2016年-2018年:ストレングス・オブ・ア・ウーマン
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「メアリー・J. ブライジ」の記事における「2016年-2018年:ストレングス・オブ・ア・ウーマン」の解説
2016年の客演としては、アルバム『ザ・ロンドン・セッションズ』の制作にも携わっていたサム・ローマンズ(英語版)のデビューEPに参加したり、人気トークショー『ザ・ビュー』の放送20周年を記念しダイアン・ウォーレンが作った企画シングル「ワールズ・ゴーン・クレイジー」(World's Gone Crazy)を番組テーマソングとしてリリースした。また映画『ドリーム』のサントラに「ミラージュ」(Mirage) という曲を提供した。 2016年3月には、当時アメリカ大統領候補であったヒラリー・クリントンの応援のための政治資金パーティーで、「ストレングス・オブ・ア・ウーマン」(Strength of a Woman)という曲を初披露した。この時期この楽曲と同名タイトルで次作アルバムの制作が着々と進められていた。私生活面では、2016年7月に夫でありマネージャーでもあるマーチン・ケンドゥ・アイザックス(Martin "Kendu" Isaacs)との「和解しがたい不和」を理由に離婚申請をしたことが報じられた。その後メアリーはアイザックに対して配偶者手当を支払うことを拒否し彼の要求を棄却するよう裁判所に求め、この一件でアイザックの浪費癖と、メアリーが多額の借金を負っていることが明らかとなった。 同じ7月、メアリーはオーランド銃乱射事件の犠牲者を追悼するチャリティー曲「ハンズ」(Hands)に、ブリトニー・スピアーズ、ジェニファー・ロペス、ピンク、グウェン・ステファニー、セレーナ・ゴメス、メーガン・トレイナーらと共に参加した。8月は、銃による暴力に抗議するブラック・アイド・ピーズの2003年の曲「ホエア・イズ・ザ・ラヴ」(Where Is the Love?のニュー・バージョン「#WHERESTHELOVE」(Where Is the Love?)に、エイサップ・ロッキー、スヌープ・ドッグ、クインシー・ジョーンズ、ジェイミー・フォックス、DJキャレド、ウィズ・カリファらと共に参加した。 さらに9月には、Apple Music内のラジオ局「ビーツ1」(Beats 1)の番組「The 411 with Mary J. Blige」において、ヒラリー・クリントンと対談し、相次ぐ白人警官による無抵抗の黒人への暴力事件に抗議する意味を込めて、ブルース・スプリングスティーンの2001年の曲「アメリカン・スキン」(American Skin (41 Shots))をカバー歌唱した。この曲は1999年にブロンクスで起きた白人警官4人によるギニア移民男性射殺事件(Shooting of Amadou Diallo)を題材にしたものである。 様々な社会問題に関心を寄せることの多くなった年であるが、女優としてはABCの人気法廷ドラマ『殺人を無罪にする方法』のシーズン3にゲスト出演した。また、映画『マッドバウンド 哀しき友情』(2017年公開)への出演が決まり、その主題歌の制作もあった。 そうした多忙の中、2016年10月に先行シングルの「シック・オブ・イット」(Thick of It)がリリースされた。この楽曲はトラップ時代のR&Bバラードというべき斬新なサウンドで、ベイ・シティ・ローラーズの1975年の曲「恋をちょっぴり」(Give a Little Love)のイントロなどをサンプリングするという意外な選曲が取り入れられ、プロデュースは、2014年のサントラアルバム『シンク・ライク・ア・マン・トゥー』中の1曲で共作したDJキャンパー(DJ Camper)ことダリル・キャンパー・ジュニア(英語版)が担当し、ジャズミン・サリヴァンなどもソングライターに参加している。 この「シック・オブ・イット」は久々のヒットとなり、「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」の称号に相応しく、全米アダルトR&Bチャートの2016年11月12日から2017年2月25日まで連続16週1位を達成した。これは2010年代のメアリーのシングルでは最長のロング・ヒットとなった。先行2ndシングルの「ユー+ミー (ラヴ・レッスン)」(U + Me (Love Lesson))のプロデュースは、アッシャーの「ノー・リミット」(No Limit)などを手掛けたブランドン・B.A.M.・ホッジ(英語版)で、この楽曲もヒットした。 そしてそれらを収録した13作目となるスタジオアルバム『ストレングス・オブ・ア・ウーマン』(Strength of a Woman)が、デビュー25周年を記念する2017年4月にリリースされた。先行3rdシングルの「ラヴ・ユアセルフ」(Love Yourself)はカニエ・ウエストが客演参加していたが、その話題曲がオープニングとなった。ミーゴスやDJキャレド、ミッシー・エリオットが客演参加しているトラップ・ビートの「グロウ・アップ」(Glow Up)も力作となり、ジャジーなネオ・ソウル「セット・ミー・フリー」(Set Me Free)にも、新しいR&B像を模索しているメアリーの挑戦の姿勢が窺えた。 他にも、ケイトラナダとのコラボが魅力的に光るエレクトリック・ソウル「テリング・ザ・トゥルース」(Telling the Truth)や、プリンスの1979年の曲「アイ・ワナ・ビー・ユア・ラヴァー」(I Wanna Be Your Lover)のサウンドを彷彿とさせる「ファインド・ザ・ラヴ」(Find the Love)などもあり、アルバム全体が濃密な仕上がりとなっている。 アルバムを発売した4月からは北米などを廻る「ストレングス・オブ・ア・ウーマン・ツアー」(Strength of a Woman Tour)を9月まで行なった。その一環として6年ぶりに来日し、4月に東京と大阪公演の「ジャパン・ツアー 2017」も行なった。 2017年11月には主題歌「マイティー・リヴァー」(Mighty River)も提供し、自身も出演した映画『マッドバウンド 哀しき友情』が公開された。そして「マイティー・リヴァー」は、2018年ブラック・リール賞(Black Reel Awards of 2018)では「最優秀オリジナル主題歌賞」(Best Original or Adapted Song)を受賞した。女優としてのメアリーの演技も高く評価され、第90回アカデミー賞(2018年3月開催)では「アカデミー歌曲賞」と「助演女優賞」に同時ノミネートされ、第75回ゴールデングローブ賞でも「助演女優賞」にもノミネートされた。その他、メアリーの演技は名立たる賞に多数ノミネートされ高く評価された。 2018年1月11日の47歳の誕生日には、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに殿堂入りを果し、ディディなど知人らが出席した式典で感極まって泣き出す一幕もあった。メアリーは、自身がデビュー間もない駆け出しだった頃の生活について振り返りながら、2012年に死去したホイットニー・ヒューストンと同じような末路をいつ迎えてもおかしくないほどのドラッグ依存の生活だったことを告白し、ここに至るまでの歩みが楽なものではなかったと語った。
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