サンショウ サンショウの概要

サンショウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 05:31 UTC 版)

サンショウ
サンショウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: サンショウ属 Zanthoxylum
: サンショウ Z. piperitum
学名
Zanthoxylum piperitum (L.) DC. (1824)[1]
シノニム
和名
サンショウ(山椒)
英名
Japanese pepper[4]
Japanese prickly ash

名称

和名サンショウの由来は、「椒」の字には芳しい・辛味の意があり、山の薫り高い辛味の実であるため「山椒」の名が付けられたと考えられる[6][7][8]。また、漢字の「椒」には小さな実という意味があり、山にある小さな実の意味で「山椒」となったとする説もある[9]

学名の Zanthoxylum は「黄色い木」の意味であり、これは材が黄色いために命名された。また、piperitumコショウのようなという意で、実が辛味を有するために命名された[10]

日本語での別名や地方名に、ヤマザンショウ[11][12]、ハジカミ(古名)[13][12]、キノメ[11][12]、アツカワザンショウ[1]、イタハジカミ[11]、イボザンショウ[1]、サンシュ[14][11]、サンシュノキ[14]などがある。ハジカミ(椒)は、ショウガなどの他の香辛料の別名でもあり、その区別のためにサンショウは、古名で「ふさはじかみ」(房椒)、「なるはじかみ」(なりはじかみ、成椒)と呼ばれた。なお「はじ」は実が弾けることに由来し、「かみ」はニラ(韮)の古名「かみら」を指す言葉でサンショウの辛味を表現している[6]。「ふさ」は実が房状につくことを意味し、「なる」は実ができるハジカミであることを示す[15]

英名は、Japanese pepper(ジャパニーズ・ペッパー)[注釈 1][8]、Japanese prickly ash(ジャパニーズ・プリクリィ・アシュ)[10]。中国植物名(漢名)は、山椒(さんしょう)である[14]

分布・生育地

原産地は東アジア日本列島朝鮮半島といわれ、北海道から本州四国九州屋久島までの日本列島と、朝鮮半島の南部、中国にも分布する[16][17][18][注釈 2]。各地の丘陵や山地に分布し[19][5]、落葉樹林や藪の半日陰地に自生する[6][11]。また、雑木林のようなヒトの手の入った場所でも見られる[6]。ミカン科の植物としては比較的耐寒性が強く、冷帯である北海道にすら自生するものの、石狩平野の低地帯を境に北や東は分布が大きく減少する[20]。乾燥や夏季の日差しに弱く、半日陰の湿潤な地勢を好む。栽培も行われていて、庭にも植えられている[19][12]


注釈

  1. ^ 直訳すると「日本のコショウ」とか「日本の辛味香辛料」といった意味である。
  2. ^ 中国も原産地だとする説も存在する。香辛料の分類と特徴”. 全日本スパイス協会 (2002年). 2011年2月8日閲覧。
  3. ^ サンショウの病気としては、真菌が原因の「白絹病」と呼ばれる病気などが知られる。
  4. ^ グラインダーとは、粒状のコショウなどを粉末にするための器具である。

出典

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum piperitum (L.) DC. サンショウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum piperitum (L.) DC. f. corticosum Kusaka サンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum piperitum (L.) DC. f. verrucatum Kusaka サンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
  4. ^ a b 講談社編 2013, p. 112.
  5. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 120.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 田中孝治 1995, p. 148.
  7. ^ a b 大嶋千代美 著、村上志緒 編『日本のハーブ事典 身近なハーブ活用術』東京堂出版、2009年9月、142 - 143頁。ISBN 4490106122 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 164.
  9. ^ a b c d 亀田龍吉 2014, p. 98.
  10. ^ a b c d e f 滝戸道夫「薬草百話20:サンショウ」『月刊漢方療法』第2巻第8号、1998年、p.p.638-640。 
  11. ^ a b c d e f g h i j 篠原準八 2008, p. 74.
  12. ^ a b c d e f g h i 金田初代 2010, p. 80.
  13. ^ a b c d e f 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 126.
  14. ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 36.
  15. ^ 小曽戸洋「『日本薬局方』(15改正)収載漢薬の来源」『生薬学雑誌』第61巻第2号、2007年、73頁、ISSN 00374377 
  16. ^ a b c d e f g h i 岡田稔「和漢薬の選品20:山椒の選品」『月刊漢方療法』第2巻第8号、1998年、pp. 641 - 645。 
  17. ^ 佐竹(1989年)、p.280
  18. ^ a b c d e f g 田中潔 2011, p. 89.
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n 馬場篤 1996, p. 60.
  20. ^ 辻井達一『日本の樹木』中央公論社〈中公新書〉、1995年4月25日、106頁。ISBN 4-12-101238-0 
  21. ^ 県民の友8月号|和歌山県ホームページ
  22. ^ ぶどう山椒 の産地育成と需要拡大への取り組み ∼和歌山県有田川町∼
  23. ^ a b c 牧野富太郎「植物研究雑誌」『第五巻』第十号、1928年、p.378-380。  (PDF)
  24. ^ 飛騨農林事務所:高原山椒 (PDF)
  25. ^ サンショウ栽培品種(タカハラサンショウ・アサクラザンショウ・ブドウザンショウ)の成分比較研究 (PDF)
  26. ^ 手島茂晴「コモエの森の宝物:第6回Zanthoxylum zanthoxyloidesRutaceae:ミカン科)」(PDF)『コモエの森からの恋文』第8巻、2010年6月、p.2、2011年2月8日閲覧 
  27. ^ 佐竹(1989年)、p.278
  28. ^ 金田初代 2010, p. 81.
  29. ^ 椿叶花椒 Zanthoxylum ailanthoides Sieb. et Zucc.”. www.iflora.cn. 2018年11月19日閲覧。
  30. ^ 佐竹(1989年)、p.p.278-279
  31. ^ 朝倉さんしょ|香り高くやさしい辛味の山椒|JAたじまの特産品」
  32. ^ 養父市特産「朝倉山椒」
  33. ^ 有田の特産品:山椒”. ありだ農業協同組合. 2011年1月28日閲覧。
  34. ^ 食彩の王国#24:山椒”. テレビ朝日. 2011年1月28日閲覧。
  35. ^ a b 講談社(2007年)、p.42
  36. ^ a b c 講談社(2007年)、p46
  37. ^ a b 宮尾 茂雄. “漬物塩嘉言と小田原屋主人”. 東京家政大学・食品加工学研究室. 2023年1月12日閲覧。
  38. ^ NHK ためしてガッテン(2012年10月11日)
  39. ^ 五平餅の作り方”. とよた五平餅学会. 2011年1月30日閲覧。味噌には「※お好みで、山椒、刻んだくるみやピーナッツなど」と記してある
  40. ^ 農文協『伝承写真館日本の食文化 5 甲信越』農山漁村文化協会、2006年https://books.google.co.jp/books?id=ZxVOAQAAIAAJ ,p.13 「伊那谷の五平もち春はさんしょう味檜 1 秋はゆず味噌をつけて。」
  41. ^ 京山椒あられ”. 小倉山荘. 2011年1月30日閲覧。
  42. ^ 山椒あられ”. 七味家本舗. 2011年1月30日閲覧。
  43. ^ 実生屋の山椒餅”. NPO法人佐川くろがねの会. 2011年1月30日閲覧。
  44. ^ 餅類”. 俵屋吉冨. 2011年1月30日閲覧。
  45. ^ 樹木シリーズ26サンショウ、イヌザンショウ”. 森と水の郷あきた あきた森づくり活動サポートセンター. 2020年6月4日閲覧。
  46. ^ a b 野生植物[民間療法で利用されている種] 奄美群島生物資源Webデータベース
  47. ^ 相原傳、鈴木猛、山椒の成分に就いて (第5報) 殺虫及び魚毒成分 YAKUGAKU ZASSHI., Vol.71 (1951) No.11 P.1323-1324, doi:10.1248/yakushi1947.71.11_1323
  48. ^ 山椒は小粒でもぴりりと辛い”. コトバンク. DIGITALIO. 2023年12月10日閲覧。


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