ホテル 概説

ホテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 07:29 UTC 版)

概説

もともと旅人に寝る場所や食事などを提供していた施設である。英語のhotelは古フランス語の「hostel」から来ており[注釈 2]、このhostelの語源は中世ラテン語の「hospitale ホスピターレ」であり(あるいはhospitaliaであり)、(カトリックの巡礼の旅の途中の人々をもてなし、眠るためのベッドを提供するための)「(無償の)もてなし施設、宿」という意味。日本語では通常カタカナで「ホテル」と表記するが、あえて翻訳して、訳語を探して漢字で表現すると、結局のところ「宿」といった程度の表現に落ち着く。(日本であえて「ホテル」と言うときは、結局(日本風の旅館などではなく)「ヨーロッパやアメリカ風の様式や利用方式の宿」ということである。)

なお、ホテルは宿泊施設の一種で、1日から数日、あるいは1週間程度までの短期間の宿泊を想定して発展してきた宿泊施設である。類似する機能を持つ宿泊施設としてはユースホステルペンションベッド・アンド・ブレックファスト(B&B)民宿などがある。数週間~数ヶ月など長期滞在するような施設とは通常は区別される傾向がある[注釈 3]朝食を提供する機能を有しているものが多いが、食事無しの「素泊まり」のタイプもある。

分類・種類(海外)

ホテルの分類に関して明確な区分があるわけではなく、国ごとに異なり、またまた各運営事業者はそれぞれ自社のホテル群を自社流に分類している。

ヨーロッパ

3つ星ホテルの表示

フランスでは国がホテルを格付けし分類されている。「1つ星」から「5つ星」まである[1]

長年に渡り、ヨーロッパの中のひとつひとつの国ごとに、格付けの基準や星の数のつけかたが異なっていたが、2009年にHotelstars Unionが設立され、国ごとの選定基準の相違点を調整・統一化することが行われるようになってきている[2]

フランスギド・ミシュランもホテルの格付けを行っている。

シャトー・ホテル / マナーハウス

ヨーロッパなどに多い、中世の古城や貴族の邸宅などを改造したホテル[3]。特に大きい規模のものをシャトー・ホテルという[3]

洞窟ホテル

洞窟ホテルとは、自然の洞窟を利用して作られたホテルであり、部屋が地下に存在するものである。スペイントルコオーストラリアに建設されている。

アイスホテル
スウェーデンのアイスホテル

アイスホテルとは湖などから切り出した氷や雪によって作られたホテルである。スウェーデンノルウェーなどの北欧諸国やカナダなどで、冬季の寒さを利用して建設される。春になると溶けてしまうので基本的に冬季限定であり、毎年再建される。どのような施設が作られるかはそのホテルによるが、観光客向けのホテルであり、様々な趣向が凝らされる。

アメリカ

アメリカでは、「メトロポリタン・ホテル(大都市立地ホテル)」「ダウンタウン・ホテル(市街地立地ホテル)」、「コンベンション・ホテル(会議用ホテル)」、「コマーシャル・ホテル(商用)」といった分類がされている[4]。他にも「モーテル」「カジノ・ホテル」などといった分類も。 [注釈 4]

モーテル
米国で普及しているモーテル。大抵は、道路沿いに大きな看板を設置してあって走行中でも自然とその存在に気付くようになっていて、予約不要なので思い付きで駐車場に入って良い。

国土が広くて早くからモータリゼーションが進んだアメリカ合衆国ではモーテルが非常に普及している。 Motelの元々の意味は「自動車で旅をする人のためのホテル」であり、「Motor Lodge モーターロッジ」「Motor Inn モーターイン」などともいう。アメリカのモーテルはほとんどが高速道路(フリーウェイ)の出入り口周辺の町の郊外に立地しており、かなり小さな町にまで存在することも多く、地域の社会インフラの一つとなっている。セルフサービスを基本としたホテルであり、セルフサービスでの荷物の運搬を楽にするため、宿泊棟のすぐ目の前に駐車場があり、自分で車を止めた場所から短い距離で客室にアクセスできる構造になっているのが特徴である。アメリカでは、平均的な料金が一部屋で一泊40ドルから50ドル前後と比較的手ごろで、予約なしで利用できる(ただし、一部観光地などのハイシーズンを除く)ので、非常にポピュラーな宿泊施設として定着しており、客層も、たとえば移動中のビジネスマン、旅行中の家族連れ、男女のカップルなどと、さまざまである。食品の持ち込みも自由。大手チェーンのモーテルではWi-Fi完備も増えている。

