進化心理学からの批判とは? わかりやすく解説

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進化心理学からの批判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 07:40 UTC 版)

Just-so story」の記事における「進化心理学からの批判」の解説

進化心理学への批判#仮説の検証可能性」も参照 デビッド・バラッシュ(英語版)は、進化的適応提起向けられるJust-so storyという言葉は単に仮説蔑称であるとする。仮説は定義上さらなる経験的評価を必要とするものであるが、通常の科学一部である。同様に、ロバート・カーズバン(英語版)は、「目標は、科学から物語追放することではなく、むしろ良い説明となる物語特定することであるべきだ」と提案した。ジョン・アルコックはその著書社会生物学勝利』の中で、進化適応論に向けられる Just-so story という用語は、「これまで発明された中で最も成功した蔑称1つ」であるとした。グールド批判応えてジョン・トゥービーレダ・コスミデスは、進化心理学者は既知事実にのみ興味があると主張する「Just-so」の告発根拠がないと主張し実際には、進化心理学未知研究手段追求する手段として既知事実から予測されるものに興味があるのだとした。すなわち、進化心理学には予測的有用性があり、それはJust-so storyだけで構成されているわけではないとする。 スティーブ・スチュワート・ウィリアムズは、すべての科学的仮説テストされる前のJust-so storyであり、他の分野同様の告発が行われることはめったないと主張している。スチュワート・ウィリアムズはまた、進化論的説明はほとんど何にでも作り出すことができるという考え同意しているが、社会文化論的な説明などの競合するアプローチについても同じことが言え有用な批判ではない主張している。2001年インタビューで、レダ・コスミデス次のように主張した既知事実説明することには何の問題もない。星が輝いたリンゴ地球向かって落下したりする理由説明する物理学者責める人はいない。しかし、進化心理学は、もし事実基づいた説明しできないとすれば役に立たない。なぜなら、心に関しては殆ど何も知られていないため、現時点では殆ど何も説明できなくなってしまうからだ。進化論的アプローチ強みは、発見助けられることである。それにより、精神含まれるであろうプログラムについての予測立てられるため、実験行ってそれらが実際に存在するかどうか確認できる。すでに知られている現象進化論的説明についてはどうだろうか?進化生物学専門知識持っている人は、どんな形質に対して事実基づいた説明作り上げることは不可能であることを知っている進化論説明には重要な制約存在するのである。さらに重要なことに、すべてのまともな進化論的説明からは、形質設計についてテスト可能な予測ができる。たとえば、妊娠中の病気出生前ホルモン副産物であるという仮説は、胎児胚発生時点食物中の病原体植物毒素から(もっと脆弱な妊娠初期の)胎児保護するために進化した適応であるという仮説とは異な食物嫌悪パターン予測する新しく形質発見するために生成されたものであれ、すでに知られている形質説明するためのものであれ、進化論的仮説は、その形質設計に関する予測もたらす代わりに適応機能についての仮説立てないとすればそういった予測がまったくできないさて、どちらがより制約され地味な科学的アプローチだろうか? アルシャワフらは多く進化心理学仮説は「トップダウンアプローチ形成されていると主張する理論使用して仮説生成し、この仮説から予測を行うのであるこの方法では、理論基づいて仮説予測アプリオリ立てられるため、物語的な説明を行うことは非常に困難である。反対に、まず観察が行われ、観察説明するための仮説立てられるような「ボトムアップアプローチは、仮説から新し予測立てられないような場合物語説明の形となっている可能性がある。新たな検証可能な予測仮説から生み出されるであれば、その仮説Just-so storyであると主張することはできない。 アルシャワフらは、他の進化科学同様に進化心理学部分的に歴史研究であることがJust-so story呼ばわり繋がっているのだと主張する。したがって、もし進化心理学根拠のない物語なのだとすれば天体物理学地質学宇宙論などの他の歴史研究要素を含むな科学分野同じだろう主張する歴史研究的なものを含めて科学という分野成り立たせているのは、現在に対してテスト可能な新し予測を行う能力である。進化心理学者は、仮説テストするために時間遡る要はなく、現在の世界で観測されるであろう現象についての予測もたらす。 リサ・デブリュインは、進化心理学検証可能な新たな予測生み出すことができると主張している。デブリュインは進化ナビゲーション理論の例を挙げている。この理論をもとに、人々水平距離比べて垂直距離を過大評価する、そして垂直距離について下からの距離よりも上からの距離について過大評価するという仮説立てられた。これは、高い地点から落下することには怪我または死亡の危険性があるため、人々がより慎重になるためである。この理論的予測はやがて確認された。進化ナビゲーション理論がそれらを検証するまでこの事実不明だったため、進化心理学これまで知られていなかった事実予測生み出せることを示している。 ベリーらは、適応主義者の「Just so story」を批判する立場頻繁にJust not so story」を作り出しており、適応主義的でない代案無批判受け入れていると主張する。さらに、グールドは「適応機能」という用語の使用に際して形質進化した元の適応機能参照しなければならないとしているが、これは過度に制限的無意味な要件であると主張している。なぜなら、ある適応別の新し適応機能使用されたとすると、この新し機能生物助けることでそれが集団残り新たな適応になるからである。新し目的のために採用され、それを持っている個体繁殖成功率高め何らかの理由でそれを失った可能性がある個体とは対照的に)、種内で維持される以上、形質本来の目的無関係である。自然は形質の本来の「意図された」機能知らないのであるデイビッド・バスによればグールドの「Just-so story批判進化心理学適応主義者の仮説説明するデータは他の仮説によって等しく説明できるとするものであるが、グールドはこれらの対立仮説関連する証拠提示することができなかった。

※この「進化心理学からの批判」の解説は、「Just-so story」の解説の一部です。
「進化心理学からの批判」を含む「Just-so story」の記事については、「Just-so story」の概要を参照ください。

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