海上護衛任務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 16:16 UTC 版)
「香椎 (練習巡洋艦)」の記事における「海上護衛任務」の解説
1944年(昭和19年)2月15日、トラック泊地にあって第六艦隊旗艦だった練習巡洋艦香取は、海上護衛総司令部部隊に編入された。輸送船団と共に内地帰投が決まるが、2月17日のトラック島空襲で沈没した。3月25日、香椎は海上護衛総司令部部隊に編入された(前述)。翌日から呉海軍工廠で改造工事に従事する。魚雷発射管を撤去するかわりに12.7cm高角砲を増設、艦尾の司令長官室を爆雷庫に改造し機雷300個を搭載、不沈対策を実施するなどの改造を施された。カタパルトと水上偵察機はそのまま残された。海上護衛任務の主力を担う海防艦について「護衛船団旗艦とするなら松級駆逐艦を、已むをえない場合は通信能力と居住性を向上させた甲型海防艦を適当とすべし」「海防艦は艦隊旗艦としては狭すぎる、香椎型程度が適当である」という不満が出ていた経緯もある。 「ヒ船団」も参照 5月2日、香椎は第一海上護衛隊に編入される。高速タンカー船団の護衛に従事することになった。5月下旬まで内海西部で訓練を実施、その後山口県門司に回航された。 5月29日、第七護衛船団司令官松山光治少将は香椎に将旗を掲げる。護衛部隊(香椎、空母海鷹、海防艦〈淡路、千振、19号〉、駆潜艇60号、敷設艇燕)は、陸軍特殊艦神州丸や油槽船11隻からなるヒ65船団を指揮して北九州門司港を出撃、シンガポールへ向かった。6月2日午前2時45分、アメリカ潜水艦ギターロの雷撃で海防艦淡路が沈没した。また回避行動をとった貨客船有馬山丸が神州丸と衝突した。神州丸は搭載爆雷の誘爆で大破。香椎は神州丸を台湾基隆市まで曳航した。香椎は基隆市から高雄市へ移動し、4日に出発した。6月11日、ヒ65船団部隊はシンガポールに到着した。帰路のヒ66船団(香椎、海鷹、海防艦〈千振、7号、11号〉、タンカー4隻)は6月17日にシンガポールを出発する。ヒ66船団部隊は損害を出さず、6月26日門司に帰投した。 7月12日、第五護衛船団司令官吉富説三少将は香椎に座乗、護衛艦艇(巡洋艦〈香椎〉、海防艦〈千振、佐渡、第7号、17号〉)、空母3隻(神鷹、大鷹、海鷹)、加入船舶14隻からなるヒ69船団を指揮して門司を出発した。航海中、海防艦17号が被雷して離脱した。ヒ69船団部隊の他艦に損害はなく7月20日にマニラへ到着し、各空母は航空機を陸揚げした。空母2隻(大鷹、海鷹)と分離後、ヒ69船団部隊は護衛艦2隻を加えて7月25日マニラを出発する。7月31日、ヒ69船団部隊はシンガポールに到着した。 8月2日、南西方面艦隊は第十六戦隊の軽巡洋艦「北上」をヒ70船団部隊に同航させたいと申し入れた。第五護衛船団司令官は台湾海峡を通過すると通告する。そこで北上艦長加瀬三郎大佐は、「北上」をヒ70船団に途中合流させる旨を報告した。 8月4日(8月5日)、ヒ70船団は護衛艦艇(巡洋艦〈香椎〉、空母〈神鷹〉、秋月型駆逐艦〈霜月〉、海防艦〈千振、佐渡、第13号、19号〉)、タンカー8隻でシンガポールを出発した。途中でマニラから来た軽巡北上を、ヒ70船団部隊に編入する。8月15日、ヒ70船団部隊は門司へ戻った。北上は佐世保へ、霜月は横須賀へ、それぞれ回航された。8月19日から24日まで、香椎は呉海軍工廠で修理を行う。 8月24日、第五護衛船団司令官吉富説三少将の指揮下、護衛部隊(香椎、空母雲鷹、海防艦〈千振、第1号海防艦、3号、13号、19号、21号、27号〉)は、補給艦伊良湖など加入船舶12隻のヒ73船団を護衛する。25日、ヒ73船団部隊は門司を出撃する。9月5日、ヒ73船団部隊はシンガポールに到着した。 9月11日、ヒ74船団(指揮官第五護衛船団司令官)はシンガポールを出発して台湾へむかった。ヒ74船団部隊は、第一護衛隊(巡洋艦〈香椎〉、海防艦〈13号、19号、21号、27号〉)、第二護衛隊(雲鷹、千振)、船団部隊(播磨丸、御室山丸、八紘丸、音羽山丸、あづさ丸)という戦力である。9月16日、ルソン島方面にはアメリカ軍潜水艦2隻(バーブ、クイーンフィッシュ)が行動しており、米機動部隊艦載機の不時着救助任務に従事していた。夜、旗艦香椎は船団各艦に対し敵潜発見を伝達するが、その時点での襲撃はなかった。9月17日日付変更直後、ヒ74船団部隊はアメリカ潜水艦バーブの襲撃を受けた。あづさ丸が被雷、炎上し、まもなく沈没した。つづいて雲鷹も被雷してヒ74船団から落伍し、午前7時55分に沈没した。ヒ74船団部隊はそれ以上の被害を受けることなく、内地に帰投した。 香椎は佐世保海軍工廠で9月24日から10月19日まで入渠整備をおこなう。10月28日、香椎はヒ79船団を護衛して日本を出撃する。高雄市(台湾)を経由し、11月13日シンガポールに到着した。
※この「海上護衛任務」の解説は、「香椎 (練習巡洋艦)」の解説の一部です。
「海上護衛任務」を含む「香椎 (練習巡洋艦)」の記事については、「香椎 (練習巡洋艦)」の概要を参照ください。
- 海上護衛任務のページへのリンク