カジノ・ホテル

カジノ・ホテル英語版とは、カジノを含むホテルのこと。

ブティックホテル

アメリカでは最近、「ブティックホテル」に分類されるホテルもある。デザイン・コンセプトを明らかにして工夫を凝らし設計させた個性的でモダンな設計・内装・外観を有するホテル[3]である。(日本でいう「デザイナーズホテル」に相当する。)

なお参考までに、ホテルというよりも、むしろ「ホテルとアパートメントの中間形態」のものとしてだが、「サービスアパートメント」というものも普及しており、ハワイなどに多く、生活用のキッチンなどの諸設備のあるアパートメント形式の宿泊施設である[3]。広い部屋に大型冷蔵庫やキッチンなどの自炊設備があり、家族やグループの長期滞在に適しているもの。

分類・種類(日本)

日本では「#ビジネスホテル」「#シティホテル」「観光ホテル」「リゾートホテル」「カプセルホテル」「ラブホテル」などの用語で分類がされることが多い。

ビジネスホテル

日本でいうビジネスホテルとは、ターミナル駅前や都市の繁華街など交通の要所にある、宿泊機能に重点を置いたホテル。シティホテルよりも客室は狭くサービスが簡素化され、そのかわりに低料金なのが特徴。シングルの客室(1人用)が中心となる。かつてはビジネスでの利用が主流であったが、近年の大手チェーンのビジネスホテルは、低料金の上、サービスも充実し、観光等での利用も増えている[5]。日本におけるビジネスホテルは、1920年9月12日に、京都にて1名1室形態の個室旅館を法華クラブが創業したことに始まる。

シティホテル

日本で言うシティホテルとは都市中心部や駅周辺に立地するホテル[4]。また、ウォーターフロントやシティビューなど客室からの景観を重視したホテルも多い。フィットネスジムやスパ、エステ、複数のレストラン、バーなどが充実しているのが特徴で、宿泊料金も比較的高額[6]。また、結婚式場や大規模な宴会場を備えたホテルもある。シングルの客室は少数、または設定されていないことが一般的である。(「city hotel」の語は、一応1794年ニューヨークに出来たシティ・ホテル(74室)で最初に使われ、以降、各地に普及したものの、近年の米国ではあまり使われていない)。日本では都市の中心部などに立地するホテルが「シティホテル」と分類されるようになった。土地代が高い場所なので高層化する傾向がある。多機能なものが多く、宴会場や料飲施設(レストラン、ラウンジ、バー)などを併設する規模の大きいホテルの呼称となっている[4]。全国規模の業界団体として、1903年創立の一般社団法人日本ホテル協会と1971年設立の一般社団法人全日本シティホテル連盟があり、前者は(構造上の)シティホテルおよび同等の設備を持った都市型リゾートホテルのみが正会員であるため、ビジネスホテルとの判別の目安となる。

観光ホテル・リゾートホテル

観光ホテルは、景勝地温泉地史跡スキー場ビーチ高原山岳地帯などの観光地・リゾート地に立地する遊覧や保養を目的とする観光客のためのホテル[7][8]。観光客向けにプールやプライベートビーチ、テニスコート、カジノなど多くの付帯施設を持つものもある[4]。一方では、ゆっくりとくつろぐことに主眼を置いた、ハウスホテルやヴィラ様式の施設も多い。

  • 日本では旅館業法のホテル営業ではなく旅館営業であることも多く、政府登録国際観光旅館に登録されていたり、あるいは国際観光旅館連盟(通称「国観連」)、日本観光旅館連盟(通称「日観連」)に加盟していたりすることも多い。
    リゾート会員権」の売り出しで資金調達し、その保有者の宿泊(滞在)用途に特化した会員制の施設も多く、便宜的に「会員制リゾートホテル」「会員制ホテル」などと言われている。これらは区分占有型のリゾートマンションとは区別されている。

カプセルホテル

カプセルホテルの配置

カプセルホテルはカプセル状の簡易ベッドが提供される宿泊施設。日本独自の形態のホテルである[9]。旅館業法ではホテル営業ではなく簡易宿所営業になる。ほとんどは、ビジネスホテル同様、都市の繁華街に立地する。施設としては単独のものの他、サウナ店に併設されるケースも多く、大部屋の中にカプセルが積み重ねられた形態が多い。ビジネスホテルと比べて比較的安価で宿泊できるのも特徴である。

ラブホテル

基本的にはカップルでの利用を想定しているホテルで、性交目的に利用されると想定しており、宿泊だけでなく2時間(~3時間)程度の短時間の利用(「休憩」)も想定しているものである。他の客や従業員にできるだけ会わずに入室できる工夫がしてあり、客室内の調度品なども一般的なホテルとは異なる。略称「ラブホ」。「カップルズホテル」「ファッションホテル」などと呼ばれ、和風の呼び方では「連れ込み宿」「同伴旅館」などとも。昭和期には「モーテル」とも呼んだ。日本特有の形態のホテルである[注釈 5]。自動車で向かうラブホテルは高速道路のインターチェンジ周辺や幹線道路沿いに立地しており、そうでない場合は歓楽街繁華街の駅近隣の特定地に密集して立地していることが多い。法的には風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略称・風営法)の適用を受ける。

デザイナーズホテル

アメリカでの「ブティックホテル」の日本での呼び方。デザイン・コンセプトを明らかにして工夫を凝らし設計させた個性的でモダンな設計・内装・外観を有するホテル[3]。なお日本ではじめは「デザイナーズホテル」とばかり呼んでいたが、最近では米国流に「ブティックホテル」と呼ぶことも徐々に増えてきており、呼び方にはゆらぎがある。




注釈

  1. ^ フランス語は「h」を決して発音しないのでhôtelは「オテル」と発音する
  2. ^ a b An establishment providing accommodation, meals, and other services for travellers and tourists.
  3. ^ ただ、近年では、カテゴリーの間を埋めるようなさまざまな施設もあり、境界がはっきりしない場合もある
  4. ^ (米国の)ビジネスホテルは、エグゼクティブの使用を前提としたホテルを指すケースが一般的で(ビジネスクラスと同義)、広々とした部屋に会議室等のビジネス設備や、フィットネスクラブなどが併設されているケースが多く、日本におけるシティホテルに相当。[要出典]
  5. ^ 香港台湾韓国など他の一部のアジア諸国にも日本のラブホテルを模倣したものが現れた。
  6. ^ 日本国内では日本国際ギデオン協会の協力による、聖書普及を目的とした無料配布
  7. ^ 日本国内では仏教伝道協会が配布する『仏教聖典』。上記聖書とセットで置かれている事が多い

出典

  1. ^ 星で分かるフランス・ホテルの選び方
  2. ^ A European common hotel classification.
  3. ^ a b c d e ホテルのタイプ 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  4. ^ a b c d シティホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  5. ^ ビジネスホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  6. ^ 東京YMCA国際ホテル専門学校「ビジネスホテルとシティホテルの違いとは?」
  7. ^ 観光ホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  8. ^ リゾ-トホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  9. ^ カプセルホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  10. ^ a b c d e f g h i j 部屋のタイプ 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  11. ^ a b c 客室の設備 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  12. ^ スマートキー搭載公式アプリで宿泊客を待たせない - 相鉄フレッサイン - マイナビニュース・2018年2月23日
  13. ^ http://enpota.com
  14. ^ http://www.sofnetjapan.com/
  15. ^ アーカイブされたコピー”. 2006年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月3日閲覧。
  16. ^ 7things not to do
  17. ^ a b 諸外国における規制等の事例について 国土交通省 2017年4月3日閲覧
  18. ^ 旅館業法概要厚生労働省(2018年7月11日閲覧)
  19. ^ 「広がる仮設ホテル/安価なトレーラー▼キャンピングカー/訪日客急増、柔軟に対応」『日経MJ』2018年7月2日(観光・インバウンド面)
  20. ^ モデル宿泊約款”. 国土交通省 (2011年9月1日). 2018年3月17日閲覧。
  21. ^ Yahoo!ニュース 「欧州のホテルが最も歓迎する観光客は?ワースト3はフランス、インド、中国本土―中国メディア」XINHUA.JP 10月27日(月)12時5分配信 Archived 2014年12月30日, at the Wayback Machine.[リンク切れ]
  22. ^ Focus-Asia 「欧州のホテルが最も歓迎する観光客は?ワースト3はフランス、インド、中国本土―中国メディア」
  23. ^ 旨い地ビールを!オーストラリア・パブ入門”. ALL ABOUT. 2020年4月29日閲覧。






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