ^ “来年1月の風営法改正で半減?全国のラブホテルが存続の危機”. ダイヤモンド・オンライン (ダイヤモンド社). (2010年11月19日). http://diamond.jp/articles/-/10125 2022年9月9日閲覧。 
  11. ^ a b c d e f g h i j 部屋のタイプ 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  12. ^ a b c 客室の設備 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  13. ^ スマートキー搭載公式アプリで宿泊客を待たせない - 相鉄フレッサイン - マイナビニュース・2018年2月23日
  14. ^ http://enpota.com
  15. ^ http://www.sofnetjapan.com/
  16. ^ アーカイブされたコピー”. 2006年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月3日閲覧。
  17. ^ ホテル・旅館はプラスチック製アメニティをどう減らしていけば良いのか?そのヒントとして - HOTERES Online・2021年10月9日
  18. ^ a b ホテルでも酒類提供禁止で部屋飲み増加!?【客室への持ち込み】はNGか? - Yahoo!ニュース個人(瀧澤信秋)・2021年5月6日
  19. ^ ホテルにお酒や食事の持ち込みはできる? - 相鉄フレッサイン・2020年8月25日
  20. ^ 「旅行で損をする人」は宿選びで失敗している - 東洋経済ONLINE・2017年9月26日
  21. ^ 7things not to do
  22. ^ a b 諸外国における規制等の事例について 国土交通省 2017年4月3日閲覧
  23. ^ 旅館業法概要 厚生労働省(2018年7月11日閲覧)
  24. ^ 「広がる仮設ホテル/安価なトレーラー▼キャンピングカー/訪日客急増、柔軟に対応」『日経MJ』2018年7月2日(観光・インバウンド面)
  25. ^ モデル宿泊約款”. 国土交通省 (2011年9月1日). 2018年3月17日閲覧。
  26. ^ 今さら聞けない!? ホテル・レストラン業界の基本用語Vol.16 HOTERES 2010.6.25
  27. ^ Yahoo!ニュース 「欧州のホテルが最も歓迎する観光客は?ワースト3はフランス、インド、中国本土―中国メディア」XINHUA.JP 10月27日(月)12時5分配信 Archived 2014年12月30日, at the Wayback Machine.[リンク切れ]
  28. ^ Focus-Asia 「欧州のホテルが最も歓迎する観光客は?ワースト3はフランス、インド、中国本土―中国メディア」
  29. ^ 旨い地ビールを!オーストラリア・パブ入門”. ALL ABOUT. 2020年4月29日閲覧。






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