発展と沈静化の兆しとは? わかりやすく解説

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発展と沈静化の兆し

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 14:58 UTC 版)

スポ根」の記事における「発展と沈静化の兆し」の解説

1973年オイルショック契機高度成長から安定成長期へと移行し人々関心経済的安定社会的上昇から個々内面的な充足多様な価値観求め志向へと変化すると、漫画世界もそれと並行して日常生活機微反映したものへと移行した。 この時代には従来梶原作品対抗して、「健全さ明るさ」を基調としたさわやかなスポーツ漫画回帰する動き始まったとされるそれまで『男どアホウ甲子園』をはじめ、いくつかの野球漫画手掛けていた水島新司は、梶原による作品群物語を描く上で野球をはじめとした競技小道具のように扱っていることに反発があったといわれる1972年から1981年にかけて連載され野球漫画『ドカベン』では、ライバル同士対決描きつつも社会階層対立軸根性要素薄れ、「秘打」と呼ばれる必殺技要素残しつつも魔球描写排除し現実的な試合展開と個性的な登場人物による人間ドラマ描いた『ドカベン』同時期に連載されちばあきお野球漫画キャプテン』や『プレイボール』では根性努力といった要素残しつつも魔球などの空想的な要素排除し等身大登場人物たちが部活動打ち込む姿に焦点当てた漫画コラムニスト夏目房之介水島作品群や、ちばの『キャプテン』が従来の「魔球によるライバル対決」から「集団スポーツ駆け引き」という構造転換しえた理由について、読者層年齢上昇による野球理解変化挙げている。 また、1976年から1981年にかけて『週刊少年サンデー』で連載されボクシング漫画がんばれ元気』(小山ゆう)は、主人公堀口元気亡き父の遺志継いで努力重ねチャンピオン目指す内容となり、主人公裕福な家庭から過酷なプロ世界飛び込ませることで従来の「貧困からの脱却」「社会的上昇」といったテーマ異議を唱えるとなった。この作品をもって、「生死賭けた戦い、血の特訓必殺技悲劇的結末」といった梶原スポ根からの転換点とする見方もある。 少女誌においても、1973年から1980年にかけて連載されテニス漫画エースをねらえ!』(山本鈴美香)では、作品序盤努力型の主人公岡ひろみライバル竜崎麗香、鬼コーチ宗方仁といったスポ根ものの構造残していたが、作品進行するに従ってそれらの枠組みから脱却し登場人物たちが自立し成長する物語へと変化した前出米澤は「勝負面白さ勝ち負けといったエンターテインメントとしてのスポ根ドラマ拒否したところから、『エースをねらえ』は始まる」と評した。 ただし、ちばの作品群については指導者の姿を意識的に排除し部員たちが自主的自発的に活動する姿を描きながらも、教育評論家斎藤次郎が「野球を楽しむというのは、手抜き遊びで『弄る』のではない」と評するように過酷なまでな部活への取り組み描かれ小山の『がんばれ元気』については元々『あしたのジョー』を意識した作品であり、ライバル師匠悲劇的な結末旧来的な特訓描かれた。『エースをねらえ』については飽くなき求道精神のため、恋愛をも「精神修行のための一プログラム」としてあつかうなど、いずれも苦行要素禁欲的要素を残す形となったスポ根における特徴一つだった魔球必殺技要素1972年から1976年にかけて連載され野球漫画アストロ球団』(原作遠崎史朗作画中島徳博)においていっそう過激化し、作品終盤では超人選手によって次々生み出された「必殺技」により多数死傷者生み出すデスマッチの場と化した評論家竹熊健太郎は「『巨人の星』が貧困克服高度経済成長)を背景にした1960年代神話とすれば、この作品社会安定し貧困』という動機づけ喪失した1970年代神話である」としている。一方『ドカベン』作者である水島野球漫画『野球狂の詩』の中で魔球存在ではなく情報として扱い魔球という言葉により相手精神的重圧与える、試合における「駆け引き」の道具として描くことによって「魔球」を否定した。これらの作品によってスポ根特徴だった荒唐無稽な要素退潮し、スポーツ漫画現実的な作風へと転換していった。

※この「発展と沈静化の兆し」の解説は、「スポ根」の解説の一部です。
「発展と沈静化の兆し」を含む「スポ根」の記事については、「スポ根」の概要を参照ください。

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