B百円券
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1953年(昭和28年)11月27日の大蔵省告示第2244号「昭和二十八年十二月一日から発行する日本銀行券百円の様式を定める件」で紙幣の様式が定められている。主な仕様は下記の通り。 日本銀行券 額面 百円(100円) 表面 板垣退助 裏面 国会議事堂 印章 〈表面〉総裁之印 〈裏面〉発券局長 銘板 大蔵省印刷局製造 記番号仕様記番号色 黒色 記番号構成 記号:英字1 - 2文字+通し番号:数字6桁+記号:英字1文字 寸法 縦76mm、横148mm 製造実績印刷局から日本銀行への納入期間 1952年(昭和27年)11月12日 - 1972年(昭和47年)12月25日 製造枚数 12,270,200,000枚 発行開始日 1953年(昭和28年)12月1日 支払停止日 1974年(昭和49年)8月1日 発行終了 有効券 1946年(昭和21年)2月に終戦直後のインフレーション抑制を目的とした新円切替が実施され、切替用の新紙幣としてA号券が新たに発行されたものの、新円切替をもってしてもインフレーションの進行は抑えきれず当時の最高額面券であったA百円券の発行量が著しく増大する結果となった。その後順次のB号券への移行が進められ、1950年(昭和25年)から1951年(昭和26年)にかけてB千円券、B五百円券およびB五十円券が相次いで発行された。 当時最も流通量の多かったA百円券については、発行開始当時の切迫した状況から極めて短期間のうちに検討から製造まで行わざるを得ず、実質的に1944年(昭和19年)発行のい百圓券に新円標識を加刷したのみであったため、銘板に「大日本帝國」の文字が残っていたり、寸法が他のB号券と比べて不必要に大きいなどの欠点を指摘されながらも、旧態依然としたA号券が暫くそのまま使用された。取り残されたような形になっていた百円紙幣についても1953年(昭和28年)になってようやく改刷が行われてB百円券が発行され、現代的かつ本格的な紙幣であるB号券が出揃うこととなった。これにより粗製のA号券の回収が一気に加速した。 なおA号券以降改刷を行い新紙幣を発行する場合、図案についてGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の承認が必要であったが、1952年(昭和27年)4月28日にサンフランシスコ平和条約が発効し日本の主権が回復したため、B百円券以降はGHQの発行承認が不要となっている。 表面右側には板垣退助の老齢期の写真を基にした肖像が描かれているが、小額政府紙幣の板垣五十銭券の肖像とは別の年代に撮影された写真を基にしているため容貌を異にしている。表面左側には唐草模様と共に法隆寺金堂の天蓋の飾りの鳳凰の彫刻を2つあしらっており、右下隅には円形の瓦模様が描かれ、左右には「百」の文字のマイクロ文字を敷き詰めている。また上下の輪郭には「百」の文字と「100」の数字の割模様と、地模様として唐草模様のレリーフ模様、宝相華、「100」の数字の連続模様を描いている。なお表面右下の数字「100」の左側にある丸い模様の中には、概ね製造工場別にシークレットマーク(暗証)が施されている。裏面右側には肖像の板垣退助に因んで国会議事堂の建物が、左側には「100」の額面金額の上下に唐草模様と宝相華のレリーフ模様が描かれている。A百円券で問題となった銘板は「大蔵省印刷局製造」と改められている。 透かしは「100」の数字と桐の図柄の透かしであるが、他のB号券同様印刷と重なっていることもあり確認しにくい。当初の紙幣用紙は第二次世界大戦以前と同じく三椏のみを原料としており、なおかつ原料を未漂白の状態で使用していたが、のちに三椏の需給が逼迫したことからマニラ麻や木綿、尿素樹脂が混合されるようになり、原料の漂白も十分に行うように変更された。この影響により発行途中で紙質が変化しており前期は茶褐色紙、後期は白色紙である。 使用色数は、表面6色(内訳は凹版印刷による主模様1色、地模様3色、印章1色、記番号1色)、裏面3色(内訳は凹版印刷による主模様1色、地模様1色、印章1色)となっている。券種の識別性を高めるため、凹版印刷による主模様を含め全体的に小豆色を基調とした券面となっている。 1957年(昭和32年)の百円銀貨の発行後も、地方では根強い紙幣需要があったことから百円銀貨とB百円券が当分の間並行して流通していたが、1966年(昭和41年)8月26日には百円紙幣の廃止が閣議決定され1972年(昭和47年)に製造終了の後、1974年(昭和49年)8月を最後にB百円券の日銀からの支払いが停止され、1967年(昭和42年)に発行された百円白銅貨へと推移していった。 日本の現在発行されていない旧紙幣の中では現存数が非常に多く、未使用の100枚帯封や1000枚完封が古銭市場やネットオークション等に現れることも多いほどであり、記番号先頭がアルファベット1桁や前期(茶褐色紙)などでかつ未使用、あるいは珍番号やエラーなどの条件がない限り古銭商が買い取りすることはほぼない。
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