T-4時代の課目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 04:44 UTC 版)
「ブルーインパルス」の記事における「T-4時代の課目」の解説
課目名解説第1区分第2区分第3区分第4区分機動飛行航過飛行ダイヤモンドテイクオフ&ダーティーターンDiamond Take Off & Dirty Turn 1番機から4番機までがフィンガーチップ隊形で離陸。離陸後4番機は直ちに1番機の後方に移動し、ダイヤモンド隊形となる。降着装置(ランディングギア)と高揚力装置(フラップ)は出した状態(ダーティー形態)で、着陸灯も点灯させたまま、270度旋回して会場正面から進入する。会場から着陸灯が輝いて見えるように、毎分500フィート程度の緩降下を行う。なお、横風が10ノット以上で吹いている場合は、5秒間隔で1番機から順に1機ずつ離陸する。使用する滑走路によって演技の向きは異なる。 ○ ○ ○ ○ ローアングル・キューバンLow Angle Cuban 5番機は離陸直後にピッチ角を低く抑え、降着装置とフラップを上げたあとに240ノットまで加速。滑走路上10数フィートの高さを低空飛行し、滑走路端で急上昇後にループ(宙返り)し1回転半のロールを行い、滑走路上300フィートの高さで水平飛行に移行。後述の「ロールオン・テイクオフ」と同時に行うことがある。使用する滑走路によって演技の向きは異なる。 ○ ○ ○ ○ ロールオン・テイクオフRoll On Take Off 6番機は離陸時170ノットになったところでダーティー形態のままピッチ角を高くし、ピッチ角が30度になったところで右に360度ロール。前述の「ローアングル・キューバン」と同時に行うことがある。使用する滑走路によって演技の向きは異なる。 ○ ○ ○ ○ ファン・ブレイクFan Break 1番機から4番機までのダイヤモンド隊形で、会場の左側から右側に、60度から70度程度のバンク角で抜けていく。機体同士の最短間隔は約1メートルで、これは全課目の中でももっとも密集した隊形である。この課目ではスモークは使用しない。 ○ ○ ○ ○ ○ フォー・ポイント・ロール4 Point Roll 会場の左側から5番機が進入し、右ロールを90度ずつ4回に区切って繰り返して元に戻る。 ○ ○ ○ ○ チェンジ・オーバー・ターンChange Over Turn 1番機から4番機と6番機が会場の右からトレール隊形で進入し、1番機の合図により右旋回する と同時にデルタ隊形に移行する。180度旋回したところでは1辺が110メートル程度のデルタである が、その後徐々に間隔を詰めて、360度旋回することにはデルタの1辺は40メートルほどになっている。 ○ ○ ○ ○ ○ インバーテッド&コンテュニアス・ロールInverted & Continuous Roll 5番機が会場の左から進入し、右に180度ロールして背面飛行で滑走路の上空を通過。滑走路の端で左180度ロールで姿勢を戻し、上昇してから右にロールして背面飛行となり、ループした後に会場の右から滑走路に進入して左に3回転のロールを行う。 ○ ○ ○ ○ レイン・フォールRain Fall T-2時代の「下向き空中開花」の代わりに採用された課目。1番機から4番機と6番機が会場の右からデルタ隊形で進入、ループを開始。ループの頂点からスモークを使用開始し、真下を向いたところで2番機と3番機が20度、4番機と6番機が45度外側にブレイク。 ○ ○ サンライズSunrise ブルーインパルス創設50周年を記念して2010年(平成22年)に追加された課目。1番機から4番機と6番機が会場正面からデルタ隊形で進入し、そのままループに入る。ループの頂点(高度6,000フィート付近)でスモークを使用開始、そのままループで高度500フィートまで降下。その後、まず4番機と6番機が左右に60度方向にブレイク、その後2番機と3番機が左右30度方向・ピッチ角15度でブレイク、1番機はピッチ角20度でブレイク。なお、第3区分と第4区分ではループは行なわずにブレイクする。 ○ ○ ○ ○ バーティカル・クライム・ロールVertical Climb Roll 5番機が会場の左から進入し、滑走路上空で垂直に急上昇しながら右ロールで4.25回転。5番機の速度は進入した時点では400ノットである が、最大高度の9,000フィートまで上がる頃には、速度が失速寸前の100ノット程度にまで低下している。 ○ ○ インバーテッド・ロールInverted Roll 5番機が会場の左から背面飛行で進入、会場正面で右ロールで2回転し、背面飛行のまま右へ抜ける。 ○ ○ スロー・ロールSlow Roll 6番機が会場の左から進入し、約10秒をかけてゆっくりと右ロールで1回転する。一見容易だが、エレベーター・エルロン・ラダーの調和が試される、難易度の高い課目とされている。 ○ ○ ○ ○ チェンジ・オーバー・ループChange Over Loop 会場後方から1番機から4番機がトレール隊形で進入、滑走路を通過した後にループを行ないながらダイヤモンド隊形に移行する。ループの後半で90度ロールしながら会場右側に抜ける。 ○ ○ ハーフ・スロー・ロールHalf Slow Roll 会場右側から5番機と6番機がアブレスト隊形で進入。隊形を維持したままで右に180度ロールし背面飛行となり、会場正面で左ロールしながら左後方に抜ける。 ○ ○ レター・エイトLetter 8 会場後方から1番機から4番機がダイヤモンド隊形で進入。会場正面で1番機から3番機は右旋回、4番機のみ最大性能で小さめに左旋回。4番機は360度の旋回後に、1番機から3番機が描いた輪の中をショートカットしてダイヤモンド隊形に戻り、会場から離脱。課目名の由来はスモークの軌跡が8の字に見えることから。 ○ ○ ○ ○ カリプソCalypso F-86F時代の末期から継続されている課目。会場右手から5番機と6番機が進入。5番機が180度ロールし背面飛行となり、6番機が移動して2機が背中合わせになる。第1区分・第2区分でも「ハーフ・スロー・ロール」の代わりに行なわれることがある。 ○ ○ バック・トゥ・バックBack to Back 2010年にブルーインパルス創設50周年を記念して追加された課目。会場右手から5番機と6番機が進入。5番機が180度ロールし背面飛行となり、6番機が移動して2機が下面合わせになる。第1区分・第2区分でも「ハーフ・スロー・ロール」の代わりに行なわれることがある。 ○ ○ トレール・トゥ・ダイヤモンド・ロールTrail to Diamond Roll 会場左方から1番機から4番機がトレール隊形で進入。右バレルロールを行ないながらダイヤモンド隊形に移行して会場右側に抜ける。 ○ ○ オポジット・コンティニュアス・ロールOpposite Continuous Roll 会場右側から5番機、会場左側から6番機が進入。どちらも3回の右ロールを行いながら、会場正面ですれ違う。2機の間隔は約50メートル。 ○ ○ ○ ○ フォー・シップ・インバート4 Ship Invert 会場右手から1番機から4番機がダイヤモンド隊形で進入。滑走路端でまず1番機と4番機が、その後に2番機と3番機が背面飛行に移行、そのまま密集したダイヤモンド隊形で通過し、会場左側で180度ロールして離脱。 ○ ○ ○ ○ スリー・シップ・インバート3 Ship Invert 「フォー・シップ・インバート」の代わりに行なわれることがあり、1番機以外の3機が背面飛行となるもの。アメリカ空軍主催の「ゴールデン・エア・タトゥー」においては「ニンジャ・パス」 (Ninja Pass) という名で紹介された。 ○ ○ ○ ○ ダブル・ファーベルDouble Farbel 「フォー・シップ・インバート」の代わりに行なわれることがあり、1番機と4番機だけが背面飛行となるもの。 ○ ○ ○ ○ キューピッド(バーティカル・キューピッド)Cupid(Vertical Cupid) T-2時代に行なわれていた「ビッグ・ハート」を発展させた課目。5番機と6番機がアブレスト隊形で会場正面から進入し急上昇。ピッチ角が85度になった時点で左右に分かれ、ループしながらハートを描いて左右に離脱。会場左側から4番機が30度ピッチでスモークを描きながら進入。ハートを矢が貫いているように見せるために一度スモークを切っている。 ○ ○ スラント・キューピッドSlant Cupid 前述の「キューピッド」で、ハートを描く際に斜め旋回するもの。 ○ オリジナル・レベル・キューピッドOriginal Level Cupid 前述の「キューピッド」で、ハートを描く際に水平旋回するもの。この課目では4番機は加わらない。 ○ ライン・アブレスト・ロールLine Abreast Roll 会場右手前方から1番機から3番機がアブレスト隊形で進入。そのままの隊形を維持しながら大きくバレルロールを行う。アブレスト隊形は水平飛行でも隊形維持が難しく、極めて難易度の高い課目とされている。 ○ ○ シングル・クローバーリーフ・ターンSingle Cloverleaf Turn 会場左手から1番機から4番機がトレール隊形で進入。上昇旋回しながらダイヤモンド隊形に移行。会場正面からはさらにアローヘッド隊形に移行し、会場右側へ抜ける。 ○ ○ スリー・シックスティー&ループ360°& Loop 5番機が会場右側から進入。会場正面で360度の左旋回を行った後、360度ループを行う。 ○ ○ オポジット・トライアングルOpposite Triangle 6機がデルタ隊形で会場右側から進入、滑走路端で2番機から4番機までが右ロールして背面飛行となり、会場正面までに密集したデルタ隊形となる。 ○ ○ ワイド・トゥ・デルタ・ループWide to Delta Loop 1番機から4番機と6番機が会場の右からデルタ隊形で進入、そのままループに入る。上昇中にデルタの間隔を縮めてゆき、進入時に1辺が230m程度だったデルタの1辺が、ループの頂点では40mにまで縮まっている。 ○ ○ ダブル・ロールバックDouble Rollback ブルーインパルス創設50周年を記念して2010年に追加された課目。6機がデルタ隊形で会場右側から進入、5番機と6番機が同時に上昇しながら外側にロール、5番機と6番機が編隊に集合する直前に2番機と3番機が同時に上昇しながら外側にロール、スワン隊形となって左後方に離脱。 ○ ○ デルタ・ロールDelta Roll 6機が密集したデルタ隊形で会場正面から進入、隊形を維持したまま大きくバレルロールを行い、右後方に抜ける。 ○ ○ デルタ・ループDelta Loop 6機が密集したデルタ隊形で会場右側から進入、隊形を維持したまま大きくループを行う。 ○ ○ ボントン・ロールBon ton Roll 6機がデルタ隊形で会場左側から進入、6機が一斉に右ロールで1回転する。 ○ ○ ○ ○ サクラSAKURA 2004年(平成16年)に航空自衛隊創設50周年を記念して追加された課目。6機が大きなポイントスター隊形で会場右側から進入、リーダーのコールにより一斉に左へ360度旋回する。旋回時には、2番機は200フィート下、3番機は200フィート上、5番機は300フィート下の高度で旋回する。 ○ ○ ○ バーティカル・キューバン・エイトVertical Cuban 8 会場右側から5番機が進入。会場正面を過ぎたあたりでインメルマンターンを2回繰り返して上昇。頂点からはスプリットSを2回繰り返して降下、スモークで「8」の文字を描く。 ○ キューバン・エイトCuban 8 会場右側から5番機が進入。会場正面を過ぎたあたりで引き起こしてループに入り、225度のループのあたりで1回転半のロールを行い、進入時の角度になったら同じことをもう一度繰り返す。 ○ スター&クロスStar & Cross アメリカ空軍主催の「ゴールデン・エア・タトゥー」において、アメリカ人の観客から絶賛された課目。1番機から4番機と6番機が会場後方からデルタ隊形で進入、そのまま上昇。ピッチ角85度に達したところで1番機が後方に、2番機と3番機は左右に70度ずつ、4番機と6番機は左右に145度ずつの角度で5方向に分かれる。各機ともスプリットSの機動で降下し、高度5,000フィート付近で会場に再び進入し、編隊長の合図で右に15度ずつ旋回してスモークを使用開始、各機のスモーク開始点に向けて飛行する ことで、大きな星がスモークで描かれる。 ○ ○ タック・クロスITac Cross I 会場正面から5番機と6番機が進入、会場から見て右側が5番機、左側が6番機。2機が同時に背面飛行になった あと、5番機が右ロール、6番機が左ロールした後に互いに交差。5番機が左側へ、6番機が右側へそれぞれ上昇しながら2回転半ロールした後にスプリットSの機動で降下。滑走路上で背面飛行となり、そのまま2機がすれ違う。 ○ ○ ○ タック・クロスIITac Cross II 前述の「タック・クロスI」で、5番機と6番機が交差した後に上昇せずに斜め旋回するもの。 ○ ローリング・コンバット・ピッチRolling Combat Pitch F-86F・T-2時代から継続されている課目。1番機から4番機までが会場左側からエシュロン隊形で進入、緩やかに上昇した後に、1番機から順に250度の右ロールを行う。ここで編隊は解散となり、各機は180度左旋回、その後着陸態勢に入るためにトレール隊形へ移行する。 ○ ○ ○ ○ コーク・スクリューCork Screw 5番機と6番機が正面右方向からアブレスト隊形で進入。5番機が背面飛行になった後、6番機が5番機を中心として3回のバレルロールを行い、スモークでコルクの栓抜き (Cork Screw) のような軌跡が描かれる。その後着陸態勢に入る。 ○ ○ ○ ○ ナイフ・エッジKnife Edge 会場左手から5番機が進入、右に90度のバンク角をとったままで右側に抜ける。この間は胴体の揚力のみで飛行している。 ○ デルタ・スリー・シックスティ・ターンDelta 360°Turn 編隊機動連携飛行でのみ実施。1番機から4番機と6番機が会場右側からデルタ隊形で進入し、隊形を維持したまま360度旋回を行う。 ○ セブン・トゥエンティ・ターン720°Turn 編隊機動連携飛行でのみ実施。会場正面から進入した5番機が、まず右に360度旋回、その後左に360度旋回する。 ○ レベル・オープナーLevel Opener 編隊機動連携飛行でのみ実施。1番機から4番機と6番機が会場正面からデルタ隊形で進入し、4番機と6番機が外側に60度、2番機と3番機が45度で4秒間旋回してブレイク。 ○ デルタ・ダーティー・ローパスDelta Dirty Low-pass デルタ隊形で会場上空を通過。編隊機動連携飛行と航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ ○ リーダーズ・ベネフィット・ローパスLeader's benefit Low-pass リーダーズ・ベネフィット隊形で会場上空を通過。編隊機動連携飛行と航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ ○ ポイント・スター・ローパスPoint star Low-pass ポイント・スター隊形で会場上空を通過。編隊機動連携飛行と航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ ○ スワン・ローパスSwan Low-pass スワン隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ グランドクロス・ローパスGrand Cross Low-pass グランドクロス隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ エシュロン・ローパスEchelon Low-pass エシュロン隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ ピラミッド・ローパスPyramid Low-pass ピラミッド隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ ツリー・ローパスTree Low-pass ツリー隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ トレール・ローパスTrail Low-pass トレール隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)でのみ実施。 ○ クリスマスツリー・ローパスChristmas tree Low-pass クリスマスツリー隊形で会場上空を通過。航過飛行(フライバイ)で実施するほか、期間限定で正規科目終了後、着陸前に実施。 ○
※この「T-4時代の課目」の解説は、「ブルーインパルス」の解説の一部です。
「T-4時代の課目」を含む「ブルーインパルス」の記事については、「ブルーインパルス」の概要を参照ください。
- T-4時代の課目のページへのリンク