尺相当目盛り付き長さ計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 17:14 UTC 版)
木造建築や和裁などの分野では、尺や鯨尺が現在でも使われており、かつてヤミ業者の製造した粗悪品が出回り、大工職人が施工する際に混乱したり、書類送検、逮捕されるなど、日本のメートル法化の厳格運用によって、日本では社会問題が発生したことがあり、永六輔が「尺貫法復権運動」を巻き起こした。このため、計量単位の規制が、日本の伝統や文化の中で著しく不便を生じさせている場合は、その度合いを最小限に留めるよう、制度の柔軟な運用を行うこととなった。 1977年(昭和52年)の計量行政審議会で議論が行われ、「尺相当目盛り付き長さ計」(尺相当の長さの目盛りが付いているが、値はメートルの物差し)は、メートル法による物差しとし、合法であるという判断がなされ、これに基づき販売が認められている。一部に、尺の使用が「黙認されている」と主張している向きがあるが、間違いである。 尺相当目盛り付き長さ計は、尺・寸の目盛り表記ではなく、1/33 mごとの目盛り(曲尺相当)又は1/26.4 mごとの目盛り(鯨尺相当)というように、表記上はメートル法を採用しているため、メートル法による物差しである。これは三角スケールの目盛りにおいて、1/150 mや1/250 m目盛りの物差しがメートル法によるものであることと同じである。 「尺相当目盛り付き長さ計」の姿形は次の写真のようなものである。 実際の運用は次の通りである。 「尺相当目盛付長さ計等」については、都道府県知事を経由し大臣へ申請することとなっている。 法8条1項及び9条1項を円滑に実施するため、尺相当目盛付長さ計については、計量行政室の承認を受けるものとし、次に定めるところにより行うものとする。 対象となる計量器 尺相当目盛付長さ計: さしがね、コンベックスケール(巻尺)、文化財修復及び畳職人用等の竹製ものさし、文化財修復及び畳職人用等の金属製ものさし 鯨尺尺相当目盛付の長さ計:和裁用の竹製ものさし 計量器に係る表示 計量器に係る表示 メートル単位表示製造又は輸入が認められる計量器は、通常人がメートル単位表示の長さ計であると認識できるものでなければならない。 すなわち、一寸相当の箇所に「1/33 m」、一鯨尺相当の箇所に「1/26.4 m」というように積極的にメートル単位表示「m」がなされたものでなければならない。また、尺相当目盛の場合には、「5/33 m、10/33 m、15/33 m・・・」というように 5/33 m間隔(鯨尺尺相当目盛の場合には 5/26.4 m 間隔)ごとに○/33 m(○/26.4 m)」という文字が明記されていることが必要である。 メーカー記号等イ 製造又は輸入を認める計量器には、製造者の記号又は輸入者の記号(製造者又は輸入者の氏名、名称、商号又は商標)を付すことし、特にコンベックスケール及び竹製ものさしについては、「取引・証明以外用」の文字を付すこととする。これらの表示は、機器の表面又は裏側の見やすい箇所に容易に消滅しない方法により付さなければならない。 ロ 更に、コンベックスケールについては、在来商品との相違を明確にするため、外箱及びケースに「1/33 m 目盛付」の文字を容易に消滅しない方法により付さなければならない。 製造手続き等 本措置の対象となっている計量器を製造又は輸入しようとする者(以下「製造事業者等」という。)は、その製造又は輸入の 2 週間前までに都道府県知事(計量検定所をいう。以下同じ。)を経由して通商産業省機械情報産業局計量行政室長あて様式 1 又は様式 2 による届出書を正 1 通及び副 2 通を提出しなければならない。 計量行政室長は、届出の内容が適正である場合には、速やかに当該製造事業者等に届出番号を都道府県知事を経由して通知するものとする。 製造事業者等は、届出をした計量器の生産実績を毎年5月31日までに前の年度(毎年4 月1日からその翌年の3月31日までをいう。以下同じ。)のものについて都道府県知事を経由して計量行政室長あて様式 3 により報告しなければならない。 製造事業者等は、その届け出た製造又は輸入の事業を休止又は廃止するときは、遅滞なくその旨を都道府県知事を経由して計量行政室長に届け出なければならない。
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