専用船の種類とは? わかりやすく解説

専用船の種類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 01:36 UTC 版)

ケミカルタンカー」の記事における「専用船の種類」の解説

国際海事機関IMO)の国際バルクケミカルコードでは、貨物の危険度に応じてタイプIタイプIII3段階に区分しタイプIを最も厳しく定めている。タイプIは1個のタンク容積を1,250m3以下とし、タンク側面と両舷との間をそれぞれ全幅の1/5または11.5mのいずれか小さい方、タンク底部船底の間を全幅1/15または6mのいずれか小さい方とするよう定めている。タイプIにはリン塩化スルホン酸該当するタイプIIではタンク容積を3,000m3以下、タンク側面と両舷との間をそれぞれ760mm以上、底部についてはタイプI同様に定めており、テトラエチル鉛トルエンジイソシアネートなどが該当するタイプIIIではタンク容積配置について制限はない。尿素炭酸カルシウムなど粉粒体輸送されるものは粉体専用運搬船、エチレンアンモニアなど液化ガスとして輸送されるものについては液化ガスばら積み船使用される。 アスファルトタンカー 外部より防熱を施したタンクで、加熱したアスファルト170)またはバインダーアスファルト(210)を液状輸送する船体熱応力及ぼさないようにするため、船体一体型ではなく独立したタンク設けるのが一般的である。日本のアスファルトタンカーは最大のもので2700トン多く1000トン前後である。 溶融硫黄運搬船 アスファルトタンカーと同様に独立型防熱タンクを持つ。タンク100予熱され、陸上基地150加熱した硫黄積載する硫黄融点119であり、輸送中は140温度保持される積み荷には二硫化炭素炭化水素引火性硫化水素含まれる常温4.3%、135で3.7%の爆発限界達しないよう、機械通風が行われる。 硫酸タンカー 希硫酸濃硫酸および廃硫酸輸送する鋼材濃硫酸に対して耐蝕性があるが希硫酸による腐蝕を受けるため、希硫酸積載するタンクにはゴムライニングを施す必要がある硫酸自体不燃性であるが、金属反応して水素生じことがあるため、タンク隣接した密閉区画では防爆の対応が求められる積載量7001000トン程度中小型船が中心で、日本では1975年時点150隻と他種ケミカルタンカー比べ多くの船が就航している。 苛性ソーダ運搬通常3050%の苛性ソーダ水酸化ナトリウム水溶液輸送する一般にタンク船体一体型とされ、内部ライニングまたは塗装施される小型専用船数多く就航するが、多目的ケミカルタンカー輸送される場合もある。 メタノール運搬メタノールメチルアルコール)は沸点低く65以下に保つため甲板状にスプリンクラー海水散布される水の混入を嫌うことから、タンクハッチは二重構造が採られる。金属対す腐食性があり、タンク内部には無機ジンク塗料により塗装される。サウジアラビアジュバイルで、同国日本合弁石油化学プラント稼働したことから、1983年には日本初メタノール運搬船「甲山丸」が就航した国際バルクケミカルコード上の化学品としては扱われず、石油タンカー準じた取扱いとなる。 燐タンカー IMO国際バルクケミカルコードではタイプI区分されリン対し特別規則定めている。リン黄りん)の融点は44.1であり、液状輸送するためタンク周囲温水満たし保温する空気との接触による自然発火を防ぐため、タンク内の空隙にも満たして輸送する日本にはリン専用タンカーはないが、アメリカには多数存在する二塩化エチレン運搬1,2-ジクロロエタン二塩化エチレン)は、ポリ塩化ビニル原料として利用される。ケミカルコードではタイプII区分され比重が1.25と重いことから十分な強度求められる鋼材対す腐食性はなく、空荷時は防錆のため窒素封入されるが、それでは完全とは言い難いためタンク内部には無機ジンク塗料塗布される1981年には日本鋼管清水造船所で主に1,2-ジクロロエタン積載する世界最大級のケミカルタンカーFORMOSA ONE」と同型船の「FORMOSA TWO」が竣工しアメリカ台湾の間で運航されている。 糖蜜運搬糖蜜はケミカルコードの適用受けないが、ある程度危険性有するため適切な安全措置求められる。非常に重い液体であることから、タンクには十分な強度求められ圧力テスト行いの証明書が必要となる。粘度高く、積込・揚荷時には32.2~37.8加熱される加熱管の周囲だけ高温となり焦変することを避けるため、加熱入港2~3日前から徐々に行われる糖蜜海水溶解しやすく、タンク内部洗浄には海水使用される。。

※この「専用船の種類」の解説は、「ケミカルタンカー」の解説の一部です。
「専用船の種類」を含む「ケミカルタンカー」の記事については、「ケミカルタンカー」の概要を参照ください。

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