サンショウ
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サンショウ | |||||||||||||||||||||
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サンショウ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Zanthoxylum piperitum (L.) DC. (1824)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
サンショウ(山椒) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Japanese pepper[4] Japanese prickly ash |
名称
和名サンショウの由来は、「椒」の字には芳しい・辛味の意があり、山の薫り高い辛味の実であるため「山椒」の名が付けられたと考えられる[6][7][8]。また、漢字の「椒」には小さな実という意味があり、山にある小さな実の意味で「山椒」となったとする説もある[9]。
学名の Zanthoxylum は「黄色い木」の意味であり、これは材が黄色いために命名された。また、piperitum はコショウのようなという意で、実が辛味を有するために命名された[10]。
日本語での別名や地方名に、ヤマザンショウ[11][12]、ハジカミ(古名)[13][12]、キノメ[11][12]、アツカワザンショウ[1]、イタハジカミ[11]、イボザンショウ[1]、サンシュ[14][11]、サンシュノキ[14]などがある。ハジカミ(椒)は、ショウガなどの他の香辛料の別名でもあり、その区別のためにサンショウは、古名で「ふさはじかみ」(房椒)、「なるはじかみ」(なりはじかみ、成椒)と呼ばれた。なお「はじ」は実が弾けることに由来し、「かみ」はニラ(韮)の古名「かみら」を指す言葉でサンショウの辛味を表現している[6]。「ふさ」は実が房状につくことを意味し、「なる」は実ができるハジカミであることを示す[15]。
英名は、Japanese pepper(ジャパニーズ・ペッパー)[注釈 1][8]、Japanese prickly ash(ジャパニーズ・プリクリィ・アシュ)[10]。中国植物名(漢名)は、山椒(さんしょう)である[14]。
分布・生育地
原産地は東アジアの日本列島や朝鮮半島といわれ、北海道から本州・四国・九州の屋久島までの日本列島と、朝鮮半島の南部、中国にも分布する[16][17][18][注釈 2]。各地の丘陵や山地に分布し[19][5]、落葉樹林や藪の半日陰地に自生する[6][11]。また、雑木林のようなヒトの手の入った場所でも見られる[6]。ミカン科の植物としては比較的耐寒性が強く、冷帯である北海道にすら自生するものの、石狩平野の低地帯を境に北や東は分布が大きく減少する[20]。乾燥や夏季の日差しに弱く、半日陰の湿潤な地勢を好む。栽培も行われていて、庭にも植えられている[19][12]。
注釈
出典
- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum piperitum (L.) DC. サンショウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum piperitum (L.) DC. f. corticosum Kusaka サンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum piperitum (L.) DC. f. verrucatum Kusaka サンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
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- ^ a b c d e f g h i j k l 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 164.
- ^ a b c d 亀田龍吉 2014, p. 98.
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- ^ a b c d e f g h i j 篠原準八 2008, p. 74.
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- ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 36.
- ^ 小曽戸洋「『日本薬局方』(15改正)収載漢薬の来源」『生薬学雑誌』第61巻第2号、2007年、73頁、ISSN 00374377。
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- ^ 県民の友8月号|和歌山県ホームページ
- ^ ぶどう山椒 の産地育成と需要拡大への取り組み ∼和歌山県有田川町∼
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- ^ 相原傳、鈴木猛、山椒の成分に就いて (第5報) 殺虫及び魚毒成分 YAKUGAKU ZASSHI., Vol.71 (1951) No.11 P.1323-1324, doi:10.1248/yakushi1947.71.11_1323
- ^ “山椒は小粒でもぴりりと辛い”. コトバンク. DIGITALIO. 2023年12月10日閲覧。
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