ソビエト連邦共産党 思想

ソビエト連邦共産党

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 05:38 UTC 版)

思想

ウラジーミル・レーニンは、労働者農民階級意識(例えば、資本家地主搾取されていること)を目覚めさせ、彼らを闘争に立ち上がらせるには、職業革命家の集団である共産党前衛党)による指導が必須であるとした(外部注入論)。共産党の変質につれ、本来階級による独裁を意味するプロレタリア独裁を歪曲し、党による一党独裁制を正当化したのである。

党は労働者、農民、知識人の前衛組織であり、社会・政治組織の最高の形態であると規定されていた。政府との事実上の一体化、「下部組織は上部組織に従う」(民主集中制)、「鉄の規律」、社会のあらゆる部門に党委員会の細胞を張り巡らせて統制するといったソ連における共産党のあり方は、他の社会主義国の執権政党に受け継がれていった。

組織

原則的には5年ごとに開催される党大会が最高決定機関である。党大会と党大会の間の期間は、党大会によって選出される中央委員からなる中央委員会が党の指導を行うことになっているが、実際には中央委員会から選出される政治局書記局、中央委員会機構が党の日常的政治・組織業務を担当していた。特に、極少数の党員で構成される政治局が最高意思決定機関として機能していた。

また、党大会の開催回数も減少していき、ヨシフ・スターリンの時代には本来、政治局や中央委員会の補助的機構であった書記局が人事配置、組織統制の権限を高め、特に書記長に権力が集中した。スターリンの死後、ソ連共産党は集団指導体制に入るが、書記局は中央委員会各部局の指導、政策決定に依然と重要な役割を果たし、書記長(政治局員も兼務)が最有力者であり続けた。また、政治局員をはじめとする党の上層部は大きな権力と特権を持ち、ノーメンクラトゥーラの名で呼ばれた。

末端に位置するのは、企業軍隊学校コルホーズなど社会のあらゆる部門に張り巡らされた初級党組織であり、3名以上の党員で構成された。党中央委員会が直接指導する青年組織としてコムソモール、さらにその下に10〜15歳の少年少女で構成されるピオネールがあった。

共産党員は共産主義の物質的・技術的基礎の創出のために戦うことが任務とされている。なお、共産党員になるには以上、かつコムソモールや党員(3名)の推薦を必要とし、党費を納めなければならなかった。共産党員は特権階級であり、住宅や教育など様々な面で優遇を受けていた。

また、ソビエト連邦を構成する共和国や自治区にもそれぞれ共産党が置かれ、ソビエト連邦共産党の統制下に置かれていた。

党員数の推移は、1924年で約73万人、1925年で約109万人、1930年で約200万人、1946年で約550万人、1965年で約1180万人、1981年で約1748万人、1986年で1820万人となっている。

軍事

共産党は革命当時から赤衛隊と呼ばれる独自の軍隊を持っていた。1918年に赤衛隊は「労働者・農民赤軍」(赤軍)に発展した。赤軍はロシア革命後のロシア内戦において反革命派の白軍と戦い最終的な勝利をおさめた。以降は実質的なソビエト連邦の国軍としてソ連・ポーランド戦争冬戦争第二次世界大戦における独ソ戦日本との戦いに参加している。1946年、赤軍はソビエト連邦軍となり、正式な国軍となった。


  1. ^ 1934年よりソビエト連邦共産党の呼称が現れ始めていた。
  2. ^ 1991年8月29日以降はロシア共和国大統領ボリス・エリツィンによって党の活動は禁止された。
  3. ^ 他の構成共和国の共産党と異なり、1990年6月に結成[16]

出典

  1. ^ 世界大百科事典 第2版 コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  2. ^ a b 百科事典マイペディア コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  3. ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ) - ソビエト共産党#党員数 コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  4. ^ デジタル大辞泉 - ボリシェビズム コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  5. ^ デジタル大辞泉 - ソビエト-きょうさんとう〔キヨウサンタウ〕【ソビエト共産党】 コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  6. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ) - スターリン主義”. コトバンク. 2021年3月13日閲覧。
  7. ^ a b c 日本大百科全書(ニッポニカ) - ソビエト共産党#党の目標 コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  8. ^ 百科事典マイペディア - 一国社会主義 コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  9. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - プラウダ コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  10. ^ 大辞林 - プラウダ コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  11. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ) - プラウダ コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  12. ^ The Editors of Encyclopaedia Britannica. “Communist Party of the Soviet Union History, Beliefs, Leaders, & Facts” (英語). Britannica.com. ブリタニカ百科事典. Encyclopædia Britannica, Inc.. 2019年9月29日閲覧。
  13. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ) - ソビエト共産党#党名の変遷 コトバンク. 2018年9月15日閲覧。
  14. ^ 下斗米伸夫『図説 ソ連の歴史』河出書房新社、2011年、p.20.
  15. ^ ボルシェビキ』 - コトバンク
  16. ^ Harris, Jonathan. Subverting the System: Gorbachev's Reform of the Party's Apparat, 1986–1991. Lanham, MD: Rowman & Littlefield, 2005. pp. 110–3.





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ソビエト連邦共産党」の関連用語

ソビエト連邦共産党のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ソビエト連邦共産党のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのソビエト連邦共産党 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS