岩石の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 02:05 UTC 版)
鉱石だけでなく、岩石そのものも資源としてよく利用される有用なものである。 建材 最も岩石の資源利用として多いものは建材、いわゆる石材としての利用であり、御影石などに代表される花崗岩、大谷石に代表される凝灰岩、大理石に代表される石灰岩や結晶質石灰岩など多くの種類が使用される。岩石は木材と並び建築材料としては最も古いものの一つであり、さらに木材に比べ圧倒的に耐久性に優れるため、巨大建造物の建造が可能であり、またそれを建造した文明が滅亡したのちも岩石で作られた建造物の多くは残存した。エジプトのピラミッドやアテネのパルテノン神殿、マヤやアステカの遺跡群、カンボジアのアンコール・ワット、インカ帝国のマチュピチュなど、石材のみで建設された巨大遺跡は枚挙にいとまがない。こうした石材に石を加工する石工は非常に古い職業であり、世界中に存在した。日本においても穴太衆をはじめ、各地に高い技能を持った石工の集団が存在していた。粘板岩(スレート)は屋根を葺く材料として広く使用されていた。建物本体だけでなく、巨岩などを庭に置く庭石は日本庭園においてはなくてはならないものであり、また建物の基礎となる石垣も石材利用としては一般的なものである。このほか、墓石や硯などなど多くの美術・工芸品の原料ともなっている。そのまま使用するだけでなく、石を砕いた砕石も重要な建築材料である。 道具 人類の最初期の道具も石から作られたものであり、青銅器が発明されるまでの間は石器こそが人類の使用できるもっとも堅い道具だった。石は世界中にあまねく分布しているうえ加工にも手間がかからないため、世界中のすべての文明は石器時代には到達していた。新大陸のアステカ・マヤ・インカといった諸文明は青銅器を発明していないか工芸品としての利用にとどまっていたため、16世紀にスペインと接触するまで石器が文明の中心となっていた。ちなみに、人間以外の動物が使う道具としても石は広く使われる。エジプトハゲワシは石を銜えてそれを叩き付けて卵を割る。また、ラッコが個体ごとに石を所持し、主食である貝を石に叩きつけて貝殻を割り、中の肉を食べることも広く知られている。 武器 武器としては単なる石はきわめて広範に利用される。石器には矢尻や石斧、石槍などの例がある。現在でも特別な武器を持たぬものにとって投石はきわめてよく利用される攻撃方法である。単に手で投げるだけでなく、より効果的に投げるための装置が投石機である。 調理用具 調理のために岩石が使われる例もある。加熱した岩石を熱源にする調理法は石焼きと呼ばれ、石焼き芋のように小石を熱するもの、石板を利用するもの、石製の容器を使用するものなどがあり、広く利用される調理法のひとつである。
